『BG』=ボディーガード。武器を持たず依頼人を護る民間の警護人。
でも一体ボディーガードってどんな仕事をしているの? 警視庁のSPとの違いは?
どんな人たちが、どんな訓練をしているの?
あまり知られていない“ボディーガードの世界”を、ドラマ『BG~身辺警護人~』の警備監修・古谷謙一さんに教えてもらっちゃいました!
#04
これまでの警護での実体験
-
これまでに依頼を受けた警護の中に危険だったものもけっこうありましたか?
そうですね。依頼を受けた段階で『今回の任務は危険もともなうかも…』と感じた案件は、いくつかはありましたね(笑)。あるトラブルを抱えたクライアントからのものとか…。ただこの仕事の一番大事なところは『危険な状況になる前にどのように回避するか』。危ないなってなった時点では、警護としては成功ではないのかもしれないですけどね。
-
たしかにそうですよね
ある映画の撮影の警備で1カ月超ケニアに行ったのですが、その依頼が来た時は『これは危険をともなうな』と思いました。治安情勢の不安定な地に40人くらいの日本人が撮影にやってくるということで、現地でも注目されますし、当時隣国のソマリアとは、アメリカとともにケニアが武力侵攻した関係でテロの報復対象国になっている、という非常に緊張状態にあったんです。敵対国、つまり“アメリカ側の国”と見なされた国の人間は過激派組織から狙われるかもしれない、という状況の中での撮影でした。
実際に我々が滞在している間も、ケニア国内では撮影期間中に何十人もの方々が犠牲になっていましたし、ある地域で爆弾が見つかったり、ということもありましたね。
-
そういった中でどのような警護をされるのですか?
もちろん出演者の方々はホテルからも外出禁止で、毎日ホテルと撮影場所の往復。スタッフの外出も制限をさせてもらいました。移動のためのバスにも、現地の武装したセキュリティーを配置し、撮影現場でも銃を持ったセキュリティーが巡回しながら警備をしている、という状況でした。
-
もちろんその状況でも古谷さんたちは武器を装備することはできないんですよね
はい。私たち日本のボディーガードは武装することはできません。現地のセキュリティーと話をし、こちらの要望を伝えたり、逆に向こうからの要請やアドバイスを聞いたり、という業務を行うんです。
-
危険と隣合わせなことも多いお仕事ですが、一番のやりがいというのは何ですか?
警護の終わりに警護対象者から「ありがとう」と言われることですね。どんなに大変だったとしても、何事もなく任務が終わり、感謝してもらえるということで「また次がんばろう」と思えるのではないでしょうか。
警備監修:古谷謙一
元警察官、元自衛官、元傭兵からなるKart警察監修チームに所属し、実際に民間ボディーガードとして活躍する傍ら、映画・ドラマの軍事監修などを行っている。主な監修作品は映画『シン・ゴジラ』『64-ロクヨン-』、ドラマ『刑事7人』『HERO(フジテレビ系)』など。