2010年10月30日(土) 午前10時50分 放送 都のかほりスペシャル 彩りの古都をゆく 京都もみじ絵巻 千年の輝き

金戒光明寺

3人が待ち合わせたのは、浄土宗大本山・金戒光明寺。法然上人が最初に布教を行った地で、江戸時代初期、徳川家康が二条城、知恩院と共に京都の治安維持のために城構えとして整備したこともあり、広大な伽藍を誇っています。






幕末には、ここに京都守護職の本陣がおかれ、あの新撰組が誕生した場所とも言われています。よく時代劇の撮影に使われている場所でもあります。今回は、ここを出発点に、京都の紅葉の魅力と、そこに秘められたエピソードを紐解いてゆきます。

嵐山

平安時代、貴族たちの遊興の地として整備された嵐山。屋形船から、色づく山をのんびりと堪能することができます。川越しに眺める小倉山。小倉百人一首は、この山の麓で編纂されました。

小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ (藤原忠平)

様々な歌にも詠まれてきた景勝地・嵐山。千二百年以上の時を経て、変わらぬ美しさを見せてくれます。




東福寺

鎌倉時代、京都最大の伽藍を目指し、奈良・東大寺の「東」と興福寺の「福」の字をとって名づけられたという東福寺。京都五山のひとつであり、室町幕府4代将軍・足利義持によって再建された三門は日本最古で、国宝にも指定されています。大きな本堂の天井に描かれている龍は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家・堂本印象の作。心を込めて手を叩くと、その反響音が鳴き声に聞こえるという「鳴き龍」です。



ここで、驚きの発見がありました。お堂に祀られていたのは、巨大な手。なんとかつてここには奈良・東大寺に匹敵する大きさの大仏様がいらっしゃったといいます。火災によって焼けた際、手だけが残り、それが今も祀られているのです。






そして、通天橋という渡り廊下からの眺めは、まさに「紅葉の海」。京都でも有数の紅葉の名所なのですが、かつてここは桜の木で植えられていたのだとか。室町時代、「桜があると遊興の地となり修行妨げとなる」と桜を切って楓を植えたのだといいます。その結果、私たちは圧倒的な美しさの「紅葉の海」を見ることができるようになったのです。

醍醐寺

豊臣秀吉の「醍醐の花見」で知られる、醍醐寺。秀吉が自ら設計したと言われる「三宝院庭園」は、桃山時代の華やかな雰囲気を今に伝えています。秀吉は醍醐寺で盛大な花見の宴を開いたその年の秋に、ここで紅葉狩りを予定していたそうです。ところがこの年の夏、世を去ってしまいます。秀吉が夢ながら叶わなかった紅葉狩り。醍醐寺の紅葉は、桜に負けず劣らず、見事です。






大覚寺

「嵯峨御所」とも呼ばれ、特に格式の高い門跡寺院である大覚寺。ここには紅葉を描いた襖絵があります。この寺の門跡(住職)は代々、皇族がついてきました。そのため外出もままならず、外の季節の移ろいを室内にいながらにして感じられるようにと、四季の花鳥風月を襖絵として描いたのだといいます。霊宝館ではこの秋、狩野永徳が描いた「松ニ山鳥図」が特別公開されています。






茶寮・宝泉

真矢さんがお気に入りの和菓子店、茶寮・宝泉。一見、料亭と見まごうような素晴らしい日本建築の中で、庭を眺めながら、季節の和菓子をいただくことができます。この店の特徴は、出される菓子が毎日変わること。秋は日に日に色を深めてゆく紅葉の葉を毎日眺め、その色に合わせたものを作っているそうです。




緑から黄、そして紅へと微妙なグラデーションを描きながら変化してゆく京都の紅葉を、小さな和菓子に凝縮して表現する繊細さ。京都の人々の季節の楽しみ方を感じます。






  1. フォトギャラリー 京の情景をお楽しみください。

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