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撮影日記1

旅は、初夏の風に吹かれて始まりました。韓国の首都、ソウル。日本から最も近い外国だからか、日本と殆ど気候が変わらないからか、海外に来たという実感もなく、「本当に車窓ロケが始まるの?」、そんな違和感を抱いたまま最初の列車、地下鉄1号線に飛び乗りました。時刻は午前8時。
大都会の朝は、どの国でも憂鬱なもの…。ソウルも例にもれず、ラッシュを迎えた列車が重たそうに行き交っています。ロケの時はいつもエネルギッシュに動き回る撮影の辻さんも、この日ばかりは大勢の乗客に挟まれて身動きがとれない状態。息を殺すようにして、撮影を始めています。東大門(トンデムン)駅から市庁(シチョン)駅、ソウル駅を過ぎて龍山(ヨンサン)駅…と、ソウル市の中心部を走ること約20分、車内の窮屈さもピークに達した丁度その時、突然目の前がパッと開けます。ソウルを流れる大河、漢江(ハンガン)が見えてきたのです。乗車してからずっと寿司詰め状態で揺られてきた疲れも、一気に吹き飛ぶ壮快な眺め。重たいリュックを降ろしたような安堵感に包まれて、その後約1時間地上を走り、目的地の水原(スウォン)駅に到着しました。

すると…この時です。撮影助手の佐藤くんが切ない顔をして近づいて来たかと思うと、「玉美さん、もうダメです…、お腹がすきすぎて、倒れそうです」と言うではありませんか。そう言えば、早朝慌ただしく出発したせいで、朝ご飯を食べ損ねていたんだっけ…。私たちは、駅近くの食堂に駆け込みました。
今となっては名前さえ思い出せない、小さな食堂。美味との出会いはいつも唐突にやって来るものですが、こんなところに韓国料理の神髄があるとは、誰が予想出来たでしょうか!キムチチゲにユッケジャン、それにビビンパ等、日本でもおなじみのメニューなのに、味の深さが違う、一度食べたら忘れられない味なのです。極限までお腹を減らしていた佐藤くんも、「これヤバいっす、ヤバいっす!」と繰り返しながら、ものすごい勢いで食べています。韓国ではメインを頼むだけで何種類ものおかずが付いてくるのですが、どれを食べてもウ~ンとうなってしまう味。おまけのメニューとは思えないほど、実に様々な味が楽しめるのです。しかも驚く程安い!
ロケ初日から最終日まで、一度も失敗がないと言って良い程、韓国料理には感動しっぱなしでした。立ち寄った食堂全部、連絡先を控えておけば良かった…と今更ながらに後悔していますが、特に水原駅近くにあったこの食堂は、いつか必ず自力で探してみようと思う程、美味しいお店でした。

ディレクター 李玉美
ソウル・景福宮の守門将交代儀式
水原近郊を走る地下鉄1号線
おいしい韓国料理に舌つづみ
撮影日誌2

韓国の旅で私が最も楽しみにしていた路線の一つ、京義線に乗車しました。北朝鮮国境付近に向かう路線です。出発は、ソウルの北西部に位置する新村(シンチョン)駅から。ここは、韓国の有名大学が連立する大学の街で、学生たちが自由を謳歌し、次々に新たな文化やファッションを生み出すところ。まさかこんな街が北朝鮮国境へとつながっているなんて…。この辺りにいると、韓国がいまだ休戦状態にあるという事実など、到底思い出すこともできません。
当然のことではありますが、日本国内では“日本と北朝鮮の関係性”のみがクローズアップされ、“韓国と北朝鮮の関係性”に関しては、ほとんど触れる機会がありません。韓国人は北朝鮮のことを本当はどう思っているのかだろうか…、同じ民族として、どこまで現実的に統一を目指しているのだろうか…。様々な疑問を抱きながら、午前9時30分発の特急列車に乗り込みました。北朝鮮国境に最も近い駅、都羅山(ドラサン)駅は、新村からわずか53キロ。ソウルと北朝鮮は驚くほどに近いのです。
ソウルの地下鉄等では頻繁に「北朝鮮のスパイらしき人を見かけたら、即ご連絡ください。あなたの迅速な通報が国家を救います」などという車内放送を耳にしますが、京義線の列車は、拍子ぬけするほど静か。道中は、のどか過ぎる風景が続きます。
実は、私は在日韓国人3世。日本で生まれ育ったものの韓国国籍を持つ、韓国人のはしくれです。そんな境遇もあってか、撮影中の列車に揺られながらいろんな思いに駆られていました。もしも私の祖先が日本へ渡る道を選ばなかったら…、私は車窓に流れるのどかな風景の中で、北朝鮮を敵視しながら暮らしていたのだろうか?あるいは、時代に翻弄されて北朝鮮へと渡り、そこで南の故郷を懐かしみながら、生きていたのだろうか?
現在朝鮮半島には、1000万組の離散家族がいると言われています。同じ家族が、北と南に引き裂かれ、死ぬまで会えないかもしれない…、そんな絶望的な悲しみを背負って暮らしています。新村の街で幸せそうな笑顔を浮かべていた学生たちも、列車でのんびり風景を楽しんでいた老人も、私の想像をはるかに超える悲しみを知っているのです。そう思うと、日本でのうのうと暮らす自分が少し恥ずかしい気もします。私にいったい、何ができるのだろうか…、無力感を感じずにはいられませんでした。
京義線の終点、都羅山駅まで行くとそこから、分断国家の現実を肌で感じられる場所まで足を延ばせます。番組では、板門店(※)を紹介します。日本では決して感じることのできない雰囲気を、一緒に感じてもらえたら良いな、と思います。

