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6月7日 プレイバック・報道ステーション企画
『一年前のシンクロ界の出来事』


日本がデュエット代表選考を行っているドイツオープンで、世界の国々もそれぞれの強化策を探っていました。

オリンピックと異なり、世界水泳では、テクニカルルーティーンにもフリールーティーンにもそれぞれメダルが授与されます。


  

シンクロ王国復活を目指すカナダ。
久々にナショナルコーチに返り咲き、かつての厳しいトレーニングをふっかつさせているジュリーコーチに聞いていました。

ジュリー:「私たちはフリーと、テクニカル用の二組を用意しています。デュエットに4人を用意しています。」



スペインナショナルチーム
藤木麻祐子コーチ

一方、王者ロシアを追いロンドンでは金メダルをと意気込むスペイン

藤木:「北京オリンピックが終わって世代交代を考えているんですが、いまのところ4人で同じデュエットを練習しているんです。」

スペインは世界水泳の予選と決勝でデュエットの組み合わせを変えることも視野に入れています。ベテランと若手を組ませることで、順位をキープしながら若手を伸ばす作戦です。







日本に戻ってきた選手たちを待ち受けていたのは4週間のナショナル合宿でした。ここで行われるのはチーム演技の練習でした。

ナショナルコーチではない立花コーチや井村コーチがデュエットを指導できるのは、選手たちがそれぞれのクラブに戻ってくる間だけです。限られた時間でどう問題点を修復してより良いものを作り上げていくかが勝負です。



西・乾と小林は基本から練習

井村コーチ:「スピード感ってものすごく大事なの」
コーチの手腕が問われます。

 

5月 最終決戦の場は東京の辰巳国際水泳場。
<T:5月 辰巳国際水泳場で開催された。>


井村コーチ:「ドイツよりうまくなってきているよね」
立花コーチ:「というか、中身がかなり変わっているので」

一方、東京シンクロの二人はこの最終決戦に向けて作戦変更。
ジャーマンオープンで負けたテクニカルルーティーンを新しいものに変えてきたのです。



東・ランドドリルをする足立と酒井

自分たちの良さをアピールできる曲で演技をしたい、その思いで曲も、演技も、水着も変えてきました。



二人の強みである若さと躍動感を前面に出してきました。本間シンクロ委員長もしっかりチェック。


じっと見つめる本間三和子シンクロ委員長

最後のスピンは何とかもちこたえました。
しかしそのあと、細かい動きが合わず、練習時間の少なさを露呈してしまいます。

またしても、このテクニカルルーティーンで井村シンクロの乾、小林にリードを許してしまいます。



東・足立と酒井の得点

そして今日、フリールーティーン決勝の日。

5月5日  フリー・ルーティーン決勝の日

乾・小林は もち点、0.167ポイントリードでこの決勝を泳ぎます。



西・小林と乾 0.167ポイントリード


日本選手権3日間でソロからチームまで、9回演技をした乾の疲労はピークに達していました。

大きなミスをしないように、それだけを心がけて、同調させることに徹していきます。

かつて、立花コーチが演技をした「風とバイオリン」のテーマを、今、乾と小林がその
心を受け継いで演じていきます。

トータルで、東京の足立と酒井に0.334ポイントの差をつけて乾と小林が日本選手権初優勝を飾りました。



西の小林と乾が優勝

大会の直後、世界水泳のメンバーが本間委員長から発表されました、

本間:「乾、酒井、小林の3人組でデュエットを考えていきたいと選考いたしました。」

乾:「残りわずかな時間ですが、全力で取り組んで」
小林:「何も怖がらずに挑戦していきたいと思います。」
酒井:「精一杯がんばります」

そして、足立夢実は、ソロに専念することになりました。



世界水泳、決戦の場は7月のローマです。




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編集後記

3人がデュエットの代表に選ばれ、西の小林と乾のもともとのペアが技術力を競う「テクニカルルーティーン」を行い、西と東のミックスペアとなった乾と酒井の二人が「フリールーティーン」を泳ぐことになりました。そしてこの三人を指導することになったのは東京シンクロの小川雅代コーチでした。

選手たちにしてみれば、異なる相手と二通りの合わせ方をする必要があり、さらには、普段みてもらっていないコーチに教えてもらうのもなかなかしんどかったと思います。
小川コーチの立場からも同じようなことが言えたでしょう。

5月に選ばれ、6月の世界水泳に出場するというスケジュールにも無理があったように思います。何から何までが後手後手に回り、その結果はご存知のとおりです。西の井村シンクロの二人で挑んだテクニカルルーティーンが4位。東と西のミックスデュエットとなった乾酒井組のフリールーティーンが6位という結果でした。

詳しくはこちらから↓
7/15 日本期待の18歳デュエットに密着
7/27 18歳デュエット乾&酒井  立花美哉の眼 vol.8

企業の経営でも同じですが、常に先を読んで手を打っていくことの大切さを思い知らされた2009年のシンクロ界の出来事でした。


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