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映画にテレビ・アニメ、漫画など世界で大注目を集める日本文化「アニメ」。日本アニメが世界に与える影響とは? そして日本アニメ業界の現状とは?日本が誇る文化「アニメ」のすべてに迫ります。
'03年に「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)がアカデミー賞およびベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、一躍脚光を浴びることになった日本アニメ映画。今週から始まったカンヌ映画祭では、「イノセンス」(押井守監督)がパルムドールの候補として選出されました。また、4月の「Smaムービー 月イチゴロー イナガキベスト5」で香取編集長が選んだ「アップルシード」(荒牧伸治監督)も全米、ヨーロッパ、アジアなどでの公開が予定されています。
日本国内で1年間に放送されるテレビアニメは年間およそ2500作品。アニメ産業はグッズの売上なども含めると、1兆円を越える超巨大産業となっています。そんな中、海外輸出額は年間5000億円(1年間の全米映画興行収入の半分、日本の対米鉄鋼輸出額の4倍に相当)。日本製アニメは世界シェアの60%を超え、ヨーロッパでは放送されるテレビアニメのうち80%が日本製なのです。映画やテレビアニメだけでなく、漫画も人気。海外の本屋には「MANGA」の棚が並び、日本の漫画が数多く売られています。驚いたことに、「おたく」文化も流出。ヨーロッパでは日本のようにアニメイベント(コスプレショーも)が開催され、そこに参加する若者たちを「カルチャーに造詣の深い人」という尊敬の念を込めて、「otaku」と呼んでいるのです。
そもそも日本アニメが本格的に海外進出したのは1963年。手塚治虫原作の「鉄腕アトム」(洋題:アストロボーイ)が最初でした。アメリカで放送されるや、60%超えの高視聴率。その後、イギリス、フランス、ドイツ、中国などで次々と放送されることになりました。この人気の秘密はストーリー、キャラクターに加え、手塚氏が生み出した大胆なカット割。一連の動作を細かくカット割することで、ドラマチックでテンポのいい作品となったのです。また、当時は1秒間に12枚のセル画を描くのが常識でしたが、手塚氏は1秒間に8枚のセル画を使用。口や手など一部分のみを動かして表現したり、背景のみを変えて別のシーンを作り出すなど、金銭面&作業面&演出面で効率的な手法を生み出しました。その後、アトムに感銘を受けたスタンリー・キューブリック監督から「2001年宇宙の旅」制作にあたり、美術監督を依頼されるも、手塚氏は辞退。実はこの時、手塚氏は「ジャングル大帝」を制作中だったのです。この「ジャングル大帝」は1967年にベネチア国際映画祭サンマルコ銀獅子賞を受賞。日本が生んだ天才は、世界への道を切り開いて行ったのでした。
そんな輝かしい日本アニメですが、現在ある危機が迫っています。日本では人件費が高いため、絵を描く作業の9割までがアジアなど海外で行われ、作画技術がどんどん海外へと流れ始めているのです。外国の多くはアニメを自国の文化として捉え、海外アニメの放送枠を制限するなど保護政策をとっていますが、日本はまったくと言っていいほど保護政策をとってきませんでした。このような状況の中で、ようやく今秋から東京大学でアニメプロデューサーを育成するプログラム「コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム」が発足。鈴木敏夫(スタジオジブリ)、押井守、大友克洋、井上雄彦ら日本のトップ・クリエイターたちを講師に迎え、ゆくゆくは学科設置を目指しているそうです。果たして、日本の大切な文化「アニメ」は守られていくのか!? いまがその分岐点なのではないでしょうか。
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