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アルゼンチン ウルグアイ編 撮影日記

荒野の真ん中で停止
トレン・パタゴニコの大遅延
前回の撮影日記で、荒野のど真ん中で故障停止してしまったトレン・パタゴニコについて書いたが、今回はその続きについて書きたい。
故障した機関車の代替機が来たのは、列車が停止して5時間後、朝の10時になってからのことだった。後方駅から来た代わりの機関車は、列車の最後尾に連結され、後ろから客車を押す形で出発。無事に、8km先にあるシエラ・コロラダ駅に到着し、後方部についていた機関車は前方部へ付け替え。この時点で6時間以上の遅延となったが、何はともあれ、これで通常運転再開だ!・・と、思ったのだが、途中駅での貨物や車の積み下ろし作業は長引き、更に付け替えた機関車も調子が悪いのか徐行運転が続き、遅延時間はどんどん伸びていく。
気が付けば、終点に到着する頃の遅延時間は、13時間。乗車時間19時間予定の夜行列車だったが、32時間かかってしまった。駅に到着したのは夜中の1時半過ぎ。こんなに列車が遅れたのは2年ぶりのことだったそうだ。陽気なアルゼンチンの乗客達もさすがに疲れた様子の人が目立ったし、寝ずの対応に追われた乗務員達は、かわいそうなほど疲労困憊の様子だった。
今回アルゼンチンを訪れるまで、私は「南米の人達は、大らかな反面、仕事に関してもざっくりしているのではないか?」と勝手な思い込みをしていた。しかし、トレン・パタゴニコの乗務員達は、臨時でサンドイッチや水のサービスをしたり、乗客達の質問に答えたりと、真摯に対応していた。
ただでさえ、大変な状況にも関わらず、撮影隊の私たちがいることで、彼らの心労は増してしまったかもしれないが、彼らは私たちに対しても常に協力的な対応をしてくれた。
彼らの対応があったからこそ、乗客達も和やかに過ごすことができたし、私たちもその様子を撮影することができた。この場を借りて、トレン・パタゴニコの乗務員の皆さんに、「本当にありがとうございました!」とお礼を言いたい。
ディレクター 永田奈津子
外をお散歩
車体にタッチ