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 ここに1枚の絵があります。これは北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国を脱出した少年が描いたもので、ネズミを捕まえて、食べている様子が描かれています。「ヘビとネズミはとてもいい栄養食なんです。ネズミをつかまえて食べた日は、運のいい日」。北朝鮮の食料はとっくに底をついているのです。そんな中、今月17日に放送された北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国のニュース――その内容は全世界に衝撃を与えました。「アメリカの帝国主義者らによる核の脅威に対抗するため、核兵器など破壊力の高い兵器を保有するに至りました」。なんと北朝鮮自ら、核兵器を持っていることをはじめて明らかにしたのです。飢える国民と核兵器開発…北朝鮮の今後は一体!? 「セカイノニュース・北朝鮮スペシャル」VOL.5は、追い詰められた北朝鮮の今後を検証しました。
 核兵器開発をあっさり認めた北朝鮮。当然、世界各国から非難が集中、その結果として援助を止める措置が決定しました。これまで毎月、燃料となる重油を提供してきたKEDO・朝鮮半島エネルギー開発機構は12月からの重油の援助中止を決定。そして毎年3億ユーロ、1700億円もの援助をしているEUも援助の中止を検討。更に、各国からの食糧援助も次々打ち切られているといいます。そして、日本からの食糧援助も拉致事件で滞った状態なのです。では、これらの援助中止は国民生活にどれだけの影響を与えるのでしょうか。
 重油は火力発電所で電気をつくる重要な燃料。その援助が打ち切られることによって、北朝鮮の電力は最大で30%ほど減少すると見られています。今でさえ北朝鮮の電力事情は最悪。首都平壌でも夜はほとんど明かりが見えず、平壌以外の農村などでは全く電気が来ない所もあるといわれています。そんな中での電力の30%減少…国民に大きな影響が出ることは逃れられません。
 食糧問題はさらに深刻です。番組で紹介された平壌のある家族の食事風景。しかし、これは党の幹部など、ごくごく限られた人物の特別な生活なのです。実際は、「危機的状況」にあり、海外からの食糧援助なしにはもはや生活していけない北朝鮮の人々。しかし、各国の援助打ち切りによって、現在確保できている食料は、来年1月分で底をつくというのです。「何も食べるものがなくなり、お母さんは山に木の皮をはぎに行きました」「食べていくために山菜取りに出かけます。でも、もう他の人が取り尽くしていて山菜もありませんでした」。国連によると、現在すでに400万人、国民の実に6人にひとりが栄養不良状態にあるというのです。さらに冬の北朝鮮は平壌でもマイナス10℃。地方の農村ではマイナス20℃にまで冷え込みます。電力が減少する中、人々はこの寒さと飢えに耐えることができるのでしょうか。国民の命綱・援助の再開のためには核開発放棄が不可欠。しかし、金正日氏の行為はまさにその逆。北朝鮮では現在人民軍全体に「準戦時状態」命令が出され、全域で一般住民も参加しての軍事訓練が始まっているというのです。また、これまで貯蔵庫に収められていた化学兵器を配備したことも確認されています。「金正日がアメリカの言うことを聞くはずがない。彼はフセインよりも頑固。制裁されたらやりかえす…これが考え方。一方でブッシュもイラクの次は北朝鮮に…。平和的解決のためには北が核をあきらめるしかないが、そんなことするわけがない」(辺真一氏/コリア・レポート)。
 いままさに建国以来、最大の危機に直面しているといっても過言ではない北朝鮮の状況。金正日氏が国民の生活を犠牲にしてまですすめる武装化とは、一体どんなものなのでしょうか。まず、兵士の数。韓国と、韓国にいるアメリカ軍の数があわせておよそ70万人。対する北朝鮮は、110万人。北朝鮮では、国民の20人に1人が軍人。南の韓国を攻めるまでの所要時間はわずか6分といわれています。続いてミサイル。まずはアメリカ本土まで届く力をもっているというテポドン2号。これはまだ開発中とみられています。テポドン1号は、中国やグアムが射程範囲。そして3つめが、近距離用のノドンミサイル。射程範囲はなんと、日本全土。発射から日本に到達するまで10分弱。このミサイルが日本に向けて、実に100基以上が配備されているといわれています。さらに、このノドンミサイルには生物・化学兵器などを搭載することが可能とされているのです。17種、2500〜5000トンの生物化学兵器を持つという北朝鮮。つまり北朝鮮は毒ガスやウィルスをわずか10分弱で日本にばら撒く力を持っているのです。そして、今回開発を認めた核兵器。「核兵器は確実に持ってます。2つから5つ。長崎に落とされたのと同じ、4・5トンタイプ」(恵谷治氏/ジャーナリスト)。まだミサイルに搭載する技術はないといわれていますが、実はこんな方法で日本を攻撃する可能性もあるといわれています。それは、核爆弾を輸出用の荷物と共にコンテナに積んで船で運び、陸揚げされた時に爆発させる、というものです。
 これからの交渉で最悪の事態を防ぐことはできるのでしょうか。そして2300万人の国民が無事に春を迎えることはできるのでしょうか…。
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