競技結果 フリーコンビネーションソロデュエットチーム、/4種目
9月15日(金)
ソロ 新女王争い!
圧倒的な実力を誇ったフランスのデデューが引退。
去年、突如現れた水上のプリマドンナ・ロシアのイシェンコ。
スペインのベテラン、モデルもこなす情熱の艶女(アデージョ)・メングアル。
その中で、世界一の技術力を持つと言われる日本のエース・鈴木絵美子がどこまで食い込めるか!?
▼ソロ 競技結果
総合順位
順位 名前 国名 TR FR 合計点
1 ナターリア・イシェンコ ロシア  49.250 49.500 98.750  
2 エマ・メングアル スペイン  48.550 49.000 97.550 1.200
3 鈴木 絵美子 日 本  48.350 48.500 96.850 1.900
4 クリスティナ・ジョーンズ アメリカ 47.450 47.850 95.300 3.450
5 マリーピエール・ブドローガニョン カナダ  47.300 47.500 94.800 3.950
6 ベアトリチェ・アデリッツィ イタリア  46.100 46.650 92.750 6.000
7 ダリア・ユシコ ウクライナ  45.950 46.300 92.250 6.500
8 ナタリア・アントプル ギリシャ  45.500 45.700 91.200 7.550
9 アナスタシア・グルシュコフ イスラエル  44.900 45.200 90.100 8.650
10 マグダレナ・ブルナー スイス  44.150 44.350 88.500 10.250
11 アポリーヌ・ドレフュス フランス  44.050 44.300 88.350 10.400
12 ソナ・ベルナルドバ チェコ 43.350 44.150 87.500 11.250

TR:テクニカルルーティン得点(50%) FR:フリールーティン得点(50%)

ソロ フリールーティン
順位 名前 国名 TM AI 合計点 FR結果
1 ナターリア・イシェンコ ロシア  49.500 49.500 99.000 49.500  
2 エマ・メングアル スペイン  49.000 49.000 98.000 49.000 0.500
3 鈴木 絵美子 日 本  48.500 48.500 97.000 48.500 1.000
4 クリスティナ・ジョーンズ アメリカ 47.800 47.900 95.700 47.850 1.650
5 マリーピエール・ブドローガニョン カナダ  47.500 47.500 95.000 47.500 2.000
6 ベアトリチェ・アデリッツィ イタリア  46.500 46.800 93.300 46.650 2.850
7 ダリア・ユシコ ウクライナ 46.200 46.400 92.600 46.300 3.200
8 ナタリア・アントプル ギリシャ  45.700 45.700 91.400 45.700 3.800
9 アナスタシア・グルシュコフ イスラエル  45.200 45.200 90.400 45.200 4.300
10 マグダレナ・ブルナー スイス  44.400 44.300 88.700 44.350 5.150
11 アポリーヌ・ドレフュス フランス  44.300 44.300 88.600 44.300 5.200
12 ソナ・ベルナルドバ チェコ 44.300 44.000 88.300 44.150 5.350

TM:テクニカルメリット AI:アーティスティックインプレッション

 

●フリールーティン(FR)
 テクニカルルーティン(TR)において、「水上のプリマドンナ」・1位イシェンコと「情熱の艶女(アデージョ)」・2位メングアルの点差は0.700点。そして、そのメングアルと全種目メダルを狙う3位鈴木絵美子との差は0.200点。決勝のフリールーティンは、3強が1点差以内のまさに女王決定戦となった。
 3強の中で最初に演技したのは、イシェンコだ。蝶のごとき華麗な動きで登場し水中に飛び込むと、立ち技→脚技→立ち技と次々と高いテクニックを披露。すべてを簡単そうにこなす様に、観客にはむしろ息を飲むような緊張感が走った。映画「パッション」から取り入れた優雅な曲が盛り上がるパートに差し掛かると、まさしく情熱的に広い水面を舞った。最後にスピンの連続が決まると、場内は感嘆のため息。テクニカルメリット(TM)は全ジャッジとも9.9点。アーティスティック・インプレッションは(AI)は、6人が9.9点。残り一人は10点満点。FRの得点は49.500点。トータル98.750点という、安全圏とも言えるハイスコアで残り2人を待つ。
 続いて、念願の国際大会でのソロ初メダルを狙う日本のエース、鈴木絵美子が気合十分な表情で登場した。音楽は「トッカータとフーガ」。静かにナチュラルに入水する様は、イメージテーマである「眠りから覚めた人魚姫」を見事に想像させる。そして、さっそく世界に誇る脚技を披露し、会場は興奮に包まれる。水面に絵画を描く如く、しっとり舞いを演じると、曲はアップテンポに。ここからは脚技の連続だ。パターンが次々変わり、その中には鈴木独特の軸を傾けるスピン「絵美子スペシャル」も含み、そのレベルの高さを知るコーチ、選手らからもどよめきが起こる。最後に再びしっとりとした、しかし力強い舞いで演技を見せると、ほっとした笑みが鈴木からこぼれた。脚技だけでなく、表現力にも大きな成長が見られた。そしてジャッジの評価は、TMで6つ、AIで5つの9.7点を並べ、FRの得点48.500点。トータル96.850点で暫定2位。メダルを確定させた。
 最後に登場は、ライバルのメングアルだ。余裕の表情で登場したベテランの演じる曲は「NANA」。スペイン語で子守唄だ。高い脚技、スピンを次々と繰り出し、官能的とまで言える柔軟な舞いには日本の観客からも歓声が上がる。スクリューのような軸を大きく傾けたスピンを見せるときは、最高のどよめきが起きた。得点はTMが全ジャッジ9.8点、AIも1人を除き9.8点。FRの得点は、49.000点。鈴木を引き離し、銀メダルを確定させた。
 結果、金・イシェンコ、銀・メングアル、銅・鈴木。鈴木は昨年の世界水泳で悔しい4位に終わっており、今回が3大大会初、念願のソロのメダルとなった。そして今回、全種目メダルに向け、2個目のメダルを獲得したのだった。

