競技結果 フリーコンビネーションソロデュエットチーム、/4種目
9月17日(日)
チーム 全4種目メダル制覇へ!ガンバレ!ニッポン!
日本が世界に誇る最大の武器、それは技術力。その技術力が評価されるテクニカルルーティンで、宿敵ロシア、追いすがるスペインを押さえれば、一番いい色のメダルの可能性も!!
地元日本の声援を受け、マーメイドJAPANが全4種目メダル制覇へ!
▼チーム 競技結果
総合順位
順位 国名 TR FR 合計点
1 ロシア RUS 49.350 49.750 99.100  
2 日本 JPN 48.700 49.050 97.750 1.350
3 スペイン ESP 48.700 48.900 97.600 1.500
4 アメリカ USA 47.850 48.000 95.850 3.250
5 中国 CHN 47.600 47.850 95.450 3.650
6 カナダ CAN 47.000 47.350 94.350 4.750
7 イタリア ITA 46.350 46.500 92.850 6.250
8 ウクライナ UKR 45.450 45.850 91.300 7.800
9 フランス FRA 44.300 44.750 89.050 10.050
10 ブラジル BRA 44.100 44.300 88.400 10.700
11 スイス SUI 43.450 43.550 87.000 12.100
12 オーストラリア AUS 40.400 41.750 82.150 16.950

TR:テクニカルルーティン得点(50%) FR:フリールーティン得点(50%)

チーム フリールーティン
順位 国名 EX OI 合計点 TR結果
1 ロシア RUS 49.600 49.900 99.500 49.750  
2 日本 JPN 49.100 49.000 98.100 49.050 0.700
3 スペイン ESP 48.800 49.000 97.800 48.900 0.850
4 アメリカ USA 47.900 48.100 96.000 48.000 1.750
5 中国 CHN 47.700 48.000 95.700 47.850 1.900
6 カナダ CAN 47.300 47.400 94.700 47.350 2.400
7 イタリア ITA 46.400 46.600 93.000 46.500 3.250
8 ウクライナ UKR 45.700 46.000 91.700 45.850 3.900
9 フランス FRA 44.600 44.900 89.500 44.750 5.000
10 ブラジル BRA 44.200 44.400 88.600 44.300 5.450
11 スイス SUI 43.400 43.700 87.100 43.550 6.200
12 オーストラリア AUS 41.700 41.800 83.500 41.750 8.000

TM:テクニカルメリット AI:アーティスティックインプレッション

 

●フリー・ルーティン
 午前に行われたテクニカル・ルーティン(TR)後、歓喜のスペインチームに対して、ショックを隠せない日本チームがいた。「TRで上回ることが、スペインに勝つための条件」と踏んでいたからだ。しかし同点の2位。肩を落とす8人に、「やるしかないじゃん! やるしか」と、リザーブに回っていたエース鈴木が檄を飛ばす。
 そして迎えた決勝、フリー・ルーティン(FR)。運命のいたずらか、マーメイドJAPANは15番目。最後の登場となった。ロシアは10番目。スペインは続く11番目。
 3強の中で最初に登場したロシアは、やはり「9年間無敗!」を誇る見事なルーティンを披露した。1人目が宙返りで入水し観衆のどよめきを誘うと、いきなり高さのあるジャンプ。その後は長い脚を見せつけるように、軸、角度の揃った脚技を見せる。中盤に再び捻りを入れたジャンプ、そしてスピンを入れた高いリフト。さらに、楽曲「シェヘラザート」に見事に調和するように、立ち技→脚技→立ち技と目まぐるしく舞い続ける。
クラシックバレーのような伝統的な美しく演出された8人の舞いは、まさに芸術的だった。満員の大観衆は演技に吸い込まれるように静まりかえっていく。白鳥をかたどったような倒立姿勢の高いリフトを決め、演技は締めくくられた。完璧だった。ジャッジはTMが、全員9.9点以上で10点満点が2つ。AIが、なんと10点満点が5つ。結果、FR49.750点、トータル99.100点。これでは、スペインと日本が満点を出しても届かない。金メダルが確定した。
 ロシアは、これで全種目金メダル。もちろん総合優勝で、美しい優勝トロフィーを手にるすることになる。
 続いて、ロシア以上に気になるスペインが登場した。テーマは、スペインを代表する芸術家「ダリ」。水着には彼の顔が描かれている。瞳を表現したユニークな組姿勢から演技がスタート。入水後は、立て続けに高いリフトを決め、観客の歓声を誘う。さらに楽曲「ダリ」に乗り、さまざまな立ち技、脚技を見せ、艶女たちはその情熱を表現していく。中盤以降にも、次々とリフト、ジャンプを決めると、大歓声の中、演技は終了した。ジャッジの評価は、TMが9.7〜9,8点、うち9.8点が4つ。AIが9.7〜9.9点、うち9.9点が2つ。結果、FR48.900点、トータル97.600点。銀か銅か、微妙な得点だ。
 12番から14番の中国、アメリカ、カナダは、気になるほどの高得点は獲得しなかった。やはり日本の目標は、スペイン超えのみ。48.900点以上を絶対取りたい! FRではTRからは2名を入れ替え、エース鈴木と身長170cmの青木愛を投入した。体の大きい選手を増やし、スケール感を出したい狙いがあった。
「ニッポン!」。コールされる前からすでに、手拍子が起きていた。入場してくると、悲鳴のような大歓声。鮮やかな緑のコスチュームがまぶしい。TR後に見せた暗い表情は、8人のマーメイドたちから消えていた。入水直後にジャンプなどの派手な技を見せるチームが多い中、日本チームは立ち技からスタート。そして脚技。さまざまなパターンで、これでもかと繰り返される。自分たちの得意とする、演技の同調性を徹底的に見せつけた。メリハリ、そしてキレがある。本来の日本のよさが存分に生かされていた。中盤すぎ、やっとリフト。軸の通った軽やかなスピンも加えた。さらに終盤に、初めてのジャンプ。鮮やかに決まった。最後に、まるで花のような円陣をタイトに形作りフィニッシュ。超満員の拍手は、なかなか鳴り止まなかった。
 緊張の面持ちで得点を待つマーメイドたち。まず目に入ったのは、9と8の数字。TMは9.8〜9.9点、うち9.9点が2つ。AIは、9.9点が1つ、9.7点が1つ、そしてあとは9.8点。マーメイドたちが笑顔に変わる中、
「FR49.050点、トータル97.750点、ニッポン2位」
のアナウンスがされる。彼女たちの笑顔には、感激の涙がこぼれ始めた。
「打倒スペイン」。それが合言葉だった。そして、それが見事に実現された。
「マーメイドJAPAN、銀メダル獲得。さらに全4種目でメダルを奪取」
 最後の最後に、最高の瞬間が待っていたのだった。

