世界の車窓から

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アルゼンチン ウルグアイ編 撮影日記

荒野の真ん中で停止
故障で停まったトレン・パタゴニコ
3月5日、午前6時頃。私は、夜行列車トレン・パタゴニコの中で目を覚ました。車窓を見ると、曇天の空。そして・・・列車は動いていなかった。駅も何もない荒野のど真ん中で停止している。これは一体どういうことなのだろうか?
私たちは、食堂車に集まっている乗務員達に理由を聞きに行った。すると、「機関車の故障で午前5時に列車が停まってしまった」とのこと。ちなみに現在地は、出発地ビエドマと終点バリローチェのちょうど中間地点の辺りだそうで、バリローチェまでの道のりはまだ400km以上。順調にいっても8時間半かかるという。
世界の車窓からのロケが始まって2週間。だいぶ「予定通りにはいかない」ことに慣れてきた私は動じなかった。海外の列車は遅れるもの。逆に変わったシチュエーションが撮れてラッキーとすら思った。
列車が動かないまま、2時間以上が経ち、異変に気が付いた乗客達も起きだしてきた。怒っている人はおらず、中には、「同じ料金で長く列車旅が楽しめて嬉しいわ」と言っている人もいたし、「こんな機会は滅多にない!」といった感じで列車を降りて、パタゴニアの荒野をお散歩する人達もいた。(中には携帯の電波がなくて困っている人もいたが・・。)
次第に天気も良くなってきた。午前7時過ぎに来ると言っていた代わりの機関車は時間になっても来なかったけれど、私たちも乗客もこの変わった体験を楽しんでいた。
この時は、まさか、列車が最終的にあんなに長時間遅れるとは誰一人として予想だにしなかったのである・・・。
ディレクター 永田奈津子
外をお散歩
車体にタッチ