プロフィール

2001年、日本女子大学 文学部
卒業。 同年、テレビ朝日入社。
政治部記者
「朝まで生テレビ!」進行

過去のコラム

ご挨拶

投稿日:2021年03月31日 14:59

3月で『朝まで生テレビ!』を卒業することになりました。

2011年9月から10年間番組に携わり、

最初の5年間はアナウンサーとして、

その後の5年間は政治記者として現場取材を経験することで、

刺激的、有機的な時間を過ごすことが出来ました。

アナウンサーは、スタジオのアンカーを担います。

原稿を淀みなく伝え、時間内に収める、いわば仕上げの作業です。

他方、記者は0から情報を掘り起こす作業です。

報道の、いわば「出口」と「入口」の両方を担うことで、

より多角的に物事を捉えることが出来ました。

 

村上1S

3S

※今月は渡辺宜嗣さんはお休みで、寺川アナウンサーと一緒にお伝えしました。

 

『朝生』の出演者の皆さんは、特に政治家の場合、同時に取材相手でもありました。

カメラが回っていようと、いなかろうと、相手の本音を引き出すためにどう接するか。

田原さんは、よく「タブーなしで本音を引き出す」とおっしゃいます。

番組中、強い調子で相手を質しても、番組後は「また来てよ」と笑顔で握手する。

相手に対して、一貫してぶれない姿勢と

確固たる見識があるからこそ出来ることです。

そんな田原さんの背中を追いかけながら、

時として「田原さん、そろそろ元の話題に戻りましょう」

「先ほどの発言を訂正します」と、

86歳のジャーナリストに対して、孫のような気持ちで接してしまう場面もありました。

 

田原さん1S

朝生スタジオ

 

2011年、東日本大震災が起き、その後民主党政権が下野し、

憲政史上最長の安倍政権が続きました。

2021年、新型コロナウイルスが猛威を振るい、

世界情勢の先行きもますます見通せません。

この10年を駆け抜けるというよりは、足を縺れさせながら必死で追いかける中で、

この番組を通じて、間違いなく自分の「軸」が形成された気がします。

視聴者、出演者、スタッフの皆様、今までどうもありがとうございました。

引き続き、『朝まで生テレビ!』をどうぞよろしくお願いいたします。

 

花束

 

2021年3月31日

村上 祐子

 

原発事故から10年

投稿日:2021年03月04日 17:40

2月のテーマは、「激論!福島原発事故から10年 どうする日本のエネルギー」でした。

朝生は、番組開始以来「原発」をテーマに議論を重ね、

東日本大震災後も、毎年この時期に、福島の現状やエネルギー問題を論じてきました。

今月は、当時の総理大臣と原発事故担当大臣、

福島県からは、川内村村長と大熊町議会議員のお二人に、リモート出演して頂きました。

 

3S

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※渡辺宜嗣さんは311取材の為、不在で斎藤康貴アナウンサーと進行を務めました

 

震災と原発事故から10年経った今も、

福島県では3万6千人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。

原発の廃炉作業、処理水の問題、復興はどこまで進んでいるのか。

依然、課題は山積しているものの、

コロナ禍において、人々の関心は年々薄らいではないでしょうか。

 

田原さん

原発大臣

 

国としての危機管理の重要性は、原発事故対応も、現下のコロナ対応も同様です。

現状のみならず、その先を見据えていかねばならない。

政府は、次期エネルギー計画を年内に見直す方針ですが、

2050年の脱炭素社会実現を目指す以上、原子力の位置づけを明確にする必要があります。

今年の冬は、電力需給の逼迫にも見舞われました。

電力の安定供給の観点から、原発新増設の議論も先送り出来ません。

 

スタジオ

 

エネルギー問題も、感染症対策も、

どうなるのか分からないことが多くとも、

これまでの経験を踏まえ、あらゆる英知を集めて想定する。

そのうえで、どうするのかを明確にしていくことが、今の政治には求められています。

 

1Sfax to

 

緊急事態宣言の再延期

投稿日:2021年02月03日 15:38

今月のテーマは「激論!医療崩壊とコロナ国会」でした。

 

3S

 

番組では、医療提供体制について激論が交わされました。

病床数が世界トップを占める日本で、なぜ医療崩壊が起きているのか?

