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スペイン編 撮影日記

トラムは海岸沿いを走る
コスタ・ブランカのトラム
バレンシアから南200キロの海岸は、コスタ・ブランカと呼ばれている。スペイン語で「白い海岸」という意味で、日本ではあまり知られていないが、ヨーロッパではリゾート地として名高いエリアなのだそう。この白い砂浜に沿って走るトラムがあることを知り、トラムの出発点で、コスタ・ブランカの中心地といわれるアリカンテに向かった。
トラムの駅は、スペイン国鉄のアリカンテ・テルミナル駅から、ヤシの木が植えられた通りを5分程歩いたところにある。南国リゾート感漂う噴水広場からエスカレーターで地下に降りると、始発のルセロス駅に到着。乗車するのはL1という路線のベニドルム行きだ。朝5時台から夜の22時過ぎまで30分おきに運行していて、利用しやすそう。実際に、13時過ぎに乗ったトラムも結構混雑している。出発して間もなく地上に出て海が見えてくる。数駅過ぎると、トラムはおよそ3キロの区間、ずーっとビーチ沿いを進んでいく。まっすぐ続く白い砂浜と青い海、本当に美しい風景だけれど、まだ季節は春。やはり人影はまばら…
目指すベニドルムもコスタ・ブランカ有数のリゾート都市。ビーチでの撮影を予定しているが、こちらも閑散としていたらどうしよう…という不安を抱えたまま、ベニドルムに到着。心配していたビーチは予想以上に賑わっていた。北ヨーロッパ、特にイギリスからバカンスに訪れる人が多いらしく、リゾート地の太陽を求める気持ちが強いのかもしれない。4月でも道行く人の半分くらいは水着姿。海沿いのテラスにずらりと並ぶ上半身裸のおじさんたちは、なんだか日本の銭湯の常連さんみたいで、海辺のエキスパート感がにじみ出ていた。
トラムの30分おきの運行は、走る様子を撮影するのにも好都合だった。時刻表どおりに次々とやってくる小さなトラム。スタッフみんなでどう撮るか、工夫を重ねるうちにすっかり予定の時間を過ぎてしまった。その後のスケジュールにしわ寄せがいくことになってしまったのは言うまでもないが、時間通りにやってきて、海沿いの暮らしに寄り添うように走る姿がなんとも可愛らしく、何だかすっかり引き寄せられてしまった。
ディレクター 渡部博美
コスタブランカを楽しむ子供たち
ベニドルムのテラス