難民映画祭では、映画の上映の後に難民の現状をより知っていただこうと簡単なトークセッションが行われました。そこで、私が映画祭のプロデューサー今城さんとご一緒にお話をさせていただくこになったのです。
私が担当したのは「WELCOM」という映画で、クルド難民と水泳の元世界チャンピオンの中年男性との友情の物語でした。偶然にもこのテーマは私が体験した2007年の4月のネパールにある難民キャンプ訪問取材ともダブるところがありました。
1976年のモントリオールオリンピックの女子バレー金メダリストたちとネパールのダマクにある難民キャンプにスポーツ支援にいったのが今から2年半前。その様子をドキュメンタリーにしたのですが、このとき感じたことと今回の映画で感じたことが実に似ていたのです。
難民が抱える現状。
栄光の日々を送った元メダリストが抱える心の空虚感。
スポーツの持つ本当の意味。
難民の人々が抱える問題と、世界の頂点に立った元一流選手が抱える問題がクロスオーバーするというストーリーは私にとってとても納得のいくものでした。
さらに、今年2月に瀬古利彦さんとご一緒にタンザニアの難民キャンプで行われた駅伝での体験も交えながら、難民の子供たちが置かれている現状をお話いたしました。
現地の子供たちにとって、最も大切なことは、ケアされること(Care)、そして、存在を認めてほめてもらえること(Appreciate)だというのです。
「スポーツイベントは、きれいなウェアーをあてがわれて、みんなに注目されて自分の存在を認めてもらうのに格好のチャンスだ」と現地で難民の世話をされている方からうかがいました。まさにCareとAppreciateです。
誰かに自分の存在を認めてもらうことが人間にとっていかに大切なことか、こうした映画や、取材を通して私もまた深く確認できたように思います。
トークの機会を与えてくださった難民映画祭の皆さん、ありがとうございました。 |