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  reported by
宮嶋泰子


オリンピックは開幕すると猛烈な勢いで競技が進行していきます。

攻撃の手を知り尽くされてしまった谷亮子が銅メダルとなり、絶不調から復活した内柴が動き回って「いい仕事をして」金メダルを獲得。
男子の体操では、あん馬のスペシャリスト鹿島があん馬で落下。種目別出場権を失い、弘法も筆の誤り、猿も木から落ちるとはこのことかと改めて五輪に住む魔女の力を想います。本人自身も信じられないと首を傾げるばかり。
信じられないミラクル!と叫んだのは、ドイツ、ウクライナ、イタリア、イギリスを上回る得点をマークして、団体でベスト8進出を決めた日本の女子体操の選手たち。ベスト8進出は24年ぶりの快挙です。
快挙といえば、バドミントンの女子ダブルス準々決勝で末綱・前田組がアテネ五輪の優勝者で世界ランキング1位の楊、張組に逆転勝ちして日本選手としては初のベスト4入り。勝った瞬間コートに倒れこんで喜ぶ二人と、下を向いたまま去っていく中国選手が対照的でした。末綱と前田の精神力と肉体のタフさに驚かされると同時に、中国選手が抱える13億人の期待の重さはいかばかりかと同情さえしてしまいます。
そして、北島の文句なしの世界記録での金メダル。この人は重圧さえも味方につけてしまうのでしょうか。

書くのが追いつかないくらい、あっちこっちでドラマの連続です。





話を3日前のことに戻しましょう。なんだか遠い昔のように思える開会式のことです。
大きな舞台で繰り広げられるエンターテイメントは見事でした。こんな大掛かりなものをやられた後、4年後のロンドンはやりにくいだろうなあと思わずにいられなかったのは私だけではなかったでしょう。人海戦術デジタルマスゲームの見事さはいまさら言うまでもないことですが、今回私が感動したのはちょっと違うことでした。
いったい何に感動したのかって?
それはもう・・・聖火の最終点火者が李寧だったことにです。

この3年間、李寧を紹介するためにさまざまな機会を捕まえて取材のチャンスをうかがい、ようやく北京五輪直前の7月の25日に無事報道ステーションで放送することができました。(詳細はこちら

取材の最中はもとより、実際に聖火が競技場に入ってきて、次々にリレーされる最中でさえも李寧が聖火点火者の大役を担うとはまったく知らず、電光掲示板にLI NING と表示されたときはわが目を疑ったほどです。
彼のスポーツ界に果たした役割が中国でも高く評価され、最終聖火点火者を李寧にしようと決定した人々の想いがうれしく、李寧が宙に舞っていく姿を見ながら思わず熱いものがこみ上げてきました。李寧を日本の人にも知ってほしい、彼のような考え方のスポーツ選手がいることを知ってほしい、その想いが間違っていなかったことを噛み締めながら上空を見つめていました。




番組で紹介した民間で初の体操クラブの創設や白内障手術のための健康快車への寄付だけでなく、現在李寧が社会に貢献している役割は少なくありません。現役を退いた選手でさらに勉強をしたい人や、コーチ留学をしたい人へのサポートなど、日本ではJOC(日本オリンピック委員会)が行っているような事業も李寧のファンドで行っています。まさに国ができないことを李寧の会社のファンドで補っているのです。
「少数民族で、貧しい生活をしていたために、小さいころからみんなに助けられて生きてきた。だから、今私が多くの人を助けたい。」
「私たちがスポーツから得たものは、勝ち負けよりも、一つの目標に向かって、難関を乗り越え目標を達成していく達成感、そして次に新しい目標を立てていく充足感なのです。」
こうした李寧の言葉が今でも私の心に響いています。
オリンピックはこうした素敵な人物も生んでいくのかと思うと、また違った興味も沸いてきます。
日本の選手たちはこのオリンピックから何を学んでいくのでしょう。

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