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撮影日記1
旅は、初夏の風に吹かれて始まりました。韓国の首都、ソウル。日本から最も近い外国だからか、日本と殆ど気候が変わらないからか、海外に来たという実感もなく、「本当に車窓ロケが始まるの?」、そんな違和感を抱いたまま最初の列車、地下鉄1号線に飛び乗りました。時刻は午前8時。 すると…この時です。撮影助手の佐藤くんが切ない顔をして近づいて来たかと思うと、「玉美さん、もうダメです…、お腹がすきすぎて、倒れそうです」と言うではありませんか。そう言えば、早朝慌ただしく出発したせいで、朝ご飯を食べ損ねていたんだっけ…。私たちは、駅近くの食堂に駆け込みました。
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撮影日誌2
韓国の旅で私が最も楽しみにしていた路線の一つ、京義線に乗車しました。北朝鮮国境付近に向かう路線です。出発は、ソウルの北西部に位置する新村(シンチョン)駅から。ここは、韓国の有名大学が連立する大学の街で、学生たちが自由を謳歌し、次々に新たな文化やファッションを生み出すところ。まさかこんな街が北朝鮮国境へとつながっているなんて…。この辺りにいると、韓国がいまだ休戦状態にあるという事実など、到底思い出すこともできません。
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撮影日誌3 「カフェ客車は大にぎわい」
今回はカメラマンの日記です。 さて、ソウルの真ん中にある龍山駅。大きくて超近代的な駅の構内は、くたびれたおじさんが巨大モニターの光に煌煌と照らされながらいびきをかいて眠っていたり、頭をきれいに剃り上げた尼さんが携帯電話でおしゃべりに夢中になっていたり、鮮やかな色彩の民族衣装をまとったおばあさんがニコニコしながらちょこんとベンチに座っていたり、早速不思議な雰囲気に満ちていました。 この「セマウル号」には「カフェ客車」という車両が連結されているのですが、これが普通どの国にも良くある売店とカフェのついた車両とは訳が違うのです。販売されているお弁当が辛みたっぷりのキムチ焼肉弁当なのは当然として、そこには本格的なアーケードゲーム機、インターネットパソコン、そして何とカラオケボックスまでついているのです! 列車の出発と同時にカウンター席では宴会が始まり、インターネット席では休暇中の兵隊さんや子どもたちが早くもマウスを握りしめています。
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撮影日誌4
湖南線で益山を出発し、そろそろ韓国南部にさしかかった頃、かわいいおばあさん達に出会いました。番組にもよく登場しますが、韓国のおばさん、おばあさんはパワフルでとてもかわいい印象があります。韓国の女性はある年齢になるとほぼみながパーマをかけるようで、みなが同じ髪型をしているのがとてもおもしろく、列車の中はそんな方々の活気で溢れています。賑やかにおしゃべりをしていたり、すごく大胆な格好で寝ていたり、そして着ている服 は、なぜか赤やピンクなど派手なものばかり。とにかくその奇抜な色彩感覚には圧倒されました。日本人は質素にモノトーンを着ている人が多いのですが、韓国人はとにかく目立つ服を着ています。撮れたものを見てみると、あまりにも鮮やか過ぎて、カメラの設定を間違えたかと思うほど、どぎつい色に溢れていました。自己主張の強い韓国人の性格はこういうところにも表れているんだと思います。 益山から約2時間、列車は木浦に到着しました。木浦は海の町、漁業の町です。この町でタコ漁をしている漁師さんを取材しました。韓国の女性がすごくパワフルなのに対して、男性はそんな女性をも包み込んでしまう懐の深さを持っています。漁を終え、捕れたタコをさばくところを撮らせてほしいと頼むと、この漁師さんは快くOKしてくれました。ところがいざ家に行ってみると、突然の来客に奥さんが怒り出してしまいます。韓国の女性は怒り出すとなおパワフルでもう手がつけられません。万事休すかと思われる状況でしたが、この漁師さんはまったく動じず、いつもの事だからと言わんばかりに飄々としていました。