「全国の病院の約8割を民間病院が占めているため、

コロナ患者を受け入れることによる採算が取れない」

「それならば、医療機関にもインセンティブを付けるべきではないか」

スタジオには3名の医師にご出演頂き、当事者としての意見を聞くことが出来ました。

 

スタジオ

 

国会では、特措法改正案と感染症法改正案が成立し、今月中旬から施行される見通しです。

そんな中、10都府県に対する緊急事態宣言が3月7日まで再延期されました。

延期に伴って開かれた記者会見で、菅総理は初めてプロンプターを使用しました。

総理の「愚直さ」と、実際の「伝わりやすさ」のどちらを重視するか、

使用をめぐっては政府内でも賛否あったそうです。

実際に会見に出席しましたが、

使いこなすにはある程度の慣れを必要とするプロンプターを使ってまで

(相当練習したようです)、

国民に訴えたい気持ちは伝わってきました。

 

田原

 

肝心なのは、訴えた政策をどう実現するかです。

政府関係者は「今回の延長で最後にしたい」としています。

何としても、出口に持って行きたい思いは皆同じ。

個々の行動の根拠となる、政治のリーダーシップが問われることになります。

 

村上1S2

 

 

 

2021年

投稿日:2021年01月07日 21:31

あけましておめでとうございます。

菅総理が「静かな年末年始」を呼びかけた中で行われた元日スペシャルでした。

お正月返上の医療関係者の方々、

コロナ禍で経済的に厳しい状況にある方々、

例年とはあまりに違う状況での年明けです。

 

着物1S

2S

 

 

去年の大晦日に東京都での感染者が1300人を超え、

年明け早々、政府は一都三県に対して緊急事態宣言を発出しました。

まずは飲食の感染リスクを軽減するため、飲食店への時短要請を20時まで短縮しますが、

経済への影響は計り知れません。

期間中の店舗への補償はどうするのか、法律の立て付けは間に合うのか、

個人の行動は制限されることになるのか。

番組内でも様々な意見が交わされました。

 

スタジオ③

 

生活の変化も余儀なくされます。

今回は学校への休校措置は行わず、去年の4月と比べて対象事業も限定的になりますが、

受験シーズンも到来する中、政府の対応には賛否両論あります。

ロックダウンのような強制措置を取ることは出来ない中、

やれることを適宜やっていくしかない。

システムの構築自体を、走りながら考えるうえで、

不安な気持ちが募り、時として業種、年代、性別ごとの分断を生みかねません。

 

田原さん②

 

波乱の時代にこそ、気持ちの中に静けさを湛えていきたい。

そんな思いを新たにしました。

 

3S

 

  

 

 

2020年

投稿日:2020年12月15日 19:04

先月のテーマは「激論!”新型コロナ”感染拡大と国民生活」でした。

朝生では3月以来、9か月連続で新型コロナウイルスを討論のテーマとして扱っています。

番組では密を避けるため、リモートによる討論形式をとった月もありました。

スタジオで一堂に会す場合は、人と人との距離を2m以上離して行いました。

感染拡大に伴い、番組ではリモートによる討論形式に変更され、

スタジオ内も、大きな扇風機を使って大規模な換気も行っています。

 

2S②

 

今年もあとわずかとなりましたが、「コロナに始まりコロナで終わる」一年でした。

終息の兆しは見えず、来年以降も引き続きこのウイルスと向き合う日々が続くことになります。

全国的に感染者が増える中、

「アクセルを踏みながら、どうブレーキをかけるか」という難しい課題に対して、

政治はどのような判断を下すのか。

政府からは「神のみぞ知る」といった声も聞こえてきますが、

神頼みではない対策が求められます。

 

スタジオ

パネリスト1

 

次回の放送は、12月31日深夜0時30分から5時50分までの元日スペシャルです。

引き続き、番組共々どうぞよろしくお願いいたします。

 

 田原さん

 

コロナ禍の経済再生

投稿日:2020年11月18日 15:55

先月のテーマは「コロナ禍の経済再生」でした。

「コロナ対策」と「経済政策」が目下の課題である中で、

9月の有効求人倍率は1.03倍で低下、失業率も3%台で2か月連続の横ばいです。

 

2S

 

そんな中、菅総理大臣は経済対策を打ち出し、第三次補正予算案を政府内で指示しました。

全国民への一律10万円給付に続いて、さらなる5万円給付を求める動きもある中で、

渡るべきところに予算が行き届くかどうか?

菅総理の掲げる「自助、共助、公序、絆」の理念の下、政治はどう取り組むべきか?

