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東京の伝統工芸品
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2025年1月13日(月)
『江戸切子』
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東京都は、東京の風土と歴史の中で受け継がれてきた42の工芸品を「東京都伝統工芸品」に指定しています。
その一つ、「江戸切子」を紹介します。江戸切子の特徴はガラスの表面をカットして描く伝統的な文様の美しさ。江戸時代後期に、ビードロ屋の「加賀屋久兵衛」がガラスに文様を付けたのが始まりと言われています。20種類ほどある文様には、笹の葉をモチーフにした「笹の葉文様」、光の反射が魚卵の連なりに似ていることから「魚子(ななこ)文様」と呼ばれるものなどがあります。
この道19年の職人・細小路 圭さんに、菊の花が連なる「菊繋(つな)ぎ文様」を施す作業を見せてもらいました。縦・横・斜めの直線を何本も入れて、細かい菊の花を精密に描きます。
江戸切子も展示販売される「東京都伝統工芸品展」が1月15日から1月20日まで開催されます。ミツワ硝子工芸
HP:https://saihou.net/pages/works
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2025年1月14日(火)
『江戸刺繍』
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東京都が指定する「東京都伝統工芸品」の一つ、「江戸刺繍(えどししゅう)」を紹介します。
江戸刺繍は、江戸時代中期に力をつけた町人たちにも刺繍入りの着物が普及し、その刺繍の技術が受け継がれてきたものです。絹の生地に絹の糸で施された江戸刺繍は、そのつややかさや、緻密さが魅力です。糸の色は似たものでも20種類近いバリエーションがあり、職人の色彩感覚が発揮されます。
この道52年の職人・遠藤 基子さんに技を見せてもらいました。今回、描くのは桜の花。まずは、糸を撚(よ)る作業で糸を太く強くします。そして下絵をもとに、一針一針刺していきます。一つの花びらにも途中で糸の色の濃さを変えながら濃淡を出すなど、たくさんの色を使い分け、多い時には一つの作品に数万回も針を刺すそうです。
遠藤さんは着物や帯の刺繍以外にもブローチやペンダントなどを製作しています。
江戸刺繍も展示販売される「東京都伝統工芸品展」が1月15日から1月20日まで開催されます。江戸刺繍 遠藤基子の HP
HP:https://www.dentoukougei.jp/Shisyuu
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2025年1月15日(水)
『東京彫金』
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東京都が指定する「東京都伝統工芸品」の一つ、「東京彫金」を紹介します。
東京彫金は、金・銀・銅などに様々な模様を彫る金属工芸で、江戸時代に広まり、調度品や飾り物として愛用されてきました。東京彫金で使われるのが、「鏨(たがね)」という道具。職人によって、たくさんの鏨があり、一本一本先端の形状や長さが違うそうです。
この道34年の職人・小川 真之助さんに技を見せてもらいました。まずは、「肉彫り」と呼ばれる技法。先端が丸くなっている鏨を金づちで叩き、金属の表面に細かな凹凸を施します。続いて、「片切り彫り」という技法。横幅のある鏨を使い、刃の片側を浮かせて彫ることで彫り跡に陰影を作り出します。
小川さんはブローチやペンダントなどの製作も手掛けています。
東京彫金も展示販売される「東京都伝統工芸品展」が1月15日から1月20日まで開催されます。小川彫金
HP:https://ogawachokin.com
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2025年1月16日(木)
『多摩織』
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東京都が指定する「東京都伝統工芸品」の一つ、「多摩織」を紹介します。
多摩織は、江戸時代に桑の生産地だった八王子を中心に始まった織物で、素朴な手触りとシンプルな柄や色が特徴です。多摩織には、「お召織(おめしおり)」「紬織(つむぎおり)」「風通織(ふうつうおり)」「変り綴れ織(かわりつづれおり)」「綟り織(もじりおり)」の5種類があります。その一つ、紬織は、真綿を手で紡いだ撚(よ)り糸を使っているため、糸の太い部分や細い部分が生地の表面に凹凸を作り出します。
この道50年の職人・澤井 伸さんに、紬織の製作を見せてもらいました。まずは、桑の葉を煮出した染料を使って糸を染めます。そして、手織りの作業。重要なのが、手足を動かすタイミングだと言います。少しでもズレてしまうと布の両端の部分がきれいにそろわないそうです。
澤井さんは、着物以外にも普段使いできる多摩織のストールなどを製作しています。
多摩織も展示販売される「東京都伝統工芸品展」が1月15日から1月20日まで開催されています。八王子織物工業組合
HP:https://hachioji-orimono.or.jp
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2025年1月17日(金)
『東京洋傘』
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東京都が指定する「東京都伝統工芸品」の一つ、「東京洋傘」を紹介します。
東京洋傘は、明治の文明開化の頃、東京の職人たちが西洋から渡ってきた洋傘を真似て作り出したのが始まりです。生地に絹・綿・麻を使用し、伝統的な技法で製作されたものが、東京都の伝統工芸品です。
現在は、雨傘用として撥水機能などにも長けているポリエステル素材のものも多く作られています。
この道16年の職人・石山 洋さんにポリエステルの生地を使って、東京洋傘の伝統的な技を見せてもらいました。生地の裁断で使うのが、職人手作りの三角形の木型。きれいな傘の形を作るために、2つの辺がわずかにカーブしているところがポイントです。続いて、裁断した生地の縫い合わせ。東京洋傘は、三角形の頂点側から縫う「関東縫い」という技法で行います。これが、傘の美しいフォルムにつながるそうです。
また、機能性も兼ね備えている東京洋傘は、傘を開く時に指を傷めない工夫として「ロクロ巻き」と呼ばれる布も施されています。
東京洋傘も展示販売される「東京都伝統工芸品展」が1月15日から1月20日まで開催されています。小宮商店
HP:https://www.komiyakasa.jp
東京都伝統工芸品展
会期:1月15日(水)~20日(月)
時間:午前10時30分~午後7時30分 ※最終日のみ18時に閉場
会場:新宿髙島屋11階 催会場
入場料:無料
HP:https://www.dento-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/events/2025/0115.html#gsc.tab=0