我が家の夏の恒例となった「サマーチャレンジ」
おととしの沖縄本島縦断、昨年の富士山頂!に続く第三弾は、
そう、世界自然遺産の島「屋久島」の象徴『縄文杉』に
会いに行くこと。
登山専門店では、富士山と同じように専門コーナーがある「縄文杉」。
中高年の登山愛好家よりもむしろ「山ガール」など、若い人を中心に人気
なんだそうですが、一番の違いはなんと行っても首都圏からは、
はるか離れている点。
東京から3時間足らずで5合目登山口まで行ける富士山とは違い、
屋久島に行くにはそれなりの覚悟が必要です。
一年前はちょうど富士山にチャレンジしていた8月3日(火曜日)
羽田発朝6時台の便でまずは鹿児島空港へ。 |

個人的に、都内で最も心が洗われる景色
「朝日のレインボーブリッジ」 |
空港からは、高速バスで1時間かけ、鹿児島港へ。
南埠頭からジェットフォイルと呼ばれる高速船で種子島を経由し、
さらに2時間40分。
自宅を出発してから実に8時間、屋久島に二つ
ある港のうちの一つ安房に到着しました。 |

トビウオの漁獲量日本一の港です。 |
港から車で15分ほどにある宿に荷物を置いたあとは、
屋久島町が運営している「屋久島自然館」で
まずは、その知名度ほどあまりよく知らない「縄文杉」
について勉強します。 |

2006年末に雪の重みで折れた
縄文杉の枝が、
(長さ約4m、重さ約1.2t、太さは最大約80cmと普通の杉の幹ほど)
「いのちの枝」と名づけられ展示中
枝でも樹齢1000年以上! |

クイズ形式での勉強は、
子供には最適ですね。 |

昭和30年代、屋久杉伐採に
使われた2メートル超の
大型チェーンソー。
私でも持ち上がらないのに
どうやって
使っていたんでしょうか。 |
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屋久島で最初に迎える朝、
AM3時30分 当然、まだ真っ暗の中起床。
ピーク時に起こる富士山同様の「登山者渋滞」を避けるため、
AM4時40分、始発の登山バスに乗車します。 |

09年から、縄文杉の玄関口「荒川登山口」まで、
車両の乗り入れ規制(3月~11月)が開始されたため、
昨日訪ねた屋久島自然館から皆シャトルバスを利用します。 |
約40分間、曲がりくねった道をひたすら登り、
標高約500Mの「荒川登山口」に到着。
登山口に着いてまず驚いたのは、登山口では「何も売っていない」こと。
最近設置されたという休憩所には、自動販売機の一つもありません。
5合目登山口で、レストハウスや売店、郵便局から外貨両替所までが立ち並ぶ
富士山とは大違いです。
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まだ真っ暗で不安なため、先行く人を待ちます。 |
宿泊した宿の方によると、富士山に登ったことのある人が
「食べ物は登山の途中で買いますから」と、アドバイスを聞き入れず、
十分な装備や準備をしないで、縄文杉に向かい、
途中で断念する人も結構居るそうです。
一人で登るよりも不測の事態が起こりやすい家族での登山。
事前に十分な下調べをして、富士登山並みの重装備に身を包み、
AM5時40分、縄文杉まで往復約20キロ、約10時間のツアーに出発!
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一ヶ月に35日!雨が降ると言われる屋久島、
防水の登山靴にレインウエアは最重要アイテムです。 |
まずはかつて屋久島伐採に使われていた森林軌道、いわゆる
「トロッコ道」をひたすら進みます。
歩いて20分ほどで現れたのは、今年1月に発生した大規模な土石崩れのあと。
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巨大な岩がトロッコ道を完全にのみこみ、数十メートル下の川まで
落ちていったあと。復旧したのは6月中旬になってから。 |
さらに、眠気を覚ますには十分なこんな場所も!
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柵の無い小杉谷橋
踏み外せば急流の川。
まず助かりません。 |