3時間の生放送で議論しました。

 

円卓

田原さん

 

立冬を過ぎ、木々も色づき始めました。

四季の移ろう早さは同じでも、それに伴う生活は随分と様変わりしました。

専門家によると、今月以降、感染者の増加傾向も強まっているようです。

冬の風物詩を、いたって普通に楽しめることの重みが、

点灯するイルミネーションをさらに色濃くします。

 

3S

写真①

 

 

新政権

投稿日:2020年09月29日 17:51

今月のテーマは「激論!菅新政権」でした。

夏から秋へと、季節の移ろいを実感する間もなく、

永田町も同様に、安倍政権から菅政権へと変わりました。

 

2S

 

政権の滑り出しは順調で、ANNの世論調査でも6割以上の高い支持率です。

「安倍政権の継承」と掲げて発足こそしましたが、早速「菅カラー」を打ち出しています。

「デジタル庁創設」「携帯電話料金の値下げ」「不妊治療の保険適用」など、

より生活に根差した政策に特化した印象を受けます。

 

田原さんモニター

 

一方、野党も合流が実現し、150名からなる立憲民主党が新生しました。

臨時国会を来月下旬に控えるなか、目下の与野党共通の課題はコロナ対策です。

切羽詰まった日常だからこそ、建設的且つ迅速な議論が求められます。

 

パネリスト

 

外交に目を転じると、菅総理は各国首脳と立て続けに電話会談を行っています。

コロナ禍において対面が実現しない中、

アメリカ、韓国、中国、ロシアとの会談が既に終了しました。

いわゆる「ワクチン外交」が、自国の影響力を高めることだけに終始しないためにも、

日本主導でワクチンの公平な確保を支援してもらいたいところです。

 

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気付けば今年もあと2か月です。

猛暑のマスクで息苦しい時期もありましたが、

冷却効果のある商品が開発されたり、持ち運びに便利なマスクケースが販売されたり。

「新しい生活様式」を、知らず知らず取り入れていることに気づきます。

そして、「生活」そのものを支えるために問われているのが、政治の役割です。

 

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終わりの始まり

投稿日:2020年09月07日 14:21

1987年から始まったこの番組は、放送400回目を迎えました。

節目となるこの日のテーマは「激論!どう生きる?コロナ時代」。

奇しくも当日は安倍総理の辞任会見と重なったわけですが、

長期政権の終わりが示された中で、会見直後から周辺の空気は一変しました。

寂寥感と、得も言われぬ高揚感が混在した永田町は、

確かな権力の気配を漂わせていました。

 

スタジオ全景

 

全国のコロナ感染者が6万人を超えて、政治空白を作ってはいけない中で、

次の政権の担い手が大いに注目されます。

 

田原さん②

 

俗に、「長期政権は腐敗する」と言われます。

早々に自民党の各派閥を巻き込んでの総裁選レースが始まる中、

変わり身の早さを痛感するのは、政治家からだけではありません。

 

パネリスト

 

総理とメディアの関係で言えば、

前政権までは、総理のメディア出演は各社持ち回りでした。

第二次安倍政権以降、総理が出たいところに出る方式に変わります。

自由に出演が要請出来る一方で、メディアの選別と分断が起きたという指摘は否めません。

 

田原さん③

 

官邸内での総理と記者との接触の場は、

総理会見以外では、出退邸時の記者団とのいわゆる「ぶら下がり」取材に限定されています。

聞きたいことがある場合、事前に記者から官邸側にぶら下がりの要請を行います。

質問内容を通告し、「応じる」との返答をもらった時点で初めて取材の機会を得られるのです。

仮に「応じない」と言われても、臆さず声をかける場合があったものの、

これまでは、質問の文言まで調整していました。

今や、それらのルールは形骸化し、記者から事前通告しない時もあると言います。

 

2S

 

そもそも、総理に声をかける際に事前申請が必要なのかという議論もあります。

課題は多々あれど、取材者と権力者の関係性には、確実に変化が表れています。

 

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「終わりの始まり」が見えた時、脆く崩れ去るものもあれば、変わらないものもある。

次回の朝生では、新しい総理大臣が決まります。

何を変え、何を変えないのか。

番組でも引き続き討論していきます。

 

村上笑顔①

 

走りながら考える

投稿日:2020年08月04日 15:54

今月のテーマは「新型コロナと戦後75年」。

生放送中にテーマを紹介するまで、8月になったことを実感できませんでした。

東京のみならず全国に感染が拡大し、

お盆休みを控え、世の中が右往左往しています。

 

スリーショット

 

日々状況が変わる中、政府関係者は「走りながら対策を考える」と言っています。

政府はGoToキャンペーンを前倒して実施し、

「感染対策を万全に行えば問題ない」と、旅行も帰省も推奨していますが、

万全の策を尽くしたところで、ウイルスも、人の気持ちも、目には見えません。

私自身、家族から「今年の帰省は控えて欲しい」と申し訳なさそうに言われました。

 

