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6月7日 プレイバック・報道ステーション企画
『一年前のシンクロ界の出来事』

日々の業務に忙殺されて、制作してきた特集のまとめをお伝えすることを怠っておりました。まとめてこの1年間をプレイバック!まずはシンクロナイズドスイミングです。

北京オリンピックの翌年、2009年6月、世界水泳はイタリアのローマで行われました。 この結果は大会期間中から皆さんにこのアナウンサーズのウェブを通じてもお伝えしてきました。日本は惨敗でした。北京五輪でチーム5位と崩れてしまった日本ブランドはすぐに回復できるものではありません。
世界水泳シンクロリポート

時計の針をぐるっと戻して、そのローマの世界選手権に出場する日本代表を決定する過程を2009年5月5日に報道ステーションで放送しました。その模様をここでお伝えすることにしましょう。

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北京オリンピックの後、シンクロナイズドスイミングの日本代表選手は全員が引退して、ジャパンのメンバーは一新されました。世界水でのデュエット代表をめぐる熾烈な戦いの模様をお伝えします。

プレイバック・報道ステーション企画
『一年前のシンクロ界の出来事』

去年12月に日本代表デュエットとして世界にデビューしたのは18歳の二人でした。


西・井村シンクロクラブ所属

東・東京シンクロクラブ所属


‘08 12月に1日違いの誕生日で18歳になった乾由紀子 酒井麻里子

大阪、井村シンクロクラブの乾由紀子と東京シンクロクラブの酒井麻里子。
ロンドンオリンピックを目指すのはこの二人、と思いきや、意外な展開が待ち受けていました。


日本水泳連盟 本間三和子シンクロ委員長

本間:「もう背水の陣」

新しい委員長の下、日本シンクロ委員会は、いまだかつてやったことのない強化策をとることにしたのです。

本間:「ドイツでの大会と日本選手権の二つの大会で競いあわせたい。切磋琢磨をする競争原理の働いた中でえらばれていくことが大切だと思っています」

今年7月に行われる世界水泳ローマ大会のチーム代表の11人の中から、新たに二組のデュエットを作り、競わせることにしたのです。



世界水泳ローマ大会日本チーム代表選手たち

大阪の井村シンクロクラブからは 18歳の乾友紀子と21歳 小林千紗の二人。


西:小林千紗 21歳  乾 友紀子 18歳

乾:「絶対に相手にも負けられないと思うので、」
小林:「最後まで挑戦していきたいと思います」

一方の東京シンクロクラブからは18歳の酒井麻里子と20歳の足立夢実の二人です。



足立夢実 20歳  酒井麻里子 18歳

酒井:「デュエットを二人で初めて挑戦するんですけれど、」
足立:「今は今でがんばるしかないので」

ドイツのボンで行われたドイツオープンが最初の戦いの場となりました。



宮嶋:「世界水泳日本代表の座をめぐる戦いは3月のドイツ、ボンから始まりました。」

世界中が新旧交代の時期、大阪の乾と小林を指導するのは、新米コーチの立花美哉さんです。
かつてデュエットで世界チャンピオンとなり、3度のオリンピックで銀メダル4つを獲得した立花さんの言葉は説得力があります。

そして、その横で、北京五輪で中国チームを指導した井村雅代コーチが、立花さんに指導方法を伝授していきます。



西・井村雅代コーチ 立花美哉新米コーチ

立花:「私は一番習いたいと思うし、本当に自分がこれからコーチになっていくと思うなら、まあ2年半迷って決めた決断だから、やっぱり本物にはなりたいと思う。そのためには井村先生の力がが必要です。」

井村雅代さんが持つ「教える技術」や「世界と戦うコツ」を、可能な限り吸収したいというのです。



一方、東京の二人を教えるのはジュニア時代から選手たちを見てきた花牟礼雅美コーチです。

花牟礼:「麻里子、きっちりやらないと由美に失礼よ」



東・花牟礼雅代コーチ

東・酒井麻里子

酒井と足立は、初めてペアを組むだけに、なかなか動きが同調しません。

JAPANの文字が刻まれたスイミングキャップが二組、
ドイツのプールで火花を散らします。



東・酒井と足立の脚

小林と乾

ともに準備期間は1か月。日本代表をかけた最初の試合です。
ドイツオープン決戦の日の朝、それぞれが静かな闘志を燃やしながら、着々と準備を進めます。


東・足立と酒井の朝食

西・小林と乾の朝食

デュエットを国際大会で泳ぐことなど、これまで夢にも思わなかった小林千紗の不安は頂点に達していました。



西・ホテルの部屋でゼラチンで髪をかためあう小林と乾

一方東京の二人は、プールの片隅に陣取り準備を進めます。
ソロを演じることが多かった足立にとっては、3年ぶりのデュエット、それも初めて組む相手といきなりの国際大会です。



東・プールサイドでメイクアップの足立と酒井

最初に行われるのがデュエット テクニカル・ルーティーン。
ここでは技術力を試されるだけに、ちょっとしたミスが命取りになります。
もっとも緊張を強いられます。

身長169センチの乾と166センチの小林 大型デュエットです。




決められた9つの規定要素を丁寧にこなしていきます。
得点は9点台がそろいました。

EX: 9.3 9.2 9.5 9.4 9.6 9.2 9.1
OI: 9.2 9.3 9.1 9.4 9.4 9.2 9.2




そして、東京シンクロの二人。
コンビを組んでからわずか2カ月、
身長は159センチと164センチと小柄ですが、
持ち前の身体能力で、伸びやかな高い動きができることが特徴です。




しかし、最後の要素、スピンで二人とも倒れるミス。

4人のジャッジから8点台を出されてしまいました。

EX: 9.4 9.4 9.3 9.0 9.0 9.0 9.0
OI: 8.9 9.2 9.0 8.9 8.8 9.3 8.9




結局このテクニカルルーティーンでの点差が最後まで影響し、
井村シンクロの二人が逃げ切る形になりました。



西・乾、立花コーチ、小林

乾:「今回の試合を終えてさらに世界水泳でデュエットを泳ぎたいという気持ちも強まって、
でもまだ決まっていないので、これから気を抜かずにやって生きたいと思います。」



西・乾友紀子

一方緒戦での勝ちを譲ってしまった東京シンクロの二人。

酒井:「私に責任があると思うので、日本選手権までの期間を大切にして納得の行く演技がはるようになればいいと思います。」



東・涙をぬぐう酒井麻里子

東京シンクロの二人は、日本選手権でのリベンジを誓うのです。


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