

2011年5月4日
2001年9月に起きた同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディン容疑者が殺害された。アメリカ軍がアフガニスタンで始めた対テロ戦争から10年。そのアフガニスタンは、いま、どのような状況にあるのか。ジャーナリストの西谷文和氏が取材した。
アフガニスタン第3の都市・ヘラート。10年前、ここは、旧タリバン政権との激戦地だった。いま、中心街を歩くと、多くの露天が並び、1000キロ離れた海で捕れた魚やイラクから運ばれてきた彩り鮮やかな菓子など様々な商品が並んでいる。こうした商品は、アフガン復興の支援金に群がった富裕層が消費しているという。その一方で、町にはブルカに身を包む女性の物乞いが目立つ。ブルカは、旧タリバン政権が強要した。教養を禁じられた女性の地位は未だ低く、こうした名残が女性の自立を妨げている。タジクと名乗る50代の女性。夫を亡くし、家族5人を1日200円ほどの施しだけで養っているという。家には、5年前から心臓病で寝たきりの息子とその妻、そして孫がいた。タリバン政権から米軍の駐留に変わり、より深刻な貧困になったという。タジクさんは「全然お金がない。孫たちは夜まで乾いたナンだけを食べている。いつまで物乞いをすればいいのか、食べ物をくださるようにしてほしい」と窮状を訴える。貧困による悲劇はあらゆるところにはびこっている。最近では、金と引き換えに親が結婚を強要するケースがあり、望まない結婚と親に見捨てられたという思いから焼身自殺する女性が増えているという。ヘラート中央病院には、去年1年間で87人の自殺未遂者が搬送されてきた。1週間前に運び込まれた17歳の少女も焼身自殺を図ろうとし、全身に大火傷を負った。彼女は「母親に結婚を強要された」とだけ語った。
西谷氏が首都・カブールに滞在した2週間の間だけでも2度の自爆テロに遭遇。現場は高級百貨店だった。ターゲットとなったのは、富裕層と外国人。国連によると、去年の民間人の犠牲者は、前年に比べて2倍に増えた。ビンラディン容疑者が殺害されても、貧富の格差は広がるばかりだ。貧困から富裕層を狙った新たなテロが増えている。