群馬・前橋市
~走れ!たい焼き屋さん~

今回の舞台は、群馬県前橋市。キッチンカーで、たい焼き屋さんを始めた吉田正子さん(56歳)が主人公です。
父母、祖母と4人暮らしだった正子さん。共働きの両親に代わり、いつも面倒を見てくれたのが祖母のイヨさんでした。高校卒業後は東京のデザイン関係の専門学校で学び、地元に戻り印刷会社に就職。27歳で結婚し娘を出産しました。しかしその後、離婚を経験、シングルマザーになりました。生活のために印刷の仕事やセラピストの仕事などを掛け持ちし昼夜問わず働いていた正子さん。そんな時に、ふと思い出したのが子どもの頃に祖母がお土産に買って来てくれた、たい焼き。“温かくて、いい匂いで、ワクワクした幸せな思い出”でした。正子さんは、昔ながらのたい焼きを求めて東京の老舗へ。そこで、たい焼きを購入し一口食べると、子どもの頃にワクワクした気持ちを思い出し、元気が湧いてきたのです。そして、「よし、頑張ろう!」と再び仕事に向き合うことができました。しかしその後、今度はコロナ禍で仕事を休まざるを得なくなり、その後の人生について考えるようになりました。幸い一人娘も独り立ちしたタイミング。正子さんは「これからは少し肩の力を抜いて、自分のために生きてみたい。人生をリセットしたい」と考えました。そして、「こんな時だからこそ“子どもからお年寄りまで、誰でも食べると笑顔になれる”たい焼き屋さんになろう!」と一念発起。東京のたい焼き店でノウハウを学び、キッチンカーを購入。2021年11月『天然たい焼き・愛茶屋』をオープンしました。
“幼い頃ワクワクした、たい焼きの思い出”。そのワクワクする幸せを、たくさんの人に味わって欲しいとキッチンカーで奮闘する正子さんと見守り支える両親。ホカホカのたい焼きと温かい親子の物語です。



『愛茶屋』は高崎市内のスーパーで週に2日出店し、週末には県内で開催されるイベント会場などでも営業しています。正子さんの作るたい焼きは、鋳物の焼き型で一枚ずつ焼く“一丁焼きの天然モノ”と呼ばれ、パリッとした薄皮と尻尾の先までびっしりあんが詰まっているのが特徴です。お客さんは「焼き型からハミ出たバリの部分まで美味しい!」と絶賛です!



久しぶりに家族そろっての夕食です。正子さんは父・勝吉さんの大好物“フワフワの卵焼き”を作りました。勝吉さん「こりゃ、うめぇな!」と箸が止まりません。そんな勝吉さん、実は正子さんがたい焼き屋さんを始めたいと相談したとき猛反対し「親子の縁を切る!」とまで激怒したそうです。それから3年が経ち、当時の胸の内を勝吉さんが話してくれました。正子さん、改めてご両親に感謝ですね。



この日は、高崎市内で開催されていたコーヒーショップが一堂に会するイベントに出店です。去年に引き続き2回目の参加。お客さんの中には、去年もたい焼きを買ってくれた小学生の女の子がいました。女の子は、去年、初めて『愛茶屋』のたい焼きを食べて、凄く美味しかったから」と見せてくれたのが絵日記。そこには、たい焼きと緑のキッチンカー。そして、正子さんまで描いてくれていました!正子さん大喜びでした。



正子さんが初心に戻れる特別な場所があります。愛茶屋の原点ともいえる、『紅茶専門店 まーやの家』です。店主の矢嶋洋子さんは正子さんがお姉さんと慕っている方。実はキッチンカーが完成する前、正子さんはこのお店の庭先を借り愛茶屋のプレオープンを行ったんです。開業して丸3年の節目に、正子さんは、原点であるこの場所で感謝のイベントを開催したいと考えていました。「今まで関わってくれた皆様に対しての感謝の気持ちを込めて頑張って行きたい」と語る正子さん。これからも“一丁焼きの天然モノ”のたい焼きを作り続けてください!




天然たい焼き 愛茶屋
正子さんが営む移動販売型のたい焼き屋さんです。
鋳物の焼き型で一枚ずつ焼く“一丁焼きの天然モノ”のたい焼き。
パリッとした薄皮であんこは尻尾の先までびっしり詰まっています。
営業時間:午前11時~午後4時(※出店場所によって変動あり)
定休日:月・木・金曜
詳細は愛茶屋のSNSをご確認ください。
一丁焼きのたい焼き 330円