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前回はヒトのクローン研究に伴う危険性を伝えた「スマ特」。
しかし、ただ単に危険な研究と言い切れることができるのでしょうか?
実はそうでもないのです――。


 生きた細胞を使って、火傷した皮膚や、事故・病気で損傷した臓器や組織を修復する「再生医療」。この「再生医療」が今、クローン研究と結びついて飛躍的に進歩しようとしています。

 先月京都で「日本再生医療学会」の総会が開かれました。そこで最も注目を浴びていたのがES細胞の研究。ES細胞とは、Embryonic Stem Cellの略で、胚性幹細胞と呼ばれるもの。これは受精卵が細胞分裂を始めた状態の「胚」から取り出されるもので、体のどんな部分にでも分化し、成長することができる「万能細胞」なのです。極端なことをいえば、このES細胞を培養して、肝臓をそっくりそのまま作って移植するなどということも可能なのです。この技術の研究がさらに進めば、これまで難しいとされてきたアルツハイマー病やパーキンソン病、せき髄損傷などの治療に画期的な進歩をもたらすことができるといいます。しかし、この万能細胞にも実はひとつ大きな弱点が…。それは移植によって起こる拒絶反応です。現在研究に用いられているES細胞はもともと、ある個人の受精卵から取り出したもの。つまり、これを培養して作られる組織や臓器はあくまで他人の細胞で出来ているため、移植すると拒絶反応が発生してしまうのです。


 そこで、この弱点を解決するために登場するのが、クローン技術。自分の体の細胞から核を取り出し、卵子に移植して作る「クローン胚」。このクローン胚から作ったES細胞で臓器を作れば、それは自分の細胞で出来た臓器であり、移植しても拒絶反応は起こらないというわけなのです。しかし、このクローン胚を女性の子宮に入れると、クローン人間が生まれてきてしまう…。クローン胚研究はクローン人間作りと紙一重なのです。その危険性ゆえか、クローン胚の研究はフランスやドイツなど各国で禁止されているのが現状です。日本でも、昨年制定された「クローン規制法」によって、クローン人間作りおよびクローン胚の研究も禁止されています。

 危険性を重視するか、有効性を重視するか…。迷走を続けるクローン人間問題。賛否両論が飛び交う中、刻一刻とクローン赤ちゃんの誕生は迫っています。この現実を前にして、正しい理解と深い考察を行い、冷静に判断しなければなりません。それが今、私たちに求められていることなのです。

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