チーム テクニカルルーティン
順位 国名 EX OI 合計点 TR結果
1 ロシア RUS 49.400 49.300 98.700 49.350  
2 日本 JPN 48.800 48.600 97.400 48.700 0.650
2 スペイン ESP 48.700 48.700 97.400 48.700 0.650
4 アメリカ USA 47.800 47.900 95.700 47.850 1.500
5 中国 CHN 47.700 47.500 95.200 47.600 1.750
6 カナダ CAN 46.800 47.200 94.000 47.000 2.350
7 イタリア ITA 46.300 46.400 92.700 46.350 3.000
8 ウクライナ UKR 45.300 45.600 90.900 45.450 3.900
9 フランス FRA 44.400 44.200 88.600 44.300 5.050
10 ブラジル BRA 43.900 44.300 88.200 44.100 5.250
11 スイス SUI 43.500 43.400 86.900 43.450 5.900
12 オーストラリア AUS 39.900 40.900 80.800 40.400 8.950

EX:エクスキューション OI:オーバーオール・インプレッション

 

●テクニカル・ルーティン
 最終日、「チーム」でのマーメイドJAPANの大きなテーマは、テクニカル・ルーティン(TR)でライバルのロシアとスペインを上回ること。テクニック的な部分にこそ、日本にアドバンテージがあるからだ。特に、絶対負けたくないスペインには、ここで点差をつけたい。
 そんな思惑の中、始まったTR。2番手にいきなり9年間無敗の最強ロシアの登場となった。マンボのリズムに乗って、目が覚める軽快な演技が繰り広げられる。スピード感たっぷりに規定技を決めていく。そして脚技も立ち技も、高くて見栄えがする。見せ場のアクロバティックムーブでは、高くリフトされた2人がくるりときれいに回転した。最後はキレのある脚技を同調させてフィニッシュ。エクスキューション(EX)で10点満点ジャッジを2つ獲得。オーバーオール・インプレッション(OI)は、すべて9.8〜9.9点。結果、TR49.350点をたたき出した。
 日本の順番も早く、5番目の登場となった。チームを引っ張るエース鈴木を温存してのTR。入水後、さっそくキレのある脚技を披露し、動きのパターンも多彩、8人の選手は一丸となって勝負に臨んだ。
 その後規定技はきっちりとこなしていく。ブーストなどの立ち技、ダブルのリフトなど大きかった。終盤のスピンはきちっと同調、ゆったりと入水。思わず会場中から拍手が起こる。ジャッジの評価は、すべて9.7〜9.8点。EXで4つ、OIで2つ、9.8点がつけられた。結果、TR48.700点。
 スペインは、後半の12番目に登場。エース・メングアルは温存して「情熱の艶女軍団」のルーティンだ。ひざの曲げ伸ばしが激しく繰り広げられる、鮮やかな脚技が印象に残る。規定技の完成度は日本が上と思われるが、華麗な動きで流れを作る。同調性にも、大きなミスは感じられない。リフトからのダブルジャンプも、着水までぴったりと揃った。ジャッジはEX、OIともに9.6〜9.9点。EX、OIそれぞれに9.9点が1つずつだ。結果、TR48.700点。日本と同点の2位となった。
「日本とスペインが同点で並んだ!」
 日本としては本来、少なくともスペインは上回りたかったところだが、がっぷりよつで臨むフリールーティンがますます見逃せなくなった。そして、4位のアメリカはTR47.850点。日本・スペインとの差は、0.850点と開いている。
全4種目メダル制覇が大きく見えてきた。11人の心を一つに、マーメイドJAPAN、有終の美を飾れ!!