順位 |
国名 |
EX |
OI |
合計点 |
TR結果 |
差 |
1 |
ロシア |
RUS |
49.600 |
49.900 |
99.500 |
49.750 |
|
2 |
日本 |
JPN |
49.100 |
49.000 |
98.100 |
49.050 |
0.700 |
3 |
スペイン |
ESP |
48.800 |
49.000 |
97.800 |
48.900 |
0.850 |
4 |
アメリカ |
USA |
47.900 |
48.100 |
96.000 |
48.000 |
1.750 |
5 |
中国 |
CHN |
47.700 |
48.000 |
95.700 |
47.850 |
1.900 |
6 |
カナダ |
CAN |
47.300 |
47.400 |
94.700 |
47.350 |
2.400 |
7 |
イタリア |
ITA |
46.400 |
46.600 |
93.000 |
46.500 |
3.250 |
8 |
ウクライナ |
UKR |
45.700 |
46.000 |
91.700 |
45.850 |
3.900 |
9 |
フランス |
FRA |
44.600 |
44.900 |
89.500 |
44.750 |
5.000 |
10 |
ブラジル |
BRA |
44.200 |
44.400 |
88.600 |
44.300 |
5.450 |
11 |
スイス |
SUI |
43.400 |
43.700 |
87.100 |
43.550 |
6.200 |
12 |
オーストラリア |
AUS |
41.700 |
41.800 |
83.500 |
41.750 |
8.000 |
TM:テクニカルメリット AI:アーティスティックインプレッション
●フリー・ルーティン
午前に行われたテクニカル・ルーティン(TR)後、歓喜のスペインチームに対して、ショックを隠せない日本チームがいた。「TRで上回ることが、スペインに勝つための条件」と踏んでいたからだ。しかし同点の2位。肩を落とす8人に、「やるしかないじゃん! やるしか」と、リザーブに回っていたエース鈴木が檄を飛ばす。
そして迎えた決勝、フリー・ルーティン(FR)。運命のいたずらか、マーメイドJAPANは15番目。最後の登場となった。ロシアは10番目。スペインは続く11番目。
3強の中で最初に登場したロシアは、やはり「9年間無敗!」を誇る見事なルーティンを披露した。1人目が宙返りで入水し観衆のどよめきを誘うと、いきなり高さのあるジャンプ。その後は長い脚を見せつけるように、軸、角度の揃った脚技を見せる。中盤に再び捻りを入れたジャンプ、そしてスピンを入れた高いリフト。さらに、楽曲「シェヘラザート」に見事に調和するように、立ち技→脚技→立ち技と目まぐるしく舞い続ける。
クラシックバレーのような伝統的な美しく演出された8人の舞いは、まさに芸術的だった。満員の大観衆は演技に吸い込まれるように静まりかえっていく。白鳥をかたどったような倒立姿勢の高いリフトを決め、演技は締めくくられた。完璧だった。ジャッジはTMが、全員9.9点以上で10点満点が2つ。AIが、なんと10点満点が5つ。結果、FR49.750点、トータル99.100点。これでは、スペインと日本が満点を出しても届かない。金メダルが確定した。
ロシアは、これで全種目金メダル。もちろん総合優勝で、美しい優勝トロフィーを手にるすることになる。
続いて、ロシア以上に気になるスペインが登場した。テーマは、スペインを代表する芸術家「ダリ」。水着には彼の顔が描かれている。瞳を表現したユニークな組姿勢から演技がスタート。入水後は、立て続けに高いリフトを決め、観客の歓声を誘う。さらに楽曲「ダリ」に乗り、さまざまな立ち技、脚技を見せ、艶女たちはその情熱を表現していく。中盤以降にも、次々とリフト、ジャンプを決めると、大歓声の中、演技は終了した。ジャッジの評価は、TMが9.7〜9,8点、うち9.8点が4つ。AIが9.7〜9.9点、うち9.9点が2つ。結果、FR48.900点、トータル97.600点。銀か銅か、微妙な得点だ。
12番から14番の中国、アメリカ、カナダは、気になるほどの高得点は獲得しなかった。やはり日本の目標は、スペイン超えのみ。48.900点以上を絶対取りたい! FRではTRからは2名を入れ替え、エース鈴木と身長170cmの青木愛を投入した。体の大きい選手を増やし、スケール感を出したい狙いがあった。
「ニッポン!」。コールされる前からすでに、手拍子が起きていた。入場してくると、悲鳴のような大歓声。鮮やかな緑のコスチュームがまぶしい。TR後に見せた暗い表情は、8人のマーメイドたちから消えていた。入水直後にジャンプなどの派手な技を見せるチームが多い中、日本チームは立ち技からスタート。そして脚技。さまざまなパターンで、これでもかと繰り返される。自分たちの得意とする、演技の同調性を徹底的に見せつけた。メリハリ、そしてキレがある。本来の日本のよさが存分に生かされていた。中盤すぎ、やっとリフト。軸の通った軽やかなスピンも加えた。さらに終盤に、初めてのジャンプ。鮮やかに決まった。最後に、まるで花のような円陣をタイトに形作りフィニッシュ。超満員の拍手は、なかなか鳴り止まなかった。
