競技結果 フリーコンビネーションソロデュエットチーム、/4種目
9月14日(木)
フリーコンビネーション 4日間の戦いを占う大事な初戦 総合力の争い
「究極のシンクロ」とも呼ばれる、いわば水上のミュージカル。
テーマ曲も各国、「キャッツ」などの実際のミュージカルを題材にしたものが多い。
ソロ・デュエット・チームそれぞれのパートが流れで楽しめる他、ほかにはないトリオ(3人シンクロ)パートも見所。2005年世界水泳モントリオールでこの種目の初代チャンピオンでもある日本に期待がかかる。
▼フリーコンビネーション 競技結果
フリーコンビネーション 決勝
順位 国名 TM AI 合計点
1 ロシア RUS 49.500 49.500 99.000  
2 日本 JPN 49.000 49.000 98.000 1.000
3 スペイン ESP 48.400 48.600 97.000 2.000
4 カナダ CAN 47.600 47.900 95.500 3.500
5 イタリア ITA 46.600 47.000 93.600 5.400
6 ウクライナ UKR 46.000 46.500 92.500 6.500
7 フランス FRA 44.700 45.100 89.800 9.200
8  ブラジル BRA 44.300 44.800 89.100 9.900
9 スイス SUI 43.400 44.000 87.400 11.600

TM:テクニカル・メリット AI:アーティスティックインプレッション

 

●決勝
 決勝の演技順は、フランス、スイス、ブラジル、スペイン、ウクライナ、日本、ロシア、イタリア、カナダ。
 フランス、スイス、ウクライナが予選より得点を落とし、ブラジルは9.0点に届かない。そんな中、3強のひとつ、スペインがきっちり力を発揮した。1回半の後方宙返りの大ジャンプでいきなり観客を盛り上げると、ミュージカル「CATS」の楽曲にのって猫のごときプールを駆け巡る。2段仕立ての倒立リフト、開脚のジャンプも大きく決まった。中盤のデュエットのスローパートも、感性豊かな表現力で哀愁のこもった展開を魅せる。得点はTMで9.6〜9.7点、AIで9.6〜9.9点を並べ、トータル97.000点。予選より0.3点の上乗せに成功。日本にプレッシャーをかける。
 それに対抗すべきマーメイドJAPANも奮闘した。地元の大歓声に応援され、生き生きと10名が舞う。デュエット、トリオ、グループ、ソロと組み合わせが変わっても、同調性は乱れない。6名で作られた輪の中でデュエットのスピンがきれいに決まると、観客席からは思わず感嘆のため息が漏れる。エース、鈴木絵は決勝でも華麗なソロパートを演じた。
 得点はTMもAIも目標としていた9.8点を6つ並べ、トータル98.000点。ライバル、スペインはきっちりと上回ることに成功。暫定1位で、次に控えるロシアの演技を待つ。
 予選でも98.700を稼いでいたロシアは、決勝でも完璧だった。16歳のヨーロッパチャンピオンなども加わった日本同様若いチームながら、日本以上に完璧な同調を見せる。長い脚がスピード感たっぷりに回転していく。オペラ「コウモリ」から引用したヨハン・シュトラウスの音楽が、水上の舞いに見事に融合している。派手なリフト系の技は少なめだったが、その迫力、優雅さは誰が見ても一番といわざるを得ない出来だった。得点はTM、AIともに9.9点6人。AIのもう1ジャッジは10点満点をつけた。トータル99.000点。もはや残る2チーム、イタリア、カナダは、3強には遠く及ばず。金メダル・ロシア、銀メダル・日本、銅メダル・スペインで、初日のフリーコンビネーションは決着した。

フリーコンビネーション 予選
順位 国名 TM AI 合計点
1 ロシア RUS 49.400 49.300 98.700  
2 日本 JPN 48.700 48.700 97.400 1.300
3 スペイン ESP 48.300 48.400 96.700 2.000
4 カナダ CAN 47.500 47.800 95.300 3.400
5 イタリア ITA 46.600 46.700 93.300 5.400
6 ウクライナ UKR 46.100 46.200 92.300 6.400
7 フランス FRA 44.800 45.300 90.100 8.600
8  ブラジル BRA 44.200 44.700 88.900 9.800
9 スイス SUI 43.800 43.800 87.600 11.100

TM:テクニカル・メリット AI:アーティスティックインプレッション

 

●予選
 9チーム参加した予選。最初に登場はイタリアだ。持ち味であるダイナミックなリフト演技などが光り、テクニカル・メリット(TM)、アーティスティック・インプレッション(AI)ともに9.3点前後を並べ、93.300点を獲得した。続いて登場のウクライナ、ブラジル、フランスは、軽快な演技は見せるがイタリアの得点は越えられない。
 5番手には、大本命ロシアがまさしく完璧な演技で、貫禄を見せ付けた。倒立姿勢の高いリフトからスタートし、難度の高い技を次々と披露。デュエットパートもチームパートも寸分の狂いも感じさせない同調ぶり。シャープで優美な舞いに観客からため息が漏れる。得点はTMもAIも9.8点が二人だけ。あとは9.9点をつけた。トータル98.700点で圧倒的なトップに。
 それに続きたいのが6番手のスペインだ。ミュージカル「CATS」をテーマにした猫の顔がプリントされた水着で登場。そしてその猫らしい軽妙なリズムで、水中、そして水上を舞う。エース、エマ・メングアルを中心に柔軟性、演技力に富んだドラマチックな展開だ。曲調も中盤からスローに、そして終盤は再びアップテンポに。情熱大陸、スペインらしさが存分に現れていた。得点はTM、AIともに9.7点前後を並べ、トータル97.400点。ロシアに次ぐ2位につける。
 そして、7番手スイスの演技が終わり、8番手はいよいよ日本、マーメイドJAPANの登場だ。高いリフトからスタートした日本のマーメイドたちの演技は、他国に比べ小さな体を感じさせないダイナミックさ。水上に飛び出す上半身や脚に高さがあり、体のサイズが大きく見える。3層構造で持ち上げたツインのリフトは、群を抜く高さだった。原田と松村のデュエットでの掛け合いも、おどろおどろしさを出そうという迫力。極めつけとばかり見せたエース鈴木のスラストスピンは、高く、そしてゆっくりと回転。そして終盤には、これでもかとばかりの足技の連続。会場は拍手喝采となった。結果、TM、AIとも9.8点をつけたジャッジが3人ずつ。トータル97.400点で、ライバル、スペインを抜き、ロシアに次ぐ2位につけた。
 最終は伝統国、カナダ。アコーディオンの音楽が軽快な、かわいらしい演技構成。しかし得点は伸びず。95.300点で予選4位が確定。
 よって予選結果は、1位ロシア、2位日本、3位スペイン、4位カナダ。上位はほぼ順当といえるチームが占めることとなった。