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医療ミスが多発する今日。
発生そのものを食い止めるために、私たちはどうすればいいのでしょうか?
それを探るため、今回は日本の医療が抱える構造的な問題にメスを入れます。

 '00年10月、埼玉医大総合医療センターに入院していた女子高生・古館友理さんが死亡しました。原因は、抗がん剤の過剰投与による副作用。もともと友理さんは、あごにできた腫瘍の治療のため、抗がん剤を投与されることになったが、主治医であるS氏が1週間に1回だけ与える強力な薬を、誤って毎日投与してしまったのです。この抗がん剤を使った治療法の経験がまったくなかったS氏。が、彼は詳しい医師に相談することもありませんでした。彼がしたことは、図書館で専門書を読んで調べることだけ。さらに、薬の注意書きすら読まなかったというのです。7日間連続投与した後、S氏が友理さんの容体が明らかに悪化したのに気づき、投薬をストップした時はすでに手後れでした。そして彼女の死後、あろうことか医師たちが組織ぐるみで、投薬ミスの事実を遺族に隠そうとしたのです。一連の事件にはS氏の医師としてのレベルの低さ、それをチェックしなかった管理体制の甘さ、隠ぺい工作に見られる病院の閉鎖的な体質が顕著に表れています。事件後、埼玉医大はS氏をはじめ関係者を処分し、病院のチェック体制を見直しました。が、このような深刻なミスの再発を防ぐためには、病院の危機管理を改善するだけでは不十分。根本的な解決を望むなら、日本の医療そのもののシステムや環境を変えていかなくてはなりません。
 まず必要とされるのは、医師の質の管理。現在、日本の医師免許は終身制です。一度医者になると知識がお粗末でも、腕が落ちても医者を一生続けていられるのです。この医師免許制度を更新制に変えれば、医者のレベルを一定に保つことができます。事実、アメリカでは州によって差はあるが、数年に一度、厳しい能力テストを受け、合格しないと免許を取られてしまうのです。
 さらに、医療事故を徹底的に調査する機関を作ること。事故が起こっても、専門的な知識のない被害者が病院のミスを追求するのは難しく、証拠がもみ消されても、簡単に暴くことはできません。そこで、医療知識に精通し、公平な判断を下せる事故調査機関を作り、医療事故が発生したら報告するのを、病院に義務付けるのです。現在、厚生労働省は、この調査機関設立を検討している最中です。
 最後に、病院の人手不足解消。現在、入院患者100人あたりの医者の数は、アメリカが71.6人なのに対して、日本はわずか12.5人。徹夜勤務明けの医者が、そのまま寝ずに手術するなんてこともざらだといいます。もちろん、医者や看護婦の数を急に増やすことは簡単ではないが、まずはスタッフの待遇・現場の環境を何とか改善することが必要。特に、看護婦や研修医の低賃金・長時間労働の問題は深刻なのが現状なのです。
 私たちも過ちを二度と繰り返させないために、医療ミスを自らの危機として捉え、絶えず問題意識を持ち続けなければなりません。
このスマトク「医療ミス」の取材を行う中で強く感じたのが、本当に医療はムズカシイということ。
僕らテレビスタッフの場合、ミスを犯せば放送事故になる。でもそれで人が亡くなるなんて事はまずないですが、医師や看護師はたった1つのミスが患者の生死に直結してしまう。ある意味一番ミスが許されない仕事なのに、医師の免許制度はなぜか甘いんです。
香取君もスタジオで怒ってましたけど、医師免許が更新制じゃないのはやっぱりオカシイ!もしも定期的に能力テストが行われていれば、古館友理さんに抗がん剤を過剰投与したS医師は、事件を起こす以前にすでに免停になっていたかも知れません。
現在先進国の中で、医師免許が更新制じゃないのは日本だけ。なのに中々この制度を導入できないのは、身勝手な医者たちが抵抗してるから。
政治だけじゃなくて、医療にも「聖域なき構造改革が必要」なんです。
(スマ特担当・小田隆一郎ディレクター)

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