※北朝鮮と韓国を隔てる軍事境界線上にたつ国際会議の場。1953年、朝鮮戦争の休戦条約もこの場所で結ばれた。現在、南北朝鮮の唯一の接点として、停戦協定遵守のため、国連軍と北朝鮮軍の兵士が毎日至近距離で互いを監視し合っている。

ディレクター 李玉美
京義線で都羅山へ
車内 女性乗務員
南北の国境に建つ板門店
撮影日誌3 「カフェ客車は大にぎわい」

今回はカメラマンの日記です。
何週間か韓国撮影の旅を続けて来て、毎日が驚きの連続で新鮮に感じられます。一見、日本に似た風景なのに、そこに流れる時間や空気、人々の肌触りが違うので、いっそう不思議な気分になってくるのです。大げさに言えば、SF小説などに出てくる日常とちょっとずれた異次元の世界「パラレルワールド」のような感じでしょうか。

さて、ソウルの真ん中にある龍山駅。大きくて超近代的な駅の構内は、くたびれたおじさんが巨大モニターの光に煌煌と照らされながらいびきをかいて眠っていたり、頭をきれいに剃り上げた尼さんが携帯電話でおしゃべりに夢中になっていたり、鮮やかな色彩の民族衣装をまとったおばあさんがニコニコしながらちょこんとベンチに座っていたり、早速不思議な雰囲気に満ちていました。
ホームに滑り込んで来た列車「セマウル号」は、超モダンな駅構内とは対照的に、年月を感じさせる何とも重厚なディーゼル機関車に牽引されています。いざ、乗車した私たちスタッフは、車内でもまた驚きの光景を目にしてしまいました。

この「セマウル号」には「カフェ客車」という車両が連結されているのですが、これが普通どの国にも良くある売店とカフェのついた車両とは訳が違うのです。販売されているお弁当が辛みたっぷりのキムチ焼肉弁当なのは当然として、そこには本格的なアーケードゲーム機、インターネットパソコン、そして何とカラオケボックスまでついているのです!

列車の出発と同時にカウンター席では宴会が始まり、インターネット席では休暇中の兵隊さんや子どもたちが早くもマウスを握りしめています。
その不思議な光景を撮影しながら呆気にとられる私の耳に、どこからか野太い歌声が響いてきました。「まさか」と思いながらも恐る恐るカラオケボックスのドアを開けてみると…いらっしゃいました、のど自慢のご夫婦が。「さあ、僕たちの歌いっぷりを存分に撮影してくれよ!」上機嫌のご主人と、更に上機嫌な奥様。狭いボックス内は熱気でムンムンです。次々と曲を入れていく奥様。声も枯れよと熱唱するご主人。出発早々「カフェ客車」に満ちているパワーに圧倒された私は、お二人のデュエットをBGMに、呆然として車窓に流れる風景を撮影していたのでした。

