565 | 566 | 567 | 568 | 569 | 570 | 571 | 572 | 573 | 574 |

2011年4月29日

ロイヤルウエディングの影で〜イギリスの憂鬱

ロイヤルウエディングの影で〜イギリスの憂鬱

イギリスのウィリアム王子とキャサリン妃の世紀の結婚式で盛り上がったイギリス。しかし、ロイヤルウエディングの影で、イギリス経済は厳しい現実に直面している。

世紀の結婚式が行われたウェストミンスター寺院から東に7kmのニュークロス地区。この辺りは、いま、ロンドンで一番治安が悪い地区だ。旅行者はもちろん、ロンドンに住んでいる人も用事がないと足を踏み入れないという。この地区の犯罪発生件数は、全国平均を大きく上回り、警察官が頻繁に夜の街を見回っている。ロイヤルウエディングの祝賀ムードは、ここには届かない。パブをのぞくと、そこにいる客たちは「結婚式なんてどうでもいい。金の無駄だ」と、不満を口々にしていた。ロイヤルウエディングの影で、忍耐を強いられているイギリス国民。この背景には、キャメロン政権が打ち出した戦後最大の緊縮財政路線がある。4年間で約11兆円に及ぶ歳出削減。この影響で、49万人の公務員が失業する見通しだ。大きな痛みが伴う緊縮財政が進む中、ロンドンでは、職を失い、職業安定所に駆け込む人が増え続けている。失業中の人たちは、「娘の学校があるし、仕事を見つけないと苦しい。貧乏な人は、より貧しくなる」「仕事を探すしかないが、その仕事が全然ない」と話す。国民の不満は、すでに限界に達している。先月26日、緊縮財政反対のデモに25万人が参加。一部が暴徒化して銀行などを襲った。

さらに、緊縮財政の影響は、子どもたちの教育にも及んでいる。来年、大学受験を控えるタミカ・カルールさん(16)。政治を学ぶため、名門オックスフォード大学を目指している。いま、タミカさんの前に立ちはだかるのが、大学の授業料値上げ。年間の授業料3000ポンド(約40万円)が、彼女が入学する年から最大3倍(9000ポンド、約120万円)まで引き上げられる。タミカさんは「不公平。裕福な家庭の出身ではないので、急にそんな金額が払えるわけがない。でも、どんな障害があってもあきらめたくない」と話す。タミカさんの父親は、ウガンダからの移民だ。両親共働きで、幼い弟や妹の面倒を見ながら、タミカさんは机に向かう。イギリスでは、一部の富裕層以外、借金をして大学に進学する。授業料の値上げで、タミカさんも300万円近くの借金を背負うことになるという。タミカさんの祖母・マーガレットさんは「借金地獄に陥ってしまう。

  • 1
  • 2
565 | 566 | 567 | 568 | 569 | 570 | 571 | 572 | 573 | 574 |