僕たちにも笑いかけ、奥さんにも笑いかける。尖ったものに対する柔かな対応は見事で、韓国の男性はもっとゴツゴツしていると思っていたけど、こういう側面もあるのかと関心しました。日本のおばさんたちが韓流スターに惹かれるのも、無意識に韓国男性の柔らかさを感じているのかもしれません。とにかくこの漁師さんにはいろいろと勉強させてもらいました。 懐の深い漁師さんと別れ、列車は慶全線で木浦から釜田へと向かいます。南に来ると人々はますますユニークになります。そんなある日事件が起きました。ある車両に入った時、鼻を刺すようなニオイが僕たちを襲います。よく見ると窓際に、ニンニクの皮をむくおばさんがいるんです。こんな光景は日本では絶対に見られない!あの悪臭は忘れられません。
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撮影日誌5
さて、ソウルの龍山(ヨンサン)駅から始まった韓国鉄道一周の旅も、ちょうど半分が過ぎた頃でしょうか。朝鮮半島の南端を東西に走る慶全(キョンジョン)線を、のんびりと走っています。 ちょっと話はそれますが、韓国ではついこの間まで、映画や音楽等、日本の大衆文化が自国に入る事を禁じていました。自国の文化保護と植民地時代の歴史感情を考慮したのが理由だそうですが、それが緩和され、自由に日本の文化を享受できるようになったのが、2002年。その後は堰を切ったように、様々な分野で日韓交流が進んでいますよね。 韓国を旅するうちに、ふっと思ったことがあるのですが…、それは、日本と韓国って、「幼いときに生き別れてしまった双子」みたいだな~という事。お互い自分に双子の兄弟がいるという事を知らずに生きてきたけれど、出会ってみれば、顔もそっくり、体格もそっくり、それこそ、癖まで瓜二つ!そんな一卵性双生児みたいなところがある気がするんです、日本と韓国には。 ちょっと訳の分からない事を書いてしまいましたが、歴史や政治など、様々な問題を超えて、この先日本と韓国が本当の意味で互いを知り合う事ができたとしたら…その時はきっと、生き別れていた自分の分身に出会えたような、あるいは、大切な何かを取り戻したような、そんな底抜けの安心感を抱き合えるような気がします。
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撮影日誌6
木浦(モッポ)から続いた慶全(キョンジョン)線の旅で一度巡りあった韓国最長の河、洛東江(ナクトンガン)が再び車窓に見え始めました。旅は、慶州(キョンジュ)駅を出て中央(チュンアン)線を北へと進んでいます。 村の中に入ると、いきなりグワーっとタイムマシーンに乗って遠い昔の世界に舞い込んだ感覚に襲われます。なんせこの村は、朝鮮時代から守り次がれた韓国の貴族階級両班(ヤンバン)の暮らしが今なお残る村。儒教の教えに基づいてたてられた荘厳な屋敷が並んでいます。撮影では中でも民宿を営む「北村宅(※)」を取材しました。古い屋敷で一晩泊まれる!とウキウキ気分で訪ねると、さらにびっくり情報が!なんとこのお宅、少し前にあのぺ・ヨンジュン氏がお忍びで宿泊した宿だったのです。宿の主人に伺うと、ぺ氏は現在、韓国の本当の良さを伝えたい、と自分自身が厳選する“韓国の見るべき場所”をまとめた本を作成中なのだとか。その取材のため、実際に宿泊体験されたのだそうです。日本では泣く子も黙る、あのヨン様が泊まったお部屋!私たちは思わず、息を止めて入室させていただきました。番組にも登場しますが、そこは10畳ほどの質素なお部屋で、かつて儒学を学んだこのお宅の先祖様が勉学に励んだ部屋なのだそうです。ふ~む、こんなにシンプルなお部屋に布団を敷いて、ヨン様はいったいどんな夢をみたのかしら? 我らが撮影隊はその夜、この部屋で男性陣3名が寝ることに!翌朝目覚めて感想を聞くと、ヨン様の夢を見ることもなく、3人ともぐうすかぴーと眠りこけたのだとか。もう~!もう少しありがたさを感じながら寝れないわけ?と、特にファンでもない私が何故かつっこみを入れ、男子3名はそろって申し訳なさそうに、頭をたれるのでした。 ◎北村宅 http://www.bukchondaek.com/
