第929回 『奥多摩わさび』
5月14日放送
「清流に香るわさび」
「清流に香るわさび」
新緑が輝く季節。ツーンと抜ける辛みに、爽やかな香りが特徴の「わさび」が今回の主役です。
東京ミッドタウンのレストランKNOCKでは、わさびをなんとイタリアンに!シャキシャキしたわさびの茎付けと鶏のササミを合わせ、すりおろしたわさびと和えます。最後にわさび菜を絡めた“わさびペペロンチーノ”はユニークと評判を呼んでいます。
東京・渋谷には、わさびの香りを巧みに扱う達人が。割烹料理・わだつみの佐藤健一さんは、寿司のネタによって、わさびの量を変えているそうです。脂が乗った大トロの寿司には、たっぷりとわさびを。淡白な鯛には少なめに使います。旨みの強い和牛にもわさびは相性抜群!イチボ肉を使ったひつまぶし風にもわさびを添えます。優しい出汁の香りにわさびがツーンとアクセント。
そんな佐藤さんが今、使っているわさびの産地は…奥多摩だそうです。
「粘りが特長!香りと辛みの奥多摩わさび」
「粘りが特長!香りと辛みの奥多摩わさび」
透き通る清流に、緑あふれる東京・奥多摩。江戸時代には将軍に献上されていたと言われるほど、わさびの名産地です。標高900メートルほどの高さにあるわさび田に、モノレールで向かうのは、ベテラン農家の鈴木実さん。早速、採りたてのわさびを擦って逆さまにしてみると…なんと落ちません!これが良い奥多摩わさびの証拠!粘りがあり、甘味、香り、辛みが凝縮しているのです。
そんな奥多摩わさびは、台風による土砂災害や高齢化の影響で存続の危機に…
そこに立ち向かったのは、角井仁さん・竜也さん兄弟。奥多摩わさびに魅了され、わさび作りを始めました。
「奥多摩わさびに賭ける兄弟の奮闘」
「奥多摩わさびに賭ける兄弟の奮闘」
わさびを作ろうと決意した、角井さん兄弟。高齢化したわさび農家に弟子入りして、手伝いから始めました。土砂くずれで埋まったわさび田の崩れた石垣を積み直し、若い体力で再生させました。やがて耕作放棄地を借り、ようやく自分達のわさび田を手に入れることに成功したのです。
そんなわさび田の中で、1年経ってもなかなか成長しない箇所が。どうすれば育つのか…悩んだ角井さん兄弟は、文献を調べたり、先輩農家に聞いて懸命に解決策を探ります。先輩のわさびのように、立派に育てるため行った栽培方法とは…?
さらに“奥多摩わさびを、より多くの人に知ってもらいたい”と、キッチンカーを仲間と始めた角井さん兄弟。生わさびはもちろん、わさびいなりなどアイデア料理が登場します。
「奥多摩わさび×野菜のアーティスト」
「奥多摩わさび×野菜のアーティスト」
角井さんたちの活動を応援したいとやってきたのが、銀座・六雁の秋山シェフ。「野菜のアーティスト」と呼ばれる秋山シェフがまず注目したのは、わさびの花。その美しさと共に、ほろ苦さと鼻を抜ける香りに魅力を感じます。さらに、本わさびを使った、わさび丼や酒かす漬けを試食。わさび田の清らかさを新作料理にどう表現するのか必見です。
取材先
制作担当
【ディレクター】植田 裕久(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)