全体が巨大な花崗岩の
塊のような屋久島。
こんな巨石がごろごろしています。 |

岩に根を張る木々。
栄養分に乏しく
冬は雪が積もるという
厳しい環境だからこそ、
屋久杉はゆっくり大きく
育ったんだそう。 |
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底の固い登山靴では歩きにくく、枕木の間隔と歩幅が合わない上、
雨で滑りやすい枕木の上を進むこと1時間、
AM6時42分(スタートから1時間2分)
小杉谷小中学校の跡に到着。
かつて屋久杉伐採の前線基地として栄えた小杉谷集落は、最盛期には
500人が住んでいましたが、1970年伐採終了とともに
無人になったそうです。
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桜の木が当時の面影を伝えています。 |
予定からは10分程遅れていましたが、ここが縄文杉まで最後の
トイレと休憩所のため、軽くブレイクをとります。
単調なトロッコ道、さらに止んだかと思えば急に降りだす雨に
早くも娘の口から禁断の言葉が・・・
「もう、ヤダ」
さらに追い打ちを掛けるようにこんな看板も。 |

厳しい屋久島の環境で、朽ち果てそうな道標。
縄文杉まで170分。えぇ~と、まだ3時間弱?
すぐに計算出来ないほど、テンションは低いまま。 |
なかなかペースが上がらない中、
AM7時27分(スタートから1時間47分)
トロッコ道、最初の巨木「三代杉(さんだいすぎ)」に到着!
樹高38.4Mとあまりの高さに上部は確認できません。
一口に屋久杉と言っても、様々はタイプがあるのですが、
この三代杉は倒木や切り株が三代に渡り更新されたモノ。 |

一代目(樹齢1200年)の倒木の上に二代目(樹齢1000年)が育ち、
さらにその倒木の上に三代目(樹齢500年)が育っている三代杉。
岩ばかりの屋久島では、切り株は貴重な次世代を担う土壌代わりになります。 |
地元の方によると、樹齢1000年未満のモノは屋久杉と
呼ばないそうですが、それでも十分な大きさです。
さらにその30分後には、
屋久島に生息する哺乳類で最も数が多いと言われる「屋久鹿」に遭遇
屋久島にいるとしょっちゅう見かけますが、
こんな山の中で一生懸命生き抜いているんだと思うと
少しだけ元気になりました。 |

人口14000人、屋久鹿17000頭。
人が近くを歩いていてもあまり気にせず
草を食んでいるかわいいバンビ。
全般的に、本州の鹿より小型なのが特徴。 |

前日、島の西を走る「西部林道」で
出会った屋久猿。
長い毛は多雨対策と言われています。 |
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歩いても、歩いても、一向に終わる気配のないトロッコ道に
私まで心折れそうになる中、 |

トロッコにスピードダウンを知らせる「徐行」の標識。
言われなくても、歩みはずっと徐行中。 |
AM8時13分(スタートから2時間33分)標高860M、
次なる巨木「仁王杉」に到着。登山道からやや離れていても十分な迫力ですが、
これでも巨木一覧表では脇役レベルです。 |

樹高22.8M 周囲8.3M 急な斜面にしっかりと根を下ろす仁王杉。
複雑な幹の凹凸が確かに厳つい!
見慣れている植林されたスギとは似ても似つかない。 |
「仁王杉のあと間もなく林道」というガイドブックのコメントを
家族の励みに、とにかく歩き続けると、
AM8時40分(スタートからちょうど3時間)
ようやくトロッコ道が終了!
長かった~(><)!!
家族4人に広がる安堵感・・・
先を進んでいた登山者の多くも
やれやれといった表情で腰を下ろしていました。
縄文杉への次なるステージは通称「大株歩道」と呼ばれる林道です。 |

小杉谷からの5キロに比べれば、ウィルソン株まで
0.6キロ!もしかして直ぐなのでは? |
ここから本格的な林道がスタート。これが意外と手ごわい!
いきなり急な階段から始まり、木道とむき出しの「木の根」の連続で、
ロープを伝いながら登る急斜面も。
雨で非常に滑りやすく、一歩一歩足場を確認しながら進みます。 |