撮影 辻智彦
ソウル 龍山駅の構内
ディーゼル機関車に牽引されるセマウル号
車内のゲーム機ブース
撮影日誌4

湖南線で益山を出発し、そろそろ韓国南部にさしかかった頃、かわいいおばあさん達に出会いました。番組にもよく登場しますが、韓国のおばさん、おばあさんはパワフルでとてもかわいい印象があります。韓国の女性はある年齢になるとほぼみながパーマをかけるようで、みなが同じ髪型をしているのがとてもおもしろく、列車の中はそんな方々の活気で溢れています。賑やかにおしゃべりをしていたり、すごく大胆な格好で寝ていたり、そして着ている服 は、なぜか赤やピンクなど派手なものばかり。とにかくその奇抜な色彩感覚には圧倒されました。日本人は質素にモノトーンを着ている人が多いのですが、韓国人はとにかく目立つ服を着ています。撮れたものを見てみると、あまりにも鮮やか過ぎて、カメラの設定を間違えたかと思うほど、どぎつい色に溢れていました。自己主張の強い韓国人の性格はこういうところにも表れているんだと思います。

益山から約2時間、列車は木浦に到着しました。木浦は海の町、漁業の町です。この町でタコ漁をしている漁師さんを取材しました。韓国の女性がすごくパワフルなのに対して、男性はそんな女性をも包み込んでしまう懐の深さを持っています。漁を終え、捕れたタコをさばくところを撮らせてほしいと頼むと、この漁師さんは快くOKしてくれました。ところがいざ家に行ってみると、突然の来客に奥さんが怒り出してしまいます。韓国の女性は怒り出すとなおパワフルでもう手がつけられません。万事休すかと思われる状況でしたが、この漁師さんはまったく動じず、いつもの事だからと言わんばかりに飄々としていました。僕たちにも笑いかけ、奥さんにも笑いかける。尖ったものに対する柔かな対応は見事で、韓国の男性はもっとゴツゴツしていると思っていたけど、こういう側面もあるのかと関心しました。日本のおばさんたちが韓流スターに惹かれるのも、無意識に韓国男性の柔らかさを感じているのかもしれません。とにかくこの漁師さんにはいろいろと勉強させてもらいました。

懐の深い漁師さんと別れ、列車は慶全線で木浦から釜田へと向かいます。南に来ると人々はますますユニークになります。そんなある日事件が起きました。ある車両に入った時、鼻を刺すようなニオイが僕たちを襲います。よく見ると窓際に、ニンニクの皮をむくおばさんがいるんです。こんな光景は日本では絶対に見られない!あの悪臭は忘れられません。

撮影助手 佐藤洋祐
木浦駅到着の列車
木浦 タコ漁の漁師さん
獲れたタコ
撮影日誌5

さて、ソウルの龍山(ヨンサン)駅から始まった韓国鉄道一周の旅も、ちょうど半分が過ぎた頃でしょうか。朝鮮半島の南端を東西に走る慶全(キョンジョン)線を、のんびりと走っています。

ちょっと話はそれますが、韓国ではついこの間まで、映画や音楽等、日本の大衆文化が自国に入る事を禁じていました。自国の文化保護と植民地時代の歴史感情を考慮したのが理由だそうですが、それが緩和され、自由に日本の文化を享受できるようになったのが、2002年。その後は堰を切ったように、様々な分野で日韓交流が進んでいますよね。

韓国を旅するうちに、ふっと思ったことがあるのですが…、それは、日本と韓国って、「幼いときに生き別れてしまった双子」みたいだな~という事。お互い自分に双子の兄弟がいるという事を知らずに生きてきたけれど、出会ってみれば、顔もそっくり、体格もそっくり、それこそ、癖まで瓜二つ!そんな一卵性双生児みたいなところがある気がするんです、日本と韓国には。
考えてみれば、小さな海を挟んで隣同士なのだから、気候条件も酷似しているし、その中で似たような物を食べ、似たような文法で言葉を話し生きているのだから、似てくるのは当然と言えば、当然の事。それにしても、列車で出会う人々の立ち振る舞いや、国全体に流れる空気感が、驚く程似ているんです。
だけど、確かに何かが違っている…。
ほら、双子の兄弟も顔や背格好はそっくりなのに、性格は正反対だったりするじゃないですか。それと同じように日本と韓国も、“どこが、どう違う”とは言いづらいのですが、何かが決定的に違うのです。その微妙な感じが、ますます双子っぽいんですよねぇ。

ちょっと訳の分からない事を書いてしまいましたが、歴史や政治など、様々な問題を超えて、この先日本と韓国が本当の意味で互いを知り合う事ができたとしたら…その時はきっと、生き別れていた自分の分身に出会えたような、あるいは、大切な何かを取り戻したような、そんな底抜けの安心感を抱き合えるような気がします。
番組では、新羅王朝の都、慶州(キョンジュ)も紹介しますが、ここでも確かに日本のルーツが感じられます。日本よりも全体的にちょっと派手、そこが違うっちゃ、違うのかなぁ?ぐるぐる、ぐるぐる、あまり“違い”に目をやりすぎると、なんだか目が回りますので、ご注意を!

