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2023年9月23日長月の肆

山形・天童市 福井・鯖江市
~未来につなぐ故郷スペシャル 2023秋~

「SDGs」をテーマにした1時間拡大スペシャル。故郷の伝統や産物を未来につなごうと奮闘している2組を紹介します。
最初の舞台は山形県天童市。故郷でブドウを栽培しワイン作りを始めた中川憲一郎さん(56歳)と淑子さん(59歳)が主人公です。天童市出身の憲一郎さんは宮城県の高等専門学校を卒業後、大手電機メーカーに就職します。40歳を前に中小企業診断士の資格を取り企業コンサルタントとして独立しました。同じ年に中小企業診断士の資格を取得した淑子さんと意気投合し2015年に結婚。さいたま市の自宅マンションで事務所を構えました。2人の共通点はお酒好き、特にワインが好きで、休日には全国のワイナリーを巡っていたほど。中でも家族経営の小さなワイナリーに魅了され、いつか自分たちもワイナリーを始めたいという夢を抱くように。その後、親戚から紹介された天童市の耕作放棄畑でブドウ栽培を始めました。天童市はかつてワイン工場がありブドウ栽培が盛んだった土地。最初は、埼玉の自宅から通いでブドウの世話をしていましたが、もっと時間をかけたいと2018年に天童市に移住し、本格的にワイン用のブドウ栽培を始めました。そして、2021年、天童市がワイン特区に認定されたことも追い風となり、去年8月「果実酒製造免許」取得し、ワイナリー『KELOS(ケロス)』をオープンしました。『ケロス』は地元の方言。「何々してください」を「何々してケロス」と言います。自分たちのワインを「飲んでケロス」という願いを込めました。
ワイン好きが高じて、ワイナリーを始めたご夫婦と地域住民との交流を通して、故郷の昔と今を見つめます。

中川さんご夫婦は10日前に仕込んだ赤ワインの状態を確認していました。
色、香り、味などを確かめ「いいね」と笑顔がこぼれるお2人。
今年の初仕込みの赤ワインはクリスマスまで熟成させます。
あと3か月、待ち遠しいですね。

この日は外食。自分たちのワインを扱っているスペインバルを訪れました。
ケロスのワインを気に入り定期的に仕入れているマスターが、ケロスのワインに合わせて料理を作ってくれました。
美味しい料理とマスターとの会話が弾み、ワインが進みます。
「もっと美味しいワインを作ろう」と決意を新たにするお2人でした。

楽園通信

ドメーヌ ケロス

山形県天童市にある中川さんご夫婦のワイナリー。
12種類のブドウを栽培し、ワインの醸造から販売まで行っています。
ワイナリーのショップ他、山形市内、天童市内の酒販店で販売しています。
ケロスのネットショップでも購入できます。

ショップ営業日:金・土曜 午前10時~午後4時
電話:023-600-1445
料金:ワイン2,000円~3,000円
   ジュース1,000円

続いては、1500年の歴史を誇るといわれる越前漆器の里、福井県鯖江市。
この地で、壊れた陶器やガラス食器などを漆で修繕し、金粉で装飾する日本古来の技法“金継ぎ”を習得し、工房を開いた薮下喜行さん(50歳)が主人公です。大学卒業後、福井県内の酒造会社に就職した喜行さん。転機が訪れたのは47歳の時。当時、大学生だった長女・小春さんが伝統工芸士になりたいと“蒔絵”を習い始めたことがきっかけでした。蒔絵とは、漆器に漆や金粉で絵などを描く伝統的技法。小春さんが楽しそうに蒔絵の話しをするのを見て、喜行さんも蒔絵師の工房へ見学に行きました。工房の主は蒔絵の伝統工芸士、駒本長信さん(80歳)。喜行さんは、その伝統技法に魅了され「自分がやりたいのはこれだ!」と強く感じ酒造会社を辞め、師匠・駒本さんの元で本格的に修行に打ち込みました。習得したのは蒔絵ではなく“金継ぎ”。半年間の修業を経て去年10月、自宅離れに金継ぎ工房『うるしの駒や』を開きました。工房を始めて間もなく1年。喜行さんは金継ぎの他に、ケヤキを削り出した器を「拭き漆」という技法で仕上げた酒器を作るなど、新たな挑戦も始めています。
何事にも熱く、熱心に打ち込む喜行さん。“蒔絵”の師匠をはじめ、木を挽く“木地師”など様々な職人との出会いを通して、故郷の伝統を守る喜行さんと支える家族の姿を紹介します。

朝から金継ぎの作業をする喜行さん。この日は、細かく割れてしまった茶碗の仕上げです。継いだ部分を磨くと金のラインが輝きます。以前とは、また違った味わいに仕上がるのが金継ぎの魅力です。

喜行さん、師匠・駒本さんの工房を訪ねました。拭き漆という伝統的技法で仕上げた盃に蒔絵を入れて欲しいという注文が舞い込んだのです。注文の絵柄は、なんと!可愛いらしいヒヨコ!「伝統的な柄ばかりではなく、目新しい絵柄を描くのも楽しい」と駒本さん。これからも師匠と弟子で、漆器の新たな魅力を発信して行ってください。

楽園通信

うるしの駒や

福井県鯖江市にある薮下さんの金継ぎ工房。
「金継ぎ」での修繕の他、ケヤキを削り出し拭き漆で仕上げた酒器「うすくちうるし」の製造、販売もしています。

「金継ぎ」の依頼や「うすくちうるし」の購入など、
「うるしの駒や」HPにてお問い合わせください。