緊張の面持ちで得点を待つマーメイドたち。まず目に入ったのは、9と8の数字。TMは9.8〜9.9点、うち9.9点が2つ。AIは、9.9点が1つ、9.7点が1つ、そしてあとは9.8点。マーメイドたちが笑顔に変わる中、
「FR49.050点、トータル97.750点、ニッポン2位」
のアナウンスがされる。彼女たちの笑顔には、感激の涙がこぼれ始めた。
「打倒スペイン」。それが合言葉だった。そして、それが見事に実現された。
「マーメイドJAPAN、銀メダル獲得。さらに全4種目でメダルを奪取」
最後の最後に、最高の瞬間が待っていたのだった。
順位 |
国名 |
EX |
OI |
合計点 |
TR結果 |
差 |
1 |
ロシア |
RUS |
49.400 |
49.300 |
98.700 |
49.350 |
|
2 |
日本 |
JPN |
48.800 |
48.600 |
97.400 |
48.700 |
0.650 |
2 |
スペイン |
ESP |
48.700 |
48.700 |
97.400 |
48.700 |
0.650 |
4 |
アメリカ |
USA |
47.800 |
47.900 |
95.700 |
47.850 |
1.500 |
5 |
中国 |
CHN |
47.700 |
47.500 |
95.200 |
47.600 |
1.750 |
6 |
カナダ |
CAN |
46.800 |
47.200 |
94.000 |
47.000 |
2.350 |
7 |
イタリア |
ITA |
46.300 |
46.400 |
92.700 |
46.350 |
3.000 |
8 |
ウクライナ |
UKR |
45.300 |
45.600 |
90.900 |
45.450 |
3.900 |
9 |
フランス |
FRA |
44.400 |
44.200 |
88.600 |
44.300 |
5.050 |
10 |
ブラジル |
BRA |
43.900 |
44.300 |
88.200 |
44.100 |
5.250 |
11 |
スイス |
SUI |
43.500 |
43.400 |
86.900 |
43.450 |
5.900 |
12 |
オーストラリア |
AUS |
39.900 |
40.900 |
80.800 |
40.400 |
8.950 |
EX:エクスキューション OI:オーバーオール・インプレッション
●テクニカル・ルーティン
最終日、「チーム」でのマーメイドJAPANの大きなテーマは、テクニカル・ルーティン(TR)でライバルのロシアとスペインを上回ること。テクニック的な部分にこそ、日本にアドバンテージがあるからだ。特に、絶対負けたくないスペインには、ここで点差をつけたい。
そんな思惑の中、始まったTR。2番手にいきなり9年間無敗の最強ロシアの登場となった。マンボのリズムに乗って、目が覚める軽快な演技が繰り広げられる。スピード感たっぷりに規定技を決めていく。そして脚技も立ち技も、高くて見栄えがする。見せ場のアクロバティックムーブでは、高くリフトされた2人がくるりときれいに回転した。最後はキレのある脚技を同調させてフィニッシュ。エクスキューション(EX)で10点満点ジャッジを2つ獲得。オーバーオール・インプレッション(OI)は、すべて9.8〜9.9点。結果、TR49.350点をたたき出した。
日本の順番も早く、5番目の登場となった。チームを引っ張るエース鈴木を温存してのTR。入水後、さっそくキレのある脚技を披露し、動きのパターンも多彩、8人の選手は一丸となって勝負に臨んだ。
その後規定技はきっちりとこなしていく。ブーストなどの立ち技、ダブルのリフトなど大きかった。終盤のスピンはきちっと同調、ゆったりと入水。思わず会場中から拍手が起こる。ジャッジの評価は、すべて9.7〜9.8点。EXで4つ、OIで2つ、9.8点がつけられた。結果、TR48.700点。
スペインは、後半の12番目に登場。エース・メングアルは温存して「情熱の艶女軍団」のルーティンだ。ひざの曲げ伸ばしが激しく繰り広げられる、鮮やかな脚技が印象に残る。規定技の完成度は日本が上と思われるが、華麗な動きで流れを作る。同調性にも、大きなミスは感じられない。リフトからのダブルジャンプも、着水までぴったりと揃った。ジャッジはEX、OIともに9.6〜9.9点。EX、OIそれぞれに9.9点が1つずつだ。結果、TR48.700点。日本と同点の2位となった。
「日本とスペインが同点で並んだ!」
日本としては本来、少なくともスペインは上回りたかったところだが、がっぷりよつで臨むフリールーティンがますます見逃せなくなった。そして、4位のアメリカはTR47.850点。日本・スペインとの差は、0.850点と開いている。
全4種目メダル制覇が大きく見えてきた。11人の心を一つに、マーメイドJAPAN、有終の美を飾れ!!