世界最大の木造建築として知られる「東大寺 大仏殿」。中に入ると“大仏さま”のあまりの迫力に圧倒されます。思わず手を合わせてしまう存在感…聖武天皇が国を護るために建造したものです。当時の国民の2人に1人が関わったとされる壮大な国家事業だったといいます。 実は大仏殿には、“大仏さま”の他にも多数の仏像が安置されています。“大仏さま”のお隣には、“虚空蔵菩薩”。ここで、「仏像には4つのランクがある」ということを教えていただきました。“大仏さま”は最高位の“如来”。“虚空蔵菩薩”はそれに次ぐ“菩薩”、これは“如来”になるべく修行中の段階だそうです。そして“明王”、“天”。仏像の奥深い世界を知りました。
大仏殿から坂道と石段を登ってゆくと、「二月堂」があります。ここのご本尊は“十一面観音”、お寺の方も見たことがないという「絶対の秘仏」です。ここ二月堂は、「修二会」を行うためのお堂。修二会は「お水取り」とも呼ばれ、奈良を代表する祭事のひとつで、人間が知らず知らずのうちに犯しているあらゆる罪をご本尊の観音さまに懺悔する行事です。


東大寺から、春日大社の森(ささやきの小径)をぬけ、高畑と呼ばれる住宅地へ。そこにひっそりと建つのが「新薬師寺」です。かつては東大寺に匹敵する広大な敷地と多くの伽藍が建ち並んでいたという古刹ですが、現在は本堂を残すのみ。しかしこの本堂の中には、驚くべき仏像群が!
ご本尊の“薬師如来”と、それをぐるりと取り囲む“十二神将”。それぞれ個性的なポーズで、力強く周囲に睨みをきかせています。この“十二神将”はランクでいうと“天”にあたります。仏様を守る様々な神様が“天”なのです。
ここの“薬師如来”は、聖武天皇のお后・光明皇后が、大仏建造の途中で目を悪くした聖武天皇の眼病平癒を祈願し、作ったもの。この願いは通じ、聖武天皇の眼病は治り、大仏は無事完成したのです。古刹の仏像にこめられた、大きな夫婦愛です。


新薬師寺のある高畑地区は、瓦葺の土塀が立ち並び、奈良らしい風情ある町並みが続きます。 そんな閑静な住宅地に、一軒の素敵なカフェ「たかばたけ茶論」があります。オーナーの中村紀矩子さんは、そんな奈良の良いところを受け継ぎたいという思いから、40年前に自宅の庭を開放し、このカフェをはじめました。「ここでは美味しいものを出さないと、お客さんが足を運んでくれないんです。」と中村さん。丁寧に煎れられたコーヒーや紅茶、そしてこだわりのオリジナルケーキは、納得のお味です。


「暗夜行路」「城の崎にて」などで知られる文豪・志賀直哉は、奈良をこよなく愛し、奈良市の高畑という地区に家族愛に満ちた家を建てました。外観は日本建築、しかし中は高い天井や部屋と部屋をつなぐ窓など、和洋折衷で様々な工夫が凝らされています。特に2階の客間には大きな窓が作られ、そこから若草山を一望することができます。そこにも、普通なら壁になってしまうところをすべてガラス窓にした、志賀直哉のこだわりがみられます。文豪の息づかいを感じるひとときです。


奈良公園の中にある料理旅館「江戸三」。ここでは、かつて志賀直哉が友人たちをもてなして食べさせたという鍋料理をいただくことができます。山盛りのほうれん草に、伊勢海老、鯛、ハマグリや湯葉など、贅沢な食材が盛り付けられ、これを見た志賀直哉が「若草鍋」と命名したそうです。 美味しさの決め手は18種類以上もの素材から出るダシ。何とも深い味わいに、心も体も癒されます。


春日大社の境内、飛火野。朝の幻想的な景色の中で行われる、奈良の風物詩、「鹿寄せ」。ホルンを吹くと、どこからともなく鹿が集まってきます。菊川さんも原さんも、集まってくる鹿の大群にびっくりです。今から100年以上も前から始まったこの伝統行事、2月1日から3月10日まで、無料で体験できます。


新薬師寺あたりは、住宅地の中に多くの“お地蔵さま”が祀られており、地元の人たちの篤い信仰を受けています。 そこを抜けて、長い長い石段を登った先に「白毫寺」があります。境内からは奈良市内を一望する絶景を見ることができます。このお寺には、“地蔵菩薩”と“閻魔大王”が並んで置かれています。ご住職にうかがうと、実はこの二つの間にはとても密接な関係があるのだとか、その意外な関係とは?ちなみに4つのランクでいうと、“地蔵菩薩”は2つ目の“菩薩”、そして“閻魔大王”は“天”にあたるそうです。

  1. フォトギャラリー 京の情景をお楽しみください。

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