

2008年12月17日
40年ほど前一帯は砂漠だった――
アラブ首長国連邦・ドバイ首長国。国づくり真っ只中のドバイは、建設ラッシュで都市が丸ごと工事現場と化し、一見活況そうに見える。なにしろ、埼玉県ほどの広さしかない国土に、実に世界の3割のクレーンが集まっていると言われるほどだ。しかし、世界同時不況に飲み込まれ、未来都市を夢見た国づくりが、今、危機に直面している。
ドバイは原油の埋蔵量が少なく、石油に依存できない。国を成長させるためにとった戦略は、中東やイスラム教のイメージを覆し、観光などで人と金を呼び込むこと。イメージ作りのため、PRには莫大な金をかける。1泊最高350万円の部屋がある超豪華ホテルオープンの際には、世界中のメディアとセレブが招かれ、一晩で20億円を投じた。そんなドバイは、これまで人々の度肝を抜く不動産開発プロジェクトを次々と打ち出してきた。800メートルを超える高さ世界一の「ブルジュ・ドバイ」(来年完成予定)。さらにそれをしのぐ、高さ1キロの巨大ビルの建設計画、世界初の「動くビル」や映画「ジュラシックパーク」を再現したパークの建設計画なども発表されている。いつしかドバイは、「人々の生活」ではなく、「人々の注目を」を集めることに偏っていった。
国家戦略のキーワードは、「世界一」「前代未聞」。新たな大型プロジェクトでさらなる人と金を集めようとし、ドバイの街は投資マネーを呼び込む巨大な集金装置へと化けていった。しかし、構想の1割程度が進んだところで、金融危機がゆがんだ経済を直撃し、計画が大きく狂い始めている。
海岸線沿いの一等地には、ドバイが発信する華やかなイメージとは程遠い光景があった。並んでいる真新しい高級住宅は取り壊しの最中。しかし、工事は進んでいない。家の中はガラスの破片が散乱したままになっている。近所の人の話では、資金不足で計画が頓挫してしまったという。ヤシの木をかたどったドバイ最大のリゾートアイランドの計画も行き詰っているという。ある高級マンション群はすべてが完売しているが、実際に暮らしている人は1割程度。暮らすための購入ではなく、高値で転売するのが目的だったからだ。誰も住むことなく、持ち主だけが次々と変わった部屋もある。投機マネーが生んだ街はさながらゴーストタウンのようだ。