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撮影日誌7 「プロポーズ室」 車窓ロケの朝は、とにかく早い。ほぼ毎日5時起き、6時起きが続きます。眠い目をこすりながらロケ車に飛び乗り、気がついたら目の前にはいつも駅!そんな感じ。夏休みが間近に迫った土曜日、私たちは韓国で最初につくられたという観光列車「海列車」に乗車する予定になっていました。始発の江陵(カンヌン)駅へ到着すると、そこにはしつこい眠気も一気に吹き飛ぶ真っ青車両が止まっています。しかも側面にはど派手な海の画。「うわ~ッ!これが海列車か~。いつも以上にテンションの高い旅になりそうだな…」。乗車直前に感じたそんな予感は、見事に的中する事となったのです。 余談ですが、韓国には『100回打って倒れない木は無い』という諺があるそうです。好きな女子に告白して振られてしまった男子を励ますときによく使うらしいのですが、『100回アタックして落ちない女性は居ない、だからもっと頑張れ!』そんな意味なのだとか。韓国男子たるもの、一度振られたくらいで「ハイ、そうですか」と引き下がったりはしないもの。相手が自分の良さに気がついてくれるまで、何度でも当たってくだける、それでこそ男です。きっとそんな風に頑張る男子を応援するべく、このプロポーズ室もつくられたのでしょう。窓に広がる雄大な海と、寄せては返す波があれば、もう怖いもの無し!どんな女子でもうっとりしてしまうはず。その隙をねらって、トドメのセリフをささやけば…『Yes!』。終点三陟(サムチョク)駅到着までには、世界一幸せなカップル誕生、というわけですね~。凄すぎるよ、韓国!
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撮影日誌8 「豪華寝台列車ヘラン」
一ヶ月弱かけて、およそ3200キロを巡る韓国の旅。その終わりが近づいた頃、気持ちよい開放感に包まれている自分に気がつきました。なんでだろ?何がきっかけかな?ふと考えながら、旅の中で出会ったたくさんの人々の顔を思い出してみました。すると、韓国の人たちが皆、自分の感情を解き放って生きているような気がしたのです。とても開放的な生き方をしている。食べるときは、食べる。寝る時は、寝る。笑う時は、笑って、愛する時は、愛する。時には大の大人がまるで子供のように、誰に遠慮するわけでなく、自分の人生を思いっきり楽しんでいるような感じ。無邪気なんですよね。そんな人々に囲まれていたから、私自身もなんだか緊張が緩んで開放的な気持ちになれたのかな、そう思うようになりました。 旅の締めくくりは、2008年に誕生したばかりの豪華寝台列車「ヘラン」に乗車です。紺碧色に輝く車両は、ちょっと他には無い風格を漂わせています。実はこの列車、もともとは韓国から北朝鮮を通過し、北京まで通じる国際列車として、韓国が総力を挙げて造ったのですが、当面、この列車は、保留されることになりました。でもせっかく造った、ということで、韓国国内を1泊2日や2泊3日のコースで巡る豪華な旅の主役として生まれ変わったというわけ。 車内は高級品を使いながらも、嫌みになりすぎない韓国風のアレンジが効いています。ラウンジやカフェが広めになっているのも、アットホームな雰囲気作りに一役かっています。でもヘランの旅で一番心打たれたのは、なんと言っても乗務員さんのきめ細やかなサービス!旅の始めから終わりまで、これ以上ないと言う程のおもてなしをしてくれます。乗務員全員そろってアカペラ合唱で迎えるウェルカムパーティーやマジックショー、カフェではいつもビールやワインなど、旅に欠かせないアイテムとともに笑顔で迎えてくれます。日本語はもちろん英語や中国語も通じるメンバー構成になっているのも嬉しい限り。 豪華列車で旅をしながら、韓国各地の観光名所を巡り、その特産品を食べ歩く。ものすごく幸せな気分に浸れます。ベッドも列車の中とは思えない程ふかふかで、今回のロケで一番ぐっすり眠れたんじゃ?と思う程でした。旅の醍醐味がびっしり詰まった「ヘラン」の旅、私も今度は是非、自分の両親をつれていってあげたいな…そう思えるような、素敵すぎる列車です。
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