映画「もののけ姫」の舞台になった屋久島の森。
本当に精霊たちがいてもおかしくない雰囲気です。 |
体重の重い大人にとっては、思わず「よっこいしょ」と言ってしまう
急角度の連続も、至極単純なトロッコ道に比べれば、子供たちにとって
アトラクション同等だったようで、ついさっきまでは座り込んでしまい
そうだったのが嘘の様に、ぴょんぴょん跳ね登って行きます。
林道に入ってから18分後
AM8時58分(スタートから3時間18分)標高1000M
林道最初の巨樹「翁杉(おきなすぎ)」に到着!
2000年を超えるというこの古木には、数種類の木が着生していて、
まるでこの木だけで森のよう。
たぶん夜中になったら動きだしそうな
「森のおじいちゃん」の雰囲気です。 |

樹齢2000年 樹高23.7M 周囲12.6Mはあの縄文杉に
次ぐ太さで風格たっぷり。着生植物の根が幹を這う姿は古木の特徴。 |
屋久杉界の準エースクラスでさえ、相当な威圧感がありましたが、
さらに歩くことわずか10分、
AM9時8分(スタートから3時間28分)
ついにウィルソン株に到着!
その名の通り数百年前に切り倒された『切り株』なのですが、
周りに若木を従えて、数ある切り株の中でも圧倒的な存在感を誇ります。 |

アメリカの植物学者「ウィルソン博士」が
1914年に来島して紹介した巨大な切り株。
屋久杉が世界に知られるきっかけとなったそう。 |

大阪城築城のため、
または方広寺建立のため切られた
と伝えられる『ウィルソン株』
切り株の大きさは8畳以上!
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切り株の中は空洞で、湧水が吹き出し、
祠が祭られています。
見上げるとハートに見える場所も。 |

写真を撮り終えたあと、
ウィルソン株渋滞始まる! |
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山道はここからさらに険しくなり、まだ1時間半は掛かる為、
「勇気が必要だったけど、みんなに迷惑を掛けるから」
と団塊の世代と思しき女性はここで登山を断念されていました。 |

わずか1.9キロ されど1.9キロ |
ウィルソン株にちなんで名づけられた大株歩道は、地形も複雑で
起伏に富み、湧き水もあちこちにあるので、お水には困りません。
ここで少し水分を補給し、さらに歩を進めると
すれ違う下山者の「やっぱり一番すごいね」なんていう会話が
ちらほら聞こえ始め、さらに気合が入ります。 |

いつもどこかで雨が降るといわれる屋久島。
屋久杉の育つ山間部の降水量は実に東京、大阪の5倍以上! |
9合目を過ぎれば岩場しかなく、単調にならざるを得ない
富士登山と違い、数十分歩けばその都度「ご褒美」が待っている屋久島の山。
レインウエアを脱ぐと決まって雨が降り、着ると止むという
何とも気まぐれな雨にも負けず、
さらに40分後、
AM9時47分(スタートから4時間7分)
縄文杉と並ぶ屋久杉のスター!「大王杉」に到達!!
『これはすごい!』
その名の通り、縄文杉が再発見されるまでは屋久島最大とされたスギで、
科学的測定で確認された最も古い屋久杉です。
その大きさは、この大王杉と縄文杉だけはその全景を収めたいと思う気持ちを
あざ笑うかのよう。 |

樹高24.7M 周囲11.1M
樹齢3000年
急な斜面をがっちり掴む大王杉
下部1/4しか撮れていません。
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かつて反対側にもあった
登山道からは、試し切りの後が
見られるんだそう。 |

他の木を押しのけるように、
上に上に枝葉を伸ばす大王杉
その生命力には恐れ入るばかり。 |
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山深きもののけの森で、人間が邪魔をしなければまだまだ
何千年も生き続けられそうなその若々しい姿には、
子供たちも驚いていました。
さぁここまで来ればラストスパート! |
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