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老舗の甘味
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2025年2月10日(月)
『船橋屋・くず餅』
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今週は、東京都内にある、江戸時代から続く老舗の甘味を紹介します。
亀戸駅から徒歩10分の「船橋屋 亀戸天神前本店」を訪ねました。創業は江戸時代後期の1805年。今年で220年の老舗です。店の近くにある亀戸天神で、藤や梅の季節に多くの参拝客で賑わう様子を初代が見て、境内で創業したのが始まりと言われています。
創業当時からの名物が「くず餅」。文豪・芥川龍之介を魅了したという伝統の味です。船橋屋のくず餅の原料は、厳選した「小麦でんぷん」。スギやヒノキの木樽(きだる)で450日かけて熟成させています。この発酵製法は、創業当時から受け継いでおり、独自の製法でブレンドした秘伝の黒蜜と、香ばしいきな粉との相性も人気です。船橋屋
HP:https://www.funabashiya.co.jp
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2025年2月11日(火)
『梅園・あわぜんざい』
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浅草駅から徒歩5分の「梅園(うめぞの)本店」を訪ねました。創業は江戸時代末期の1854年。浅草寺の別院「梅園院(ばいおんいん)」の一角を借りて茶屋を開いたのが始まりです。
創業当時からの名物が「あわぜんざい」。自家製のこしあんと、キビにもち米を混ぜ合わせた“もちキビ”の二層になっています。元はアワを使っていましたが、戦後に「キビの方が食感がいい」ということでキビに切り替えたそうです。
アワからキビに変えても基本的な製法は変わらず、戦後から使用しているヒノキ製のせいろで“もちキビ”を蒸します。そして、餅つき機でつく時には、完全につき切らず、半づきにすることが梅園ならではの食感へのこだわり。半づきにすることで、キビのプチプチ食感が残り、渋みが出てきて滑らかなこしあんとベストマッチするそうです。また、合わせる自家製のこしあんも、温かさや、かたさなどを職人が見極めてから盛り付けをしています。梅園
HP:https://www.asakusa-umezono.co.jp
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2025年2月12日(水)
『西むら・栗むし羊羹(ようかん)』
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浅草 雷門前に店を構える「龍昇亭(りゅうしょうてい) 西むら」を訪ねました。元は雷門前で茶屋を営んでいましたが、江戸時代末期の1854年に、浅草寺のお供え物などの生菓子を作るようになりました。
看板商品は「栗むし羊羹(ようかん)」。製法は昔から変わらず、秘伝の配合で混ぜ合わせた葛と小麦粉に小倉あんや刻んだ栗などを加えて練り上げています。それを蒸し器に入れて栗の甘露煮をのせていきます。栗はたっぷり、隙間なくのせることが西むらのこだわりです。
さらに、もう一つの伝統の味が「東京かすていら」。専用の焼き型に生地を流して焼いています。伝統の味と作り方を守るため、機械を使わずに手作業で行うことを心がけているそうです。龍昇亭 西むら
HP:https://ryushoutei.com
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2025年2月13日(木)
『松﨑煎餅・瓦煎餅(かわらせんべい)』
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東京メトロ銀座駅から徒歩2分の「銀座 松﨑煎餅 本店」を訪ねました。創業は江戸時代後期の1804年。
代々続く瓦煎餅には、この時期にはウメやウグイス、雪ウサギなどの季節の絵柄が入っています。絵柄を入れ始めたのは五代目の時から。砂糖蜜を使って、職人が1枚1枚手作業で絵付けをしています。五代目が残した見本帖には、様々な絵柄が記され、現在販売されている商品にも使われています。
そして、煎餅の新たな可能性を追求し、生まれたのが「松﨑ろうる」。白玉やあんこなどをトッピングした、柔らかい瓦煎餅です。生地の柔らかさを追求し、ワッフルよりもコシがある、煎餅だと思ってもらうことを意識して作ったそうです。銀座 松﨑煎餅
HP:https://matsuzaki-senbei.com
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2025年2月14日(金)
『羽二重(はぶたえ)団子』
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日暮里駅から徒歩4分の「羽二重(はぶたえ)団子」を訪ねました。創業は江戸時代後期の1819年。
名物は、店名にもなっている「羽二重団子」。滑らかさと舌触りの良さなどを「羽二重(絹織物)のようだ」という客の声から命名したそうです。うるち米を使った団子生地を臼(うす)と杵(きね)でよくつくことで、良い生地ができると言います。団子の平べったい形も特徴で、初代から続く、変わらぬ伝統です。
羽二重団子の味は、「焼き」と「あん」の2種類。「焼き」は、生醤油(きじょうゆ)を二度づけして焼いていて、「あん」は、小豆の風味を味わえるようにあまり砂糖を入れずに作っているといいます。
こちらには、正岡子規の随筆「仰臥漫録(ぎょうがまんろく)」に記された「あん付三本焼一本を食ふ」という一節にちなんだ「子規セット」というメニューがあります。正岡子規は寝たきりの状態でも4本食べてしまうほど好んでいたということです。羽二重団子
HP:https://habutae.jp