ソロ テクニカルルーティン
順位 名前 国名 EX OI 合計点 TR結果
1 ナターリア・イシェンコ ロシア 49.200 49.300 98.500 49.250  
2 エマ・メングアル スペイン 48.500 48.600 97.100 48.550 0.700
3 鈴木 絵美子 日本 48.300 48.400 96.700 48.350 0.900
4 クリスティナ・ジョーンズ アメリカ 47.400 47.500 94.900 47.450 1.800
5 マリーピエール・ブドローガニョン カナダ 47.200 47.400 94.600 47.300 1.950
6 ベアトリチェ・アデリッツィ イタリア 45.800 46.400 92.200 46.100 3.150
7 ダリア・ユシコ ウクライナ 46.100 45.800 91.900 45.950 3.300
8 ナタリア・アントプル ギリシャ 45.800 45.200 91.000 45.500 3.750
9 アナスタシア・グルシュコフ イスラエル 45.000 44.800 89.800 44.900 4.350
10 マグダレナ・ブルナー スイス 44.100 44.200 88.300 44.150 5.100
11 アポリーヌ・ドレフュス フランス 43.700 44.400 88.100 44.050 5.200
12 ソナ・ベルナルドバ チェコ 43.400 43.300 86.700 43.350 5.900

EX:エクスキューション OI:オーバーオール・インプレッション

 

●テクニカルルーティン
 予選はメングアルが12番、イシェンコが13番、そして鈴木が18番の演技順。
 まず「情熱の艶女(アデージョ)」メングアルが登場すると、会場には一気に華やかな雰囲気が漂った。曲は「アフリカンダンス」。柔軟な体を生かしたメリハリのある動きで、次々と規定技をこなしていく。スピンの軸の傾き、ぶれは時折見られたものの、エクスキューション(EX)で9.7点を5つ、オーバーオール・インプレッション(OI)で9.8点を3つ並べるなど、トータル48.550点を獲得した。
 続いての演技が「水上のプリマドンナ」イシェンコだ。去年の世界水泳で銀メダルという衝撃の世界デビューを果たした彼女、すでに女王のような貫禄で威風堂々とした登場。スラリと伸びた長い手足を武器に確実にゆったりと技をこなしていく様は、まさしく優雅という言葉が当てはまる。6番目コンバインドスピン、7番目スラストスピンと続く規定のスピン技における芯の通ったような安定感など、他選手との違いは数多く明らかだった。得点は、EX、OIともにすべて9.8以上。EXの1つは10点満点ジャッジだった。トータル49.250点と、女王へ向けてまっしぐらという雰囲気だ。
 そしてプレッシャーがかかったのは、我らが鈴木絵美子。しかし、ますます成長著しい日本のエースは、自信に満ちた表情だった。いきなり素早いスピンで会場を沸かせると、次々と自慢の脚技を披露。立ち技にも勢いと高さがある。そして、イシェンコにも負けず劣らずの安定感と優雅さで、技をこなした。最後の規定技、スラストスピンを高く決めると、満足の表情で演技を終えた。得点は、EXで4つ、OIで5つの9.7点を並べ、トータル48.350点。しっかりと3位をキープした。
 3位鈴木と2位メンアグルの得点差は、わずか0.200点。鈴木の演技にはまだまだ余裕が感じられ、夜の決勝次第では銀メダル以上の可能性も十分にありそうだ。