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身近にある有毒植物
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2024年4月8日(月)
『山菜との見分け方』
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東京都薬用植物園で山菜にそっくりな有毒植物の見分け方を学びます。
山菜の「ニリンソウ」は、有毒植物の「トリカブト」と葉の形が似ています。誤って食べてしまうと、おう吐や下痢などの症状を起こし、重症の場合には命を落とす危険もあります。見分けるポイントは“花の色”と“開花時期”。ニリンソウは、春に白い花が咲き、トリカブトは秋に紫色の花が咲きます。
春の七草の「セリ」も山菜のひとつです。「セリ」と、有毒植物の「ドクゼリ」は見た目がよく似ています。誤って食べてしまうとおう吐や下痢、けいれんなどの症状を起こします。セリの爽やかな香りがするかどうかで見分けますが、においで判断ができなかった場合は、根元で見極めます。セリは細くて長い根ですが、ドクゼリは根元が“かたまり状”で、それを縦に切るとタケノコの節のようになっているのが特徴です。
「オオバギボウシ(ウルイ)」とよく似ているのが、有毒植物の「バイケイソウ」です。おう吐や血圧降下、けいれんなどの症状を起こします。見分けるポイントは“葉脈”です。オオバギボウシは、中央にある主脈から側脈が広がっていますが、バイケイソウは平行線のような葉脈(平行脈)になっているので見分けることができます。
判断に迷う場合は、「採らない・食べない・人にあげない」ことが大事です。
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2024年4月9日(火)
『観賞用植物との見分け方』
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東京都薬用植物園で“食用の植物”と“有毒な観賞用植物”の見分け方を学びます。
日本国内で最も多い植物の誤食事故が、「ニラ」と間違えて「スイセン」を食べてしまうものです。おう吐や下痢などの症状を起こします。見分けるポイントは“におい”です。葉をちぎって軽く揉むと、ニラは特有のにおいがありますが、スイセンにはありません。
山菜の「ギョウジャニンニク」と間違えやすいのが、有毒植物の「イヌサフラン」です。誤食すると、おう吐や下痢、呼吸困難などの症状を起こし、重症の場合には、命を落とす危険もあります。見分け方はやはり“におい”。葉をちぎって軽く揉むと、ギョウジャニンニクはニンニクのにおいがしますが、イヌサフランにはニンニクのにおいがありません。
「ゴボウ」と、有毒植物の「チョウセンアサガオ」は、根の部分がよく似ています。誤食すると、おう吐やけいれん、呼吸困難などの症状を起こします。見分けるポイントは“葉の生え方”。ゴボウの葉は根から直接生えていますが、チョウセンアサガオの葉は茎から生えています。
判断に迷う場合は、「採らない・食べない・人にあげない」ことが大事です。
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2024年4月10日(水)
『イモ類の注意点』
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東京都薬用植物園でイモ類の注意点について学びます。
「サトイモ」の葉の形とよく似ているのが有毒植物の「クワズイモ」です。クワズイモには、シュウ酸カルシウムの針状結晶が含まれているため、誤食すると口の中が赤く腫れたり、胃痛などの症状を起こします。見分けるポイントは“根元の形”。サトイモは親イモに子イモがついていますがクワズイモは根元が棒状に膨らんでいるのが特徴です。
「ヤマイモ」とよく似ているのが、芽が出る前の「グロリオサ」の球根です。誤食すると、おう吐や発熱、臓器不全などの症状を起こし、重症の場合には命を落とす危険もあります。見分けるポイントは“ひげ根”。ヤマイモは全体にひげのような根が生えていますが、グロリオサの球根にはひげ根はありません。また、すりおろしても違いがわかります。ヤマイモは、すりおろすと粘りがありますが、グロリオサの球根はすっても粘りがありません。
食用の「ジャガイモ」にも注意点があります。ジャガイモの芽には、有毒成分の「ソラニン」が多く含まれていて、食べると下痢やめまい、腹痛、おう吐などの症状を起こします。ソラニンは、加熱しても分解されないので、芽の部分は完全に取り除くことが大事です。光が当たって緑色に変わったジャガイモの皮にもソラニンが多く含まれているので、調理する時は皮を厚めにむくようにしてください。
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2024年4月11日(木)
『ケシを学ぶ』
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薬用植物の調査研究や正しい知識の普及のため、医薬品等に使われる750種類以上の植物を栽培している「東京都薬用植物園」で、麻薬成分が含まれる「ケシ」について学びます。
ここは都内で唯一、「法律で規制されているケシ」の栽培が許可されています。ケシの畑は二重柵で厳重に管理されています。ケシは、約1m50cmの背丈に成長し、例年4月下旬から5月中旬頃に花が咲きます。栽培の目的は、薬事監視員や医学・薬学・看護学生が医療用の麻薬の原料であるケシを学ぶ研修を行うためです。
法律で規制されているケシが、道端などに自生している場合もあります。
法律で規制されていないケシ「アイスランドポピー」は、葉の切れ込みが深く、毛深いのが特徴です。一方、麻薬成分が含まれ法律で規制されているケシは、一般的に葉の切れ込みが浅く、毛が少ないことが特徴です。
道端などで不正と思われるケシを見つけた場合は、絶対抜かずに、警察署などに通報してください。
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2024年4月12日(金)
『植物の鑑別試験』
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東京都薬用植物園の役割のひとつは植物の「鑑別試験」です。
栽培研究室では、主に植物の鑑別試験を行っています。
例えば、健康食品の中に医薬品でしか使えないような原材料の植物が混在していないか、顕微鏡を使って植物標本と見比べて確認をしています。ひとつひとつの原材料について、同じ検証を繰り返す時間と手間がかかる作業です。
東京都では、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品を調査し、その結果を「東京都健康安全研究センター」のホームページで公表しています。2021年に、医薬品でしか使えない「センナ」の部位がお茶に混入していた事例が都内で報告されています。
鑑別試験で鍵を握るのが、5000点以上ある植物の標本です。植物は、それぞれの葉や花などに特徴があり、個体によって形や大きさも変わります。様々なケースに対応するため、園内で植物を栽培し、標本にしています。東京都健康安全研究センター 健康食品の試買調査結果
HP:https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/kj_shoku/kenkounavi/taisaku/shibai/