競技結果 フリーコンビネーションソロデュエットチーム、/4種目
9月16日(土)
デュエット 日本金メダルへ!!
2005年世界水泳モントリオールでは、スペインに僅差で敗れ銅メダルに甘んじた日本の鈴木・原田組。しかし、今年はリベンジへの気合十分。
5月のJAPAN OPEN、スペインを押さえて優勝。この1年で目を見張る成長を遂げている日本デュエットが金メダルへ挑戦する!
▼デュエット 競技結果
総合順位
順位 名前 国名 TR FR 合計点
1 アナスタシア・ダビドワ(TF)
アナスタシア・エルマコワ(TF)
スベトラーナ・ロマシナ(RR)
ロシア 49.250 49.650 98.900  
2 エマ・メングアル(TF)
パオラ・ティラドス(RF)
アンドレア・フエンテス(TR)
スペイン 48.950 49.100 98.050 0.850
3 鈴木 絵美子(TF)
原田 早穂(TF)
日本 48.450 48.750 97.200 1.700
4 クリスティナ・ジョーンズ(TF)
アンドレア・ノット(TF)
アメリカ 47.400 47.800 95.200 3.700
5 蒋 文文(TF)
蒋 婷婷(TF)
王 娜(RR)
中国 47.350 47.700 95.050 3.850
6 マリーピエール・ブドローガニョン(TF)
ドミニカ・コプチク(TF)
イザベル・ランプリング(RR)
カナダ 46.650 47.050 93.700 5.200
7 ベアトリチェ・アデリッツィ(TF)
ジュリア・ラピ(TF)
イタリア 46.450 46.400 92.850 6.050
8 ダリア・ユシコ(TF)
クセニヤ・シドレンコ(TF)
ユリヤ・マリャンコ(RR)
ウクライナ 45.550 46.100 91.650 7.250
9 ナタリア・アントプル(TF)
エバンティア・マクリヤンニ(TF)
デスポイナ・ソロム(RR)
ギリシャ 45.700 45.750 91.450 7.450
10 アナスタシア・グルシュコフ(TF)
ビクトリア・ヤルモリンスカヤ(TF)
エスター・レビ(RR)
イスラエル 44.250 44.900 89.150 9.750
11 チョ・ミョンギョン(TF)
キム・ミンジョン(TF)
ホン・ヨンジン(RR)
韓国 44.200 44.800 89.000 9.900
12 アンナ・クルキナ(TF)
アルナ・トクタガン(TF)
アイヌル・ケレイ(RR)
カザフスタン 43.500 44.350 87.850 11.050

TR:テクニカルルーティン得点(50%) FR:フリールーティン得点(50%)

(RF) テクニカル:リザーブ、フリー:出場
(RR) テクニカル:リザーブ、フリー:リザーブ
(TR) テクニカル:出場、フリー:リザーブ
(TF) テクニカル:出場、フリー:出場

デュエット フリールーティン
順位 名前 国名 TM AI 合計点 FR結果
1 アナスタシア・ダビドワ
アナスタシア・エルマコワ
ロシア 49.600 49.700 99.300 49.650  
2 エマ・メングアル
パオラ・ティラドス
スペイン 49.000 49.200 98.200 49.100 0.550
3 鈴木 絵美子
原田 早穂
日本 48.800 48.700 97.500 48.750 0.900
4 クリスティナ・ジョーンズ
アンドレア・ノット
アメリカ 47.700 47.900 95.600 47.800 1.850
5 蒋 文文
蒋 婷婷
中国 47.800 47.600 95.400 47.700 1.950
6 マリーピエール・ブドローガニョン
ドミニカ・コプチク
カナダ 47.000 47.100 94.100 47.050 2.600
7 ベアトリチェ・アデリッツィ
ジュリア・ラピ
イタリア 46.500 46.300 92.800 46.400 3.250
8 ダリア・ユシコ
クセニヤ・シドレンコ
ウクライナ 46.000 46.200 92.200 46.100 3.550
9 ナタリア・アントプル
エバンティア・マクリヤンニ
ギリシャ 46.000 45.500 91.500 45.750 3.900
10 アナスタシア・グルシュコフ
ビクトリア・ヤルモリンスカヤ
イスラエル 45.000 44.800 89.800 44.900 4.750
11 チョ・ミョンギョン
キム・ミンジョン
韓国 45.200 44.400 89.600 44.800 4.850
12 アンナ・クルキナ
アルナ・トクタガン
カザフスタン 44.500 44.200 88.700 44.350 5.300