ディレクター 李玉美
慶全線 列車走り
車内 幼稚園児
仏国寺
撮影日誌6

木浦(モッポ)から続いた慶全(キョンジョン)線の旅で一度巡りあった韓国最長の河、洛東江(ナクトンガン)が再び車窓に見え始めました。旅は、慶州(キョンジュ)駅を出て中央(チュンアン)線を北へと進んでいます。
「韓国の四季の移ろいは、ほぼ日本と同じだよ」と方々から聞いていた私は、旅の途中、ちょっとした時差を感じていました。6月も半ばに入り、日本はバッチリ梅雨入りしていましたが、韓国ではまだ梅雨入り前の快晴が続く日々。湿度も日本と比べて低いのか、吹き付ける風はカラッとしています。そんな中でもよく晴れた空の高い日、私たちは儒教の里、安東(アンドン)の河回村(ハフェマウル)を訪れました。”河が回る“という不思議な名前の村ですが、行ってみるとその名の通り、洛東江の河水が村をS字型にぐるっと一回り囲んでいます。

村の中に入ると、いきなりグワーっとタイムマシーンに乗って遠い昔の世界に舞い込んだ感覚に襲われます。なんせこの村は、朝鮮時代から守り次がれた韓国の貴族階級両班(ヤンバン)の暮らしが今なお残る村。儒教の教えに基づいてたてられた荘厳な屋敷が並んでいます。撮影では中でも民宿を営む「北村宅(※)」を取材しました。古い屋敷で一晩泊まれる!とウキウキ気分で訪ねると、さらにびっくり情報が!なんとこのお宅、少し前にあのぺ・ヨンジュン氏がお忍びで宿泊した宿だったのです。宿の主人に伺うと、ぺ氏は現在、韓国の本当の良さを伝えたい、と自分自身が厳選する“韓国の見るべき場所”をまとめた本を作成中なのだとか。その取材のため、実際に宿泊体験されたのだそうです。日本では泣く子も黙る、あのヨン様が泊まったお部屋!私たちは思わず、息を止めて入室させていただきました。番組にも登場しますが、そこは10畳ほどの質素なお部屋で、かつて儒学を学んだこのお宅の先祖様が勉学に励んだ部屋なのだそうです。ふ~む、こんなにシンプルなお部屋に布団を敷いて、ヨン様はいったいどんな夢をみたのかしら?

我らが撮影隊はその夜、この部屋で男性陣3名が寝ることに!翌朝目覚めて感想を聞くと、ヨン様の夢を見ることもなく、3人ともぐうすかぴーと眠りこけたのだとか。もう~!もう少しありがたさを感じながら寝れないわけ?と、特にファンでもない私が何故かつっこみを入れ、男子3名はそろって申し訳なさそうに、頭をたれるのでした。

◎北村宅 http://www.bukchondaek.com/
 お問い合わせは 03-3597-1717(韓国観光公社東京支社)

ディレクター 李玉美
儒教の里 河回村(ハフェマウル)
北村宅 宿のご主人
鉄橋を走るムグンファ号
撮影日誌7 「プロポーズ室」

車窓ロケの朝は、とにかく早い。ほぼ毎日5時起き、6時起きが続きます。眠い目をこすりながらロケ車に飛び乗り、気がついたら目の前にはいつも駅!そんな感じ。夏休みが間近に迫った土曜日、私たちは韓国で最初につくられたという観光列車「海列車」に乗車する予定になっていました。始発の江陵(カンヌン)駅へ到着すると、そこにはしつこい眠気も一気に吹き飛ぶ真っ青車両が止まっています。しかも側面にはど派手な海の画。「うわ~ッ!これが海列車か~。いつも以上にテンションの高い旅になりそうだな…」。乗車直前に感じたそんな予感は、見事に的中する事となったのです。

