群馬・沼田市
~幸せ実る 夫婦のぶどう園~

舞台は群馬県沼田市。脊髄の病気で車イスの生活になっても夢を諦めず、東京から移住し観光ブドウ園を開いた福田智美さん(46歳)と夫の靖(ただし)さん(57歳)が主人公です。
群馬県出身の靖さんは獣医師で、当時『国立感染症研究所』に勤務。趣味は自転車とスキー。一方、智美さんは東京都出身。スキーが得意で旅行好きの大学生。智美さんが卒業研究で靖さんの研究所を訪ねたことで、2人は出会い2006年に結婚しました。その後、智美さんは『国立がん研究センター研究所』に勤め夫婦共に忙しい日々が続きます。そんなある日、靖さんが「定年後に農業をやりたい」と言い出し、休日に山梨県でぶどう農家の手伝いを始めました。そして次第に智美さんも一緒にぶどう農家を手伝うようになり、靖さん48歳、智美さん37歳の時に早期退職を決意。2人はぶどう農家になるための準備を始めました。場所は東京から近い群馬県沼田市。家も見つかり研修先の農家も決まり、あとは自分たちが移住するばかり。そんな矢先、智美さんの体に異変が…。腰痛から2、3日で足が動かなくなり、緊急入院。原因は脊髄髄内腫瘍でした。手術後8カ月半の入院生活。車椅子の生活になり、生きることに希望が持てなくなっていた智美さんに靖さんは、「家に引きこもらない生活をしてほしい。いっそのこと群馬県に移住し、新しい環境の中で暮らすのがいいのではないか」と予定通り移住を提案しました。すると智美さんも「以前の生活が出来ないのなら、新しい環境で新たな生活に挑戦してもいいかな」と前向きになりました。こうして2017年に沼田市へ移住。夫婦一緒にぶどう農家で経験を積み、2019年、バリアフリーの観光農園『福田ぶどうマルシェ』をオープンしました。
智美さんと靖さんの日常と農園に集う人たちとの温かい交流を紹介します。


『福田ぶどうマルシェ』の栽培法は、雨の多い日本で考案された独特のもの。透明のシートで覆うことで雨をよけ、ぶどうを病気から守ります。これは、研修先の農家が行っていた栽培方法で、車椅子に座った智美さんでも手の届く位置にぶどうが実るのも幸いでした。



『福田ぶどうマルシェ』では14種類のブドウを栽培しています。収穫の時期になると、靖さんがぶどう園の案内や実ったブドウを収穫し、智美さんが梱包や箱詰めと役割分担をして作業を進めます。「なんでもやってみる!」が2人のモットーです。



この日は前橋市にある道の駅へ納品に行きました。2人で配置を相談しながら並べていきます。そして、ブドウ園に来てくれるお客さんだけでなく、納品時に出会うお客さんと交流できることも楽しみの一つだと言います。


今シーズンの営業は既に終了し、農閑期には趣味を楽しむ2人。靖さんは買い溜めていた模型造り。智美さんは、好きなアーティストのライブに出かけます。またアマチュア交響楽団でバイオリンを演奏し、更にチェアスキーにも挑戦するなど、とにかく人生を楽しんでいます。




福田ぶどうマルシェ
今シーズンのぶどうの販売は終了しております。
今後の営業など詳細はHPやSNSをご確認ください。