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特集

2019年4月24日

異常気象で振り返る「平成」の時代

その理由について、気象予報士の喜田勝氏は「台風になっていない熱帯低気圧を区別するために、あえて“弱い”熱帯低気圧という表現をしていた。台風と同じように強い雨を降らせるものであったとしても、受け取る側、多くの人はそのようには受け取っていなかった」という。平成16年(2004)は、史上最多10個の台風上陸を記録する異例の年となった。平成16年10月、台風の影響で、京都府を流れる由良川の堤防が決壊。舞鶴市の国道では観光バスが水没し、37人がバスの屋根に避難して一夜を過ごした。流されつつあったバスをつなぎとめたのは、流れてきた1本の竹と立ち木だった。バスの上で救助を待った中島明子さん(79)は、改めてそのユリノキに感謝。あれから15年経って、「最近の災害を見ていたら、以前よりも私たちのころと比べ物にならないくらいひどくなっている」と不安を口にする。平成22年(2010)は記録的な猛暑だった。この年、気象庁が初めて温暖化の影響に言及した。当時の異常気象分析検討会の木本昌秀会長は「めったに我々が自分から言うことはないが、今回は異常気象。地球温暖化で地球全体の温度が上昇してきている」と語っている。広島県の豪雨や九州北部豪雨、西日本豪雨で大きな被害をもたらしたのが“線状降水帯”だ。これに関係する大量の水蒸気にも、温暖化の影響があることがわかってきた。東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授は「夏の気温が約1度上昇、それに伴うように水蒸気の量も10%程度増えてきた。以前だったら500ミリ程度ですんだ雨量が550ミリに増えた。50ミリが上乗せされたため、臨界値を超えて甚大な災害をもたらす」と話す。地球温暖化が進むなか、令和の時代はどうなるのか。中村教授は「豪雨、猛暑、そういったものの連鎖。例えば、南海トラフの地震が起きたその前後の複合災害が起きるという最悪の事態の想定しながら、防災、減災を考えていく時代になっていくだろう」と話す。

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