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冬の展覧会

  • 2024年12月9日(月)

    『トルコの名宝展』

  • 出光美術館で開催中の展覧会「トプカプ宮殿博物館・出光美術館所蔵 名宝の競演」を紹介します。
    トルコで13世紀末から20世紀初めまで続いたオスマン帝国。この展覧会では、その時代の大小30個ものダイヤモンドが施されたコーヒーカップのスタンドなど、歴代の皇帝が住んでいた「トプカプ宮殿」の華やかな日常を彩った名品の数々が楽しめます。
    そして、見どころのひとつが、トプカプ宮殿博物館と出光美術館、それぞれが所蔵する作品の競演です。中国で作られた焼き物「中国陶磁(とうじ)」には、似たものでも文化などによる違いが見られます。日本では、高価で貴重な中国陶磁は飾って楽しむ道具として使われるのが一般的でしたが、トプカプ宮殿博物館所蔵の中国陶磁は、宮殿で日常的に使われていたので、中の飲み物が出てしまうのを防ぐための金属の蓋(ふた)が施されているものもあります。

  • 2024年12月10日(火)

    『テレンス・コンラン展』

  • 東京ステーションギャラリーで開催中の展覧会「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」を紹介します。
    イギリスのデザイナー、サー・テレンス・コンランは、デザインブームの火付け役として活躍し、1970年代に展開した「ザ・コンランショップ」の経営など、実業家としての功績も残しました。
    展示室では、コンランがデザイナーとして注目を浴びた初期の作品から、晩年にデザインしたトラベルケースなどが紹介されています。コンランの仕事部屋も再現され、実際に使っていた愛用品なども見ることができます。
    さらに、ザ・コンランショップの前身として1960年代にオープンした「ハビタ」の店内を再現した展示室もあり、経営者としての一面も紹介されています。

  • 2024年12月11日(水)

    『平安文学、いとをかし』

  • 静嘉堂(せいかどう)文庫美術館で開催中の展覧会〈平安文学、いとをかし ―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ〉を紹介します。この展覧会では、国宝3点を含む平安文学を題材にした名品が展示されています。
    今回初公開されるのが、江戸時代初めに活躍した絵師・土佐光起(みつおき)による「紫式部図」。紫式部が琵琶湖に映る月を見て、「源氏物語」を書き始めたという伝承に基づいて描かれました。髪の毛の線など細密な描写が見どころです。
    重要文化財の「住吉物語絵巻」は、鎌倉時代の作品です。物語自体の原型は、平安時代に成立していたと言われ、義理の母に虐げられる姫君と、姫君を一途に思う少将の恋物語が描かれています。そして、現代のガラス工芸の作品も展示されています。手がけたのは、国内外で高い評価を受けている山本茜さん。平安時代以降に仏像や仏画などに多く用いられた「截金(きりかね)」という伝統的な技法を使って、源氏物語に登場する「空蟬(うつせみ)」という女性が脱ぎ捨てていった衣をイメージして作られています。

  • 2024年12月12日(木)

    『アレック・ソス展』

  • 東京都写真美術館で開催中の展覧会「アレック・ソス 部屋についての部屋」を紹介します。
    数多くの写真集も出版しているアメリカの写真家、アレック・ソスさんは、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材とした作品で世界的評価を受けてきました。この展覧会では、ソスさんの初期の作品から最新作まで紹介されていて、部屋をテーマにした作品が中心となっています。
    展覧会を開催するきっかけにもなったのが、舞踏家・振付家のアンナ・ハルプリンを窓越しに撮影した2017年の作品。彼女の自宅を訪ね、普段生活している部屋の様子を撮影しました。ソスさんは、それまでアメリカ国内で偶然出会った風景や人物を撮影するスタイルでしたが、2017年から2019年に撮影した作品では、世界各地の人々を訪ね、日々を過ごす部屋の中での様子や持ち物を撮影しました。
    そして、2024年に撮影された最新作が、アメリカの美術学校を訪ねた時の作品。美術の授業で使われるような様々なモチーフが計算されて配置され、それまでのソスさんにはなかったタイプのユーモアがある作品だと言われています。

  • 2024年12月13日(金)

    『描かれた江戸の商人』

  • 日本銀行金融研究所 貨幣博物館で開催中の企画展「描かれた江戸の商人 ―販促ツールと商いの秘訣―」を紹介します。この企画展では、商いが大きく発展した江戸時代に商人たちが行った販売促進のための工夫や秘訣について展示資料を通して紹介しています。
    まずは、人気絵師の浮世絵をいかした商いの工夫から。初代歌川広重の「岩城升屋(いわきますや)店先之図」(12月17日からは複製に展示替え)には、「岩城升屋」という呉服屋の屋号が大きく書かれたのれんがたくさん描かれ、宣伝のために出資して描かせたと言われています。
    また、江戸時代に実際に使われていた様々な商いの道具も展示されています。店先で客から受け取ったお金を入れておくための銭箱には、遠くからでも入れやすいように口の部分が広げて作られているなどの工夫が見られます。
    そして、現代につながる工夫が見られる資料もあります。江戸時代後期から明治時代に流通した商品切手は、現在の商品券の一番古い形と言われています。日持ちしない生菓子や、酒などの商品切手も多く作られ、贈答品として広く使われました。さらに、富山の薬売りが顧客獲得のため、年末に配っていたという暦を兼ねた火の用心札(12月17日からは複製に展示替え)なども見ることができます。

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