第989回『岩ガキ』
8月5日放送
「日本海の宝物!岩ガキ」
「日本海の宝物!岩ガキ」
真夏の日本海の底に岩のような塊。
不思議な形をしたこの食材こそ、海の宝物「岩ガキ」です。
岩ガキは夏に旬を迎え、今が出荷の最盛期。
手のひらからはみ出すほど大きくプリプリした大きな身が特徴です。
鳥海山の麓の山形県・遊佐(ゆざ)町。
道の駅では「名物天然岩ガキ」ののぼりが並び、その場で食べられるとあって大盛況。
地元の和食店では、しゃぶしゃぶやカキフライなどフルコースで楽しめるメニューもあります。
この時期を心待ちにしていたのは地元の人だけではありません。
東京・銀座に店を構えるイタリアンの匠、奥田政行シェフは、故郷山形の食材を使った地産地消の第一人者。
地元にある「アル・ケッチァーノ」の姉妹店で、余計なものは使わない、岩ガキ本来の旨みだけで勝負する一皿が登場します。
「庄内の岩ガキ 美味しさの秘密」
「庄内の岩ガキ 美味しさの秘密」
山形県遊佐町の岩ガキ漁師、土門拓也さんは、昨年漁師になったばかりの長男・陵矢さんと共に素潜り漁をしています。
ウェットスーツに重さ12kgのベルトを巻き、「カギ」と呼ばれる道具を使って岩と同化した岩ガキをとっていきます。
潜ったり上がったりを繰り返す過酷な漁です。
収穫した岩ガキは、殻についた フジツボや海藻などの汚れを取り除き、箱に詰めて出荷の準備をします。
これが東京などへ出荷され、高い評価を得ています。
遊佐の岩ガキがどうして美味しいのか。
それは、一名「水の山」とも呼ばれる鳥海山のミネラル豊富な水が海底から湧き出し、餌となるプランクトンが多いため。
旨みたっぷりで大きく育つのです。
「岩ガキ漁に賭ける親子の情熱物語」
「岩ガキ漁に賭ける親子の情熱物語」
土門さんは漁師歴30年のベテランですが、その道のりは決して順調ではありませんでした。
20歳のとき、脱サラして漁師へ転職したものの、潜り方や獲り方など全てが一からのスタート。特に最初は、岩と同化した岩ガキが見つけられず、全く獲ることができませんでした。
仲間に教えを請うと、「カキが薄く口を開けているところを探せ」と教えられ、徐々にコツを掴んでいきました。しかし、近年は最盛期の7分の1にまで漁獲量が減少して深刻な事態に。
土門さんは、仲間たちと話し合い、資源を守るため、一人1日60キロまでと漁獲量を制限しました。
また、産卵の時期に合わせて岩盤清掃を行うことで稚貝をつきやすくし、資源の回復に努めています。
長男の陵矢さんは「同じ仕事をしてみて父の大変さがよくわかった、父を尊敬している」と改めて父の背中を追う覚悟です。
そんな土門さん親子を応援したいとイタリアンの奥田政行シェフが訪ねてきます。
土門さん親子の人柄に触れ、生産現場で食べる岩ガキの味の直感を料理に生かしたいと、鶴岡市の本店「アル・ケッチァーノ」で独創的な一皿に取り掛かります。
「地産地消の匠が一皿に込めた親子へのエール」
「地産地消の匠が一皿に込めた親子へのエール」
地産地消の匠・奥田シェフが、生産現場で感じた直感を生かして、土門さん親子へエールを送る料理。
岩ガキの美味しささだけでなく、シンプルで、あっと驚くものを作りたいといいます。
「庄内の海をイメージ」したイタリアン。
いったいどんな一皿が生まれるのでしょうか。
取材先
制作担当
【ディレクター】石原 徹(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)