田原1s2

 

とはいえ、菅官房長官が「観光業界は瀕死の状態」と訴えるように、

経済を回すことも、感染拡大防止と同等に喫緊の課題です。

 

スタジオ

 

番組では、厚労省担当の岩本記者が現状の解説をしていましたが、

官邸を取材している自分との見解の相違もありました。

政府は、アビガンの治験を早急に行いたいのに、

厚労省は訴訟リスクを恐れて遅々として進まない。

国と地方の情報共有のため、厚労省に東京都との橋渡しを頼んでも、

芳しい結果が得られない。

ここで記したのはあくまで官邸サイドの見解ですが、

政府内ですら、官邸と厚労省で必ずしも足並みが揃わない中で、

当然、政府と東京都の連携も危うい部分は否めません。

政府が「感染拡大防止と社会経済活動の両立」を訴えた直後に、

東京都の小池都知事は「冷房を暖房を一緒にかけることと同じだ」と反論しました。

お互いの記者会見を通じてしか、コミュニケーションが取れないように見えてしまうのは、

とても不幸なことです。

意図的であれ、結果論であれ、

今回ほど、対立構図が生み出す危機感を肌で感じたことはありません。

 

GoToキャンペーンは、約1.7兆円という前例のない予算規模の観光支援です。

理論上、予算は年度内まで使えるわけですから、

夏休みに限らず、今年の冬休みにも適用できます。

日々の取材では、「予算規模」や「対象地域」などの大枠のファクトに囚われがちですが、

中長期的、且つ柔軟な視点からの情報発信の必要性を感じます。

 

「新しい生活様式」の実践

投稿日:2020年06月30日 18:18

6月のテーマは「コロナで変わる 日本・アメリカ・中国」でした。

緊急事態宣言、全国の移動制限が解除され、世の中は活気を取り戻しつつありますが、

未だに給付金が届かない地域や、

持続化給付金だけでは経営が立ち行かない事業者もあり、

困難に直面している方々はたくさんいます。

 

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※今月も渡辺宜嗣さんは新型コロナ対策でお休みのため、寺川アナウンサーとお伝えしました

 

世界に目を向けると、

感染者数が最も多いアメリカや、第二波の懸念のある中国など、

どちらも日本と結びつきの強い国々が与える影響も計り知れません。

国際的な人の往来も再開し始めていますが、

対外的な交流は、新規感染者が流入する危険性と常に隣り合わせにあり、

難しい舵取りを迫られています。

 

パネル

 

「新型コロナウイルス」がテーマとなり、

番組史上初めてのリモート討論が始まったのが4月。

あれから3か月が経ち、場所を隔てた議論も徐々にスムーズに運ぶようになってきました。

とはいえ、田原さんは顔を合わせるなり「やっぱりスタジオは良いね」としみじみ。

 

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※パネリストの皆さんとはリモート討論を行うため、スタジオは広々

 

田原さんからは、常々「取材相手とは、顔をギリギリまで突き合わせて

出刃包丁を持って心中するぐらいの覚悟で向き合わないとだめだ」とおっしゃっています。

つい先日も、番組を離れた場で、ご本人と安倍政権をめぐるやり取りをしていた時、

「今時の記者はけしからん。なぜ、取材相手が音を上げるぐらいしつこく会いに行かないのか」

と、お叱りを受けました。

番組内でも、とある論説委員の方が、

「自分にとってテレワークは一切関係ない。気にせず現場に足を運んで取材している」

と発言しています。

 

田原さん

 

取材相手に肉薄する重要性は、記者活動を通じて痛いほど理解していますし、

記者が記者である存在意義は、ここにあると思っています。

ただ、このご時世、物理的な距離を縮めたところで、「感染」という新たなリスクが発生します。

他の接触手段はないか、密にならない環境はあるか、

文字どおり距離を詰めることが、以前にも増して難しくなっています。

 

1s村上

 

田原さんには、

「命をかけて取材されている田原さんが、万が一感染した場合、相手にもリスクを背負わせてしまいます。

命を落とすと、元も子もありません」と思わず反論してしまったところ、

「確かに、安倍さんがコロナにかかったら大変だ」と。

誰に対しても、当然同じことが言えます。

時代に即して取材環境が変わる現実を、どう受け入れた上でベストを尽くすのか。

職場環境に限らず、新しい生活生活様式にどう順応するのか。

様々な息苦しさを向き合いつつ、未だに自分の中の解を模索中です。

 

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