いつもおいしく旬の味わい 〜季節ならではの食感を楽しむ〜

四季がある日本だからこそ、季節季節の食材を様々な食感や調理法で味わい・・・。
年齢を重ねても、その楽しみは変わりません。食べる楽しみは、人生を豊かにします。
歯の健康と食事の関係を考え、噛みやすく、食べやすくするテクニックを紹介していきます。

正しく噛むことが健康につながることは、「食」に関心の高い方なら誰もがご存じでしょう。
しかし実は「噛むことは、人間の寿命すらも左右する」のだとか。東京・お茶の水の塚原デンタルクリニック、塚原宏泰院長に詳しく伺いました。

「人間には自力でできなくなると、生命力が衰えてしまう機能が何種類かあります。噛む力、飲み込む力、歩く力。この3つの力は生命の根源とも言える力です。例えば元気だったお年寄りが足の骨を折ったりして、歩けなくなるとめっきり元気をなくしてしまうことがありますよね。それと同様に、噛む力、飲み込む力も生きることに直結しているのです」

人間の噛む力の土台は、幼年期に作られます。歯の土台となる、アゴなどの骨や筋肉をきちんと育てるためにも、幼少期から正しく噛む習慣を身につけることが大切なのだそう。

「乳歯が生えそろう3歳から6歳頃までは噛むトレーニングに最適の時期。左右均等に合計30回ほど噛むクセをつけさせましょう。食事のとき、ジュースを与えるのも避けたいところです」

「左右均等に噛む力をバランスよく鍛えることと同時に大事なことは、よく噛んで唾液を出すことです。」
食事中にジュースなど水分に頼らずに噛む力をつけること。
水分に頼らず食事できる習慣を身につけたいところです。

パンなど水分が必要な食事でも柔がみ30回噛めば唾液の分泌がよくなって、唾液だけで飲み込むことに必要な水分は補えます。唾液には細胞や神経を成長させる因子が含まれているほか、口腔内の免疫を高める機能もあります。唾液は口腔内のスーパーサプリメント。大人になってからでも、きちんと噛むことで唾液の分泌機能を高いレベルに保つことができます」

噛むということは、口内の健康を保つために必要な唾液の分泌も促します。
口内を清潔に保ったり、pHバランスを保つなど、無数の役割をこなす唾液の分泌機能は大人になってからでも鍛えることができるのです。

「大人になってからでも正しく噛むことで、かみ合わせのバランスや唾液分泌の改善は可能です。そしてきちんと噛む習慣をつけることで、70歳、80歳になっても噛んで食事ができるようになる。つまり少しでも長く元気に暮らすために、正しく噛むことを常に意識することが大切です」

基本は「左右均等にやわ噛み30回」。例えば、左で10回、右で10回、両方で10回など左右のバランスを取りながら、力を入れすぎずに噛むことが大切なのだとか。

「かたい食材ばかりを無理に噛んでもいいことはありません。かえって変な噛みグセがついてしまうこともあります。むしろ多くの食材をバランス良く食べることを心がけましょう。やわらかい食材でも構いません。口当たりや噛み応えの異なる、さまざまな食材をしっかり噛みながら摂ることで、自然と噛む力は養われるのです」

医療法人社団宏礼会
塚原デンタルクリニック院長
塚原宏泰さん


東京医科歯科大学を経て、1998年塚原デンタルクリニック開院。
以来、臨床の現場を土台に、新しいテクノロジーや技術を採り入れる気鋭の歯科医。
口腔外科、顎関節から歯周病、インプラントなど口腔周辺すべてのスペシャリスト