第897回 『秋ナス』
9月18日放送
「旨味が凝縮された秋ナス」
「旨味が凝縮された秋ナス」
朝夕の風に涼しさを感じる秋口に、美味しさのピークを迎えるのがナス。「秋ナスは、実が引き締まって、味わいも一段と濃厚になる」と語るのは、ミシュランガイド13年連続で2つ星という割烹の店主・小室光博さん。中ナスを高温でサッと揚げてから、鶏味噌を塗って香ばしく焼き上げた田楽。賀茂ナスは、低い温度でじっくり揚げ旨みを引き出し、旬の魚・カマスと一緒に揚げ出しに。家庭でも役に立つ、絶品レシピは必見です。
「イタリアンに新風! フルーティーな青ナス」
「イタリアンに新風! フルーティーな青ナス」
東京・御茶ノ水では、珍しいナスを使ったイタリア料理店が評判です。それが青ナスと言われる翡翠色のナス。そのナスに惚れ込んだのが、シェフの金沢英和さん。「色が綺麗。味が濃厚で、フルーティーな香りが楽しめる」と言います。厚切りを色を活かすソテーにして、トマトとモッツアレラチーズでまとめ上げても個性が際立ちます。さらに人気の看板メニューは、青ナスをペーストにして食べるソースに…一体どんな料理に変身するのでしょうか?イチオシは、埼玉県のときがわ町で作られる青ナスだそうです。
「山間の町で育まれる話題の伝統ナス」
「山間の町で育まれる話題の伝統ナス」
フルーティーで美味しいと話題の青ナスを、古くから栽培するのは埼玉県ときがわ町。現在、生産を受け継いでいるのが“互笑会” という栽培グループ。定年後に地元に貢献したいと考え、子供のころ美味しいと思った伝統野菜の栽培を始めました。収穫しながら、ナスの出来を自慢しあったり、意見を交換したり…皆で汗を流す時間が楽しいそうです。収穫した青ナスは、油味噌炒めや天ぷらなどの郷土料理にして味わいます。
「幻の青ナス 復活物語」
「幻の青ナス 復活物語」
そんな青ナスですが、実は戦後生産が途絶え、幻の味だったのです。トゲが鋭く収穫に手間がかかるため、品種改良のナスが普及すると農家は生産をやめてしまったのです。地元で愛されていた青ナスを復活させようと、15年前、もう一度苗を探し出し、生産を始めた互笑会の村田憲一郎さんたち。しかし、育てるうちに、枝が折れやすく、病気にもかかりやすいという難点もわかってきました。その都度、農協や種苗会社に足を運び、青ナスを立派に実らせるため試行錯誤を繰り返しました。安定して出荷できるようにまでの道のりや、青ナスにかける思いは必見です。
「故郷へ贈る青ナスフレンチ」
「故郷へ贈る青ナスフレンチ