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8月26日 富士山頂!

薄手の毛布で、他の登山客との雑魚寝は全く苦ではありませんでしたが、
ここでも『極度の頭痛』が容赦なく襲ってきます。
というのもすでにこの高さで、酸素濃度は平地の三分の二程度。

夜中、携帯酸素を枕元に深くゆっくりとした呼吸を心がけましたが、
治まるどころか、耳鳴りまでしてくる始末。

中学校一年生の長男にも同じ症状が出て、
結局、夜中出発し、
山頂でご来光を見るプランから、山小屋でご来光を見て、
改めて山頂を目指すスケジュールに変更することになりました。

4:30 ほぼ一睡も出来ぬまま、起床時間に。
毛布から這って出てくると、すでにご来光寸前に。


幻想的な光景が。

実は今年の富士山は極端な天候不順で、
7月1日の山開きから一ヵ月余り、この時点でご来光を拝めたのは、
山頂でわずか6回、本八合目では10回目だそう。


×の日はほとんどが雨!

4:45すぎ ついにその時が!


心が洗われる瞬間

この時点では、頭痛が治まる気配が無く、
正直山頂アタックを断念しようかとも思いましたが、
徐々に登る太陽に背中を押され、
6:10 山頂まで残り高さ350Mへ出発。


100枚以上撮った中でも最も印象的な『雲海』飛び込めそうです。

本8合目以降の登山道はほとんど整備されていない「がれ場」続き。
森林限界点はとっくに過ぎているため、草一本生えていない中を、
ただひたすら頂上を目指して登ります。


溶岩石がごろごろ。

幸いにして私と長男は起きて2時間ほど経って頭痛はほぼ治まりましたが、
今度は、前日まで元気一杯だった長女に異変が。


もう歩けない…ってまだ出発20分

やはり典型的な高山病の症状である頭痛に加えて、胸の痛みまで訴える状況。
携帯酸素を吸い込むのも苦しそうながら、
10歩進んでは、1分休み、また酸素を吸って10歩進む。
気力と根性の時間が始まりました。

6:40出発から40分かけようやく8合5勺に到着。
通常のペースの3倍以上。


八合五勺。わずか高低差50Mに40分…
登頂断念も念頭に置きながら登ります

見上げれば、山頂はまだ遥か、かなた。

通常であれば、山小屋から山頂までわずか1時間半の道のりですが、
標準時間は気にせず、とにかく「ゆっくり」を合言葉に、
目の前の登山道を一歩一歩踏みしめながら登ります。


晴天・無風と天候は文句なし!

吸うというよりも、長く吐ききる呼吸法を心がけることで、
徐々にペースも上がり、
7:45分 ついに9合目到着!


標高3600メートル。
この看板は山梨県が今年設置した初めての公式看板。
中国語、ハングルも表記されています。

私自身はというと、足腰は問題ないものの、とにかく呼吸は苦しいまま。
吸っても吸ってもなんだか苦しく、携帯酸素が手放せません。


持参した6本のボンベもあと残りわずか…

8:00過ぎ、よく見ると、ついに山頂を示すポールが!


見よ!あれが山頂だ!!

8:15 富士山頂まで最後の看板に到着。そう、残りは歩く距離にして200M。
    平地であれば3分程度のわずかな距離です。


近くて遠い200M!

ゴールが見えれば俄然力が湧いてくるもの!
ただ、山頂が近づくにつれてさらに勾配は厳しくなり、
まさに自分の体が鉛の様で、
意識しないと足が前に出ないほどに。
ここで長女には少し長めの休憩を取らせ、ラストスパートに備えます。

遥か眼下に見える壮大な光景を励みに、さらに登り続けること、45分。


今年は、山頂付近から平地の建物まで見えるのは珍しい!

9:00ジャスト、本8合目出発から約3時間。
ついに富士山頂到着です!!


疲労感と達成感

本来の予定では、ここからさらに火口をぐるっと一周回る
「お鉢めぐり」にもチャレンジする計画でしたが、
なんとか登りきった長女はもう一歩も動けない状態だったため、
山頂滞在40分で速やかに下山することに。


雲に向かって降りていきます。


高山病一番の対処は早く高度を下げることに尽きます。

登山道と違い、下山道はブルドーザーで作った道ですので、道幅はほとんど同じ。
標高200Mほど下ると、嘘の様に元気になった長女が引っ張り、
非常に速いペースで一路5合目へ向かいます。


下り始めて1時間で雲の中へ。
落石を起こさないよう、
なるべく山側を選びます。

途中何度もブルドーザーが。
水や食料を上に運び、ごみを下ろします。

ひざを曲げて下りるコツを掴むとさらにペースアップ。
下り始めてわずか1時間ほどで、下江戸屋分岐点に到着。


富士スバルラインと須走口との分岐。この看板が設置されるまで、
ルートを間違える人が少なくなかったそう。

息が楽になると、もう怖いものなし。
約7時間半掛けて登った道のりをわずか3時間15分に駆け下り、

13:00 スタート地点に無事戻って来ました!


昨日とは違う景色に見える!?

満足感の中、振り返ると、
今回、高山病に苦しみながらも、なんとか全員登頂できたのは、
なんと言っても
@天候に恵まれたこと。さらに
A装備を万端準備し、かつ
Bあせらず確実に歩を進め、
C体調によって臨機に予定を変更したことです。
もし、山頂でのご来光にこだわっていれば、途中断念もありえたかもしれません。

今後、富士登山に挑戦される方は、
充分に富士山を研究の上、
悪天候であれば、体感気温は真夏でもあっという間に氷点下、
重度の高山病なら命に関わることをくれぐれもお忘れなく!

「備えあれば憂い少な!し」です!


自分へのご褒美はもちろん富士山めろんぱん!
甘みが体に染み渡りました!!
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