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<渋井選手と土佐選手互いにどう思っているの>
8月上旬、空気の薄い昆明でシカゴマラソンに向けての準備に余念のない渋井陽子選手と、マイペースで練習を続けている土佐礼子選手にお話を聞くことができました。
二人はお互いをどう思っているのでしょうか。
宮嶋「オリンピックのことは相当意識していますか?」
渋井「そうですね。マラソンを3年前に走ろうと思ったのは、そろそろ、歳も歳だったんで、走っておこうかなと思ったんですけど、22歳になる前に走っておきたかったんですね。で、今オリンピックも意識するようになっています。」
宮嶋「マラソンで世界一になりたいというのは?」
渋井「やっぱ大阪終わってからですかね。やってみたいなと。」
宮嶋「今練習が面白くて仕方ないんじゃないですか。」
渋井「今ですか?面白いっていうよりも、久しぶりにマラ練の辛さがよみがえってきているんで、楽しくないかもしれない。今、フレッシュじゃないですもの。」
宮嶋「疲れきっているんだ。」
渋井「そうですね。ここ、乗り切れば何とかと思ってやっているんですけれど。いつも辛いのは今だけだと思ってやっているんで。」
宮嶋「マラソン界の新人類という言葉すら古い気がするけれど、何か渋井さんは新しいことをやってやろうという気あるんじゃないかなっていう気がするんですよ。」
渋井「そうですね。それはあります。マラソン選手らしくなりたくない。だから、マラソンだけにこだわりたくないし、あんまりひょろひょろ倒れそうな感じの印象はいやだし、かといってスピードないような走りもしたくないです。いかにもマラソン選手というのはいやです。」
宮嶋「ぐいぐい走りたい?」
渋井「最初からぐいぐいですね。それと根性では誰にも負けないんで、根性は大切にしてますね。」
宮嶋「今までのマラソンレースで印象に残っているのは何ですか。」
渋井「この間のロンドンのラドクリフさんのレースですね。パワフルで、それで初マラソンで18分台。凄い。後半あんだけドンドンペースを上げていったりとか、今までにない感じ。凄い衝撃を受けましたね。」
宮嶋「渋井さんもそれを目指していきたい?」
渋井「ああいうレースができるといいですね。」
宮嶋「土佐さんと一緒に練習をしていて、二人の間にライバル心とかありますか。相手に強くなってほしくないという思いはありますか?」
渋井「いえ、ないです。強くなってくれれば目標になるし、抜かしてやろうと思うし、今回ロンドンでも22分台で走ってきて、よかったねというのと、抜かしてやるから待ってろよみたいな。ぜんぜん、そういう強くなってほしくないっていうのはないです。
そこへやってきた土佐選手。土佐選手にも話しに加わってもらうことにしました。
宮嶋「お互い相手の練習とか、成績とか気になりますか?」
土佐「気になるって言うか、強いなあって思います。つよいんだもん。」
渋井「強いんだもん。(笑い)」
宮嶋「土佐さんがこのぐらいの練習でこう、出したからというので、一つのバロメーターにすることはあるんですか。」
渋井「それはありますね。それ以上の練習ができれば、タイムも出ると思うし、ね。
だから、基本だよね。」
土佐「元?基準?」
渋井「あ、それそれ。」
宮嶋「渋井さんにとっては土佐さんの練習が基準?」
土佐「基準ですが、ちょっと高いかな。(笑)」
宮嶋「土佐さんはどう思いながら渋井さんの練習を見ているんですか。」
土佐「スピードはぜんぜん凄いぜんぜん違うんで、スピード練習はあんまり参考になりません。距離走もあんまり。」
渋井「距離走は土佐さまさまです。」
宮嶋「二人で強いところが違うということですかね。ところ渋井さんの趣味は腹筋と書いてあったのですが。」
渋井「好きって言うか、なんか生活の一部です。」
宮嶋「腹筋練習をするのが生活の一部?」
土佐「凄いですよ。」
渋井「凄いって言うか、あなたもやる。」
土佐「私はやっても腹筋がつかないんですよ。」
宮嶋「そんなに凄いんですか。」
土佐「割れてますよ。」
宮嶋「ちょっといいですか?(ここで、服の上からではありましたが、腹筋を触らせていただきました。)あっ凄い、センターが割れている。シックスパッドですねえ。ついでにふくらはぎも(なんと、ふくらはぎも触らせていただきました。)・・・なんだかスプリンターの脚みたい。きれいな脚!」
渋井「いやいやとてもお見せできるものじゃございません。モザイクモザイク!」
宮嶋「渋井さんと土佐さんは走り方だけじゃなくて、脚の形からも違いますよね。」
渋井「細いんですよね。どこを使って走っているんでしょう。この人は(笑)」
土佐「ムムム・・・・」
宮嶋「渋井さんから見て、土佐さんのいいところはどんなところですか。」
渋井「私の癒し系ですから。癒されていますよ。あんまり人の話を聞いていないところ。ああ、聞いてないのねみたいな。」
土佐「あんまり聞いていないですね。ぽーーと。」
宮嶋「このチームに土佐さんがいなかったら、渋井さんどうですか。」
渋井「今ごろ、いないんじゃないですか。(笑)やめてますね。とにかくマラ練のときはいつも愚痴を聞いてもらっています。もうだめだって愚痴言うし。」
土佐「でもちゃんとこなして帰ってくるんですよ。妥協なし。」
渋井「言いやすいんですよね。」
宮嶋「じゃあ本当に救われている面があるんだ。いろんなところで。」
渋井「はい。あんまりほかの人に言ってもいい答えがかえってこない。いい答えを言ってもらっているわけじゃないんですけれど、なんか、言ってすっきりするんです。ちゃんと聞いてくれるんで。・・・聞いてない?聞いてないところがいいのかもしれない。(笑)」
土佐「聞いてない。」
宮嶋「愚痴を言ったりするとどういう答えが返ってくるんですか。」
渋井「大丈夫だあ・・で終わり。大丈夫。うん、じゃあいいやって。」
土佐「大丈夫って・・わかんないけれど、何でも大丈夫かなと。」
宮嶋「土佐さんは気持ちのいいクッションなんですねえ。ところで土佐さんのモットーってこれはどういう意味ですか。」
土佐「サイズ・ザ・デイって今を生きるッて言う意味なんです。映画からなんですけれど。」
渋井「えっ、それって、私のモットーと同じジャン。かぶってる。私がパクッたのか?ごめんね。」
なんともいい二人。絶妙のコンビなのです。このまま漫才ができるかもしれないと思うほ
どのボケと突っ込み。でもこうしたキャラクターがしっかり生きているのは、個性を殺さ
ない鈴木監督の超指導法があるからなのでしょう。
さあ、二人の会話はますますエスカレートしていきます。
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