車内に入ってまず驚くのが、全席海側を向いて設置されたカラフルなシート。窓も普通の3倍くらいの大きさです。乗客たちは、発車前からボルテージ全開で、あちこちでパシャパシャと写真を撮りまくっています。海を堪能できるよう様々な工夫が施された海列車ですが、何よりも度肝を抜かれたのが、車内にもうけられた「プロポーズ室」という名の特別室。海と言えばデート、デートと言えばラブラブ、ラブラブと言えばプロポーズ!そんな感じで設置されたのでしょうか…。「プロポーズ室」などという照れくさい名前が堂々と書かれている上に、壁中に大小さまざまなピンクのハートが描かれています。日本にあったとしても、乗車する勇気のあるカップルもそういなそうですが…韓国では、ちゃんと乗っています。しかも乗務員さんに聞くと、列車内に2つあるその特別室は、週末はほぼ毎回満席なのだとか。この日は、つきあってちょうど100日目の記念日を祝うカップルが、甘~い時を過ごしていました。

余談ですが、韓国には『100回打って倒れない木は無い』という諺があるそうです。好きな女子に告白して振られてしまった男子を励ますときによく使うらしいのですが、『100回アタックして落ちない女性は居ない、だからもっと頑張れ!』そんな意味なのだとか。韓国男子たるもの、一度振られたくらいで「ハイ、そうですか」と引き下がったりはしないもの。相手が自分の良さに気がついてくれるまで、何度でも当たってくだける、それでこそ男です。きっとそんな風に頑張る男子を応援するべく、このプロポーズ室もつくられたのでしょう。窓に広がる雄大な海と、寄せては返す波があれば、もう怖いもの無し!どんな女子でもうっとりしてしまうはず。その隙をねらって、トドメのセリフをささやけば…『Yes!』。終点三陟(サムチョク)駅到着までには、世界一幸せなカップル誕生、というわけですね~。凄すぎるよ、韓国!

ディレクター 李玉美
出発前の海列車
プロポーズ室の二人
海列車内 横並びの座席
撮影日誌8 「豪華寝台列車ヘラン」

一ヶ月弱かけて、およそ3200キロを巡る韓国の旅。その終わりが近づいた頃、気持ちよい開放感に包まれている自分に気がつきました。なんでだろ?何がきっかけかな?ふと考えながら、旅の中で出会ったたくさんの人々の顔を思い出してみました。すると、韓国の人たちが皆、自分の感情を解き放って生きているような気がしたのです。とても開放的な生き方をしている。食べるときは、食べる。寝る時は、寝る。笑う時は、笑って、愛する時は、愛する。時には大の大人がまるで子供のように、誰に遠慮するわけでなく、自分の人生を思いっきり楽しんでいるような感じ。無邪気なんですよね。そんな人々に囲まれていたから、私自身もなんだか緊張が緩んで開放的な気持ちになれたのかな、そう思うようになりました。

旅の締めくくりは、2008年に誕生したばかりの豪華寝台列車「ヘラン」に乗車です。紺碧色に輝く車両は、ちょっと他には無い風格を漂わせています。実はこの列車、もともとは韓国から北朝鮮を通過し、北京まで通じる国際列車として、韓国が総力を挙げて造ったのですが、当面、この列車は、保留されることになりました。でもせっかく造った、ということで、韓国国内を1泊2日や2泊3日のコースで巡る豪華な旅の主役として生まれ変わったというわけ。

車内は高級品を使いながらも、嫌みになりすぎない韓国風のアレンジが効いています。ラウンジやカフェが広めになっているのも、アットホームな雰囲気作りに一役かっています。でもヘランの旅で一番心打たれたのは、なんと言っても乗務員さんのきめ細やかなサービス!旅の始めから終わりまで、これ以上ないと言う程のおもてなしをしてくれます。乗務員全員そろってアカペラ合唱で迎えるウェルカムパーティーやマジックショー、カフェではいつもビールやワインなど、旅に欠かせないアイテムとともに笑顔で迎えてくれます。日本語はもちろん英語や中国語も通じるメンバー構成になっているのも嬉しい限り。

豪華列車で旅をしながら、韓国各地の観光名所を巡り、その特産品を食べ歩く。ものすごく幸せな気分に浸れます。ベッドも列車の中とは思えない程ふかふかで、今回のロケで一番ぐっすり眠れたんじゃ?と思う程でした。旅の醍醐味がびっしり詰まった「ヘラン」の旅、私も今度は是非、自分の両親をつれていってあげたいな…そう思えるような、素敵すぎる列車です。 

ディレクター 李玉美
レールクルーズ「ヘラン」
ソウル駅到着の豪華列車ヘラン
フレンドリーな乗務員
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スペイン編撮影日記
スペイン編の撮影日記が、立川ディレクターから届きました!
イタリア編撮影日記
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