TM:テクニカルメリット AI:アーティスティックインプレッション

 

●フリー・ルーティン
 予想通り3強対決となったデュエット。決勝、フリー・ルーティン(FR)では、まず3位につけた日本が先攻。20番目に登場した。合図の笛を待つ鈴木の表情は、気迫がみなぎっていた。2人同時に静かに入水すると、いきなり見せたのがリフトしてのスピン。満員の会場は大歓声に包まれる。そして高いブースト、さらに脚技の連続。シャキッとしたシャープな演技が続く。「カルミナブラーナ」、「ノストラダムス」、「キャッスルバニア」と使用した3曲に合わせ、表現、表情も変わっていった。なお曲のつなぎは、ピアノが特技の原田が担当した。テンポを上げた終盤では、他には見ない高速の脚技の連続でフィニッシュ。会場は大歓声、2人はすべてをやり遂げた放心した表情。ジャッジはすべて9.7点以上。TMで4つ、AIで3つ、9.8点を並べた。結果、FR48.750点、トータル97.200点で、ライバル2ヶ国を待つ。
 22番手、ロシア。「4年間無敗!」の技、経験が存分に生かされていた。豪快に入水したダビドワとエルマコワは、つめを立て、けもののような表情で立ち技を見せる。映画「ヴァン・ヘルシング」から引用した音楽に合わせ、力強い演技が続く。派手な演出というよりは、難しい技を淡々とこなしていく展開だ。そして2人の距離が近く、しかも正確無比な様は、他を圧倒している。終盤、力強いリズムに合わせ、高くて角度の大きいロケットスプリットが決まると、場内は喝采に包まれた。ジャッジの評価はTMで2つ、AIで3つ、なんと10点満点。どよめきが巻き起こった。FR49.650点、トータル98.900点。この時点で、金メダルが決まったといってもいいだろう。
 スペインは24番目、最後に登場した。その直前のカナダが暫定6位に終わり、日本のメダルは確定していたが、昨年の世界水泳の雪辱で逆転銀メダルを狙いたいのが鈴木と原田の本音だった。
 メングアルの相手をティラドスに代え、楽曲「4元素」でラストルーティンに臨んだススペインは老獪だった。高い脚技の連続であっといわせ、柔軟な体を生かした見事な表現力で、壮麗な曲のドラマを演じていく。この楽曲は、アテネ五輪や昨年の世界水泳などと同じの、長年使用しているもの。新しいルーティンに臨んでいた日本とは、熟練度で差がついたのかも・・・。ジャッジは、TM、AIとも9.8点以上を6つ並べた。AIでは、3ジャッジが9.9点をつけた。結果、FR49.000点、トータル98.050点。昨年の世界水泳に続き、3大大会2連続での銀メダルとなった。
 打倒スペインを目指した日本は、残念ながら願いは叶わず。しかし銅メダルにより、3日連続のメダルは確実に獲得した。最終日のチームでは、いよいよ全種目メダルをかけた戦いとなる。

デュエット テクニカルルーティン
順位 名前 国名 EX OI 合計点 TR結果
1 アナスタシア・ダビドワ
アナスタシア・エルマコワ
ロシア 49.300 49.200 98.500 49.250  
2 エマ・メングアル
アンドレア・フエンテス
スペイン 49.000 48.900 97.900 48.950 0.300
3 鈴木 絵美子
原田 早穂
日本 48.400 48.500 96.900 48.450 0.800
4 クリスティナ・ジョーンズ
アンドレア・ノット
アメリカ 47.300 47.500 94.800 47.400 1.850
5 蒋 文文
蒋 婷婷
中国 47.200 47.500 94.700 47.350 1.900
6 マリーピエール・ブドローガニョン
ドミニカ・コプチク
カナダ 46.500 46.800 93.300 46.650 2.600
7 ベアトリチェ・アデリッツィ
ジュリア・ラピ
イタリア 46.700 46.200 92.900 46.450 2.800
8 ナタリア・アントプル
エバンティア・マクリヤンニ
ギリシャ 45.900 45.500 91.400 45.700 3.550
9 ダリア・ユシコ
クセニヤ・シドレンコ
ウクライナ 45.400 45.700 91.100 45.550 3.700
10 アナスタシア・グルシュコフ
ビクトリア・ヤルモリンスカヤ
イスラエル 44.000 44.500 88.500 44.250 5.000
11 チョ・ミョンギョン
キム・ミンジョン
韓国 44.400 44.000 88.400 44.200 5.050
12 マグダレナ・ブルナー
アリアン・シュナイダー
スイス 43.300 44.200 87.500 43.750 5.500

EX:エクスキューション OI:オーバーオール・インプレッション

 

●テクニカル・ルーティン
 前日のソロに続き、やはり3強と見られるデュエット。
「4年間無敗」を誇る、ダビドワ&エルマコワのロシア。「情熱の艶女」メングアルのパートナーをフェンテスに代えて臨むスペイン。前日ソロ銅メダルの「日本のエース」鈴木絵美子と、「努力の人魚姫」原田早穂が組む、我らが日本。テクニカルルーティンでは、やはりこの3強が3位までを占めた。
 最初に登場は、8番スタートのロシアだった。タンゴのリズムに乗って、シャープな動きでルーティンを組み立てる。ハイレベルに規定技をこなしながら、その合間合間にも難易度の高い技を入れ、全体のレベルを上げていく。脚の曲がりなどほんのわずかなところに、ロシアらしくないパートも見られたが、それでもエクスキューション(EX)の1ジャッジを除きすべて9.8点以上。オーバーオール・インプレッション(OI)では、10点満点をつけるジャッジも。トータル49.250点と、さすがの貫禄を示す。
 続いての登場は、13番手の日本だ。昨年の世界水泳でスペインに逆転で銀メダルを許した雪辱を果たすべく、気合のこもった表情。楽曲の「スパルタカス」に合わせ、いきなり細かく素早い脚技で見せ場を作る。規定技のスピンなどは、比較的ゆったりと確実にこなしながら、多く回転するなどレベルの高さを示した。しかし、やや気負った面が見えたであろうか!? 目標までは得点を伸ばせなかった。EX、OIともに9.6~9.8点。9.8点が3ジャッジであり、本来なら9.8~9.9点をもう少し増やしたかったところだ。トータル48.450点で、スペインの演技を待つ。
 スペインの順番は、ラストから2番目。23番だった。5月のJAPAN ORENで鈴木・原田組に破れ、メングアルの相手をフェンテスに代えた効果がはっきり出ていた。どちらかというと苦手だった規定技が、フェンテスの安定した高さによってきっちり固まったようだ。また、柔軟な体を生かした自慢の表現力は、デュエットの場でも生かされていた。9.8点以上のジャッジをEXで5つ、OIで4つ稼ぎ出し、得点はトータル48.950点。テクニカルルーティン2位通過を果たした。
 決勝のフリールーティーンで日本は、0.500点差でスペインを、0.800点差でロシアを追う。点差は決して大きくない。改めてスペインへの雪辱、ロシアへの挑戦を心に、鈴木と原田は決戦に臨む。