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2019年12月12日

辺野古土砂投入から1年…埋め立ての現場

辺野古土砂投入から1年…埋め立ての現場

沖縄県の辺野古に土砂が投入されてから14日で1年を迎える。今、埋め立て区域では、どのような工事が進められているのか。連日、警察車両に先導され、生コンのミキサー車が長い列を作り、キャンプ・シュワブの中に入っていく。キャンプ・シュワブの南側にあたる海域は、護岸によって、完全に囲まれた状態となっていて、最も長い『K4護岸』は1000メートルを超える。今から1年前、最初に土砂の投入が始まった区域には、ほとんど海面は残っていない。取材した日もダンプカーが荷台を上げて、土砂を下ろす様子が確認できた。ダンプカーは、埋め立て区域の外に出ることなく、新たに造られた『K8』護岸に向かった。実は、大量の土砂は、海上から直接、船で運び込まれ、ダンプカーによるピストン輸送が続いていた。全体で必要な土砂は2062万立方メートルで、沖縄県の試算では、10月末までに投入された土砂は20万5000立方メートル。全体の1%だという。

政府は、普天間基地の危険性除去のため、埋め立て工事を急ぐとしているが、解決できていない大きな問題がある。大浦湾側では、埋め立て予定区域の約6割にマヨネーズのような“軟弱地盤”が見つかり、砂の杭、約7万7000本を打ち込む大規模な地盤改良工事が必要となる。そのため大浦湾側は埋め立てがまだ始まっていないのだ。軟弱地盤の存在が明らかになるなか、政府は、埋め立て完成までの費用や工期を示せていない。先行きが不透明なまま、土砂の投入が進む辺野古の海。この1年間、誰よりも複雑な思いで見つめてきたのは、地元の漁師たちだ。名護市の汀間漁港では、漁師らが、漁船に沖縄防衛局を示す『ODB』の文字が入った旗を掲げている。“警戒船”として、カヌーや船で抗議する人たちを監視するのが仕事で、日当、数万円が支払われるという。警戒船に乗る気持ちを問われたある漁師は「難しい。色々、思うところはある」と話し、海が埋め立てられていくことについては「自分たちも漁業権の破棄はしているので、どうにか折り合いつけてやらなくちゃいけないのかなと思う」と語る。今、埋め立てが進んでいる海域は、名護漁協が漁業権を放棄し、防衛局から補償金を受け取った経緯がある。補償金に警戒船の仕事。漁に出ない漁師も増えたという。別の漁師は「時化ても警戒船で金が入ってくる。待機しようが何しようが金は入ってくる。漁の仕方を忘れるくらい。

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