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2011年3月1日

日本の金型職人、中国で奮闘

日本の金型職人、中国で奮闘

技術、生産量において世界トップレベルを誇る日本の“金型”。一枚の金属板を自在に変形させ、立体的なフォルムを生み出す。金型があれば、1000分の1mm単位の精密さで、大量生産が可能になる。産業の要である金型を作ってきたのは、日本の中小企業だ。しかし、その技術力がいま、大きなグローバル経済の波にさらされている。

中国・福建省の地方都市、福清市。この町に技術一本で日系メーカーを渡り歩く金型職人がいる。中西武儀さん(63)は、かつて物作りの町として知られる東大阪で工場を営んでいた。19歳から金型一筋で生きてきたが、90年代に入ると、得意先が次々と海外へ移転。仕事が激減した。2003年に工場を閉鎖。以来、中西さんは、家族を置いて中国に渡り、様々な日系企業で技術指導者として働いてきた。中西さんにとって中国で4社目となる『山本プレス福州会社』。自動車のブレーキ部品メーカーで、中国で生産・販売する日系企業向けの製品を作っている。中西さんは、技術部長として金型の製造とメンテナンスを担う。ここでは、自動車のディスクブレーキに使われる“バックプレート”を作っている。タイヤと連動するディスクローターを両側から挟んで回転を止める部品だ。安全に直接関わるため、わずかな狂いも許されない。取材中、中西さんに修正依頼がきた。一目見て、中西さんは問題の箇所を指摘。ほんのわずか、金型の角が丸くなり、製品に小さな出っ張りが出ていた。金型は、すぐに修正されたが、中西さんは、現場のスタッフについて悩んでいた。「中国人スタッフは、基礎ができていないため、金型に問題が発生しても解決方法を知らない。それが問題」と話す。そもそも中国で作られる金型には、大きな課題ある。中西さんは、「金型は100万、150万プレスもつのが普通」というが、中国材は分子が粗く、無理をするとすぐに割れてしまう。そこで今は、日本のメーカーから材料を仕入れている。

経済成長が著しい中国。かつて企業は、中国に安い人件費を求めて進出してきたが、状況は変化している。福清市の開発地区では、あちこちで“人材募集”の看板を目にする。福清市の最低賃金は1年で23%も上昇。山本プレス福州会社では、平均給与をかなり高めにして人材を確保している。急激な変化のしわ寄せは、中西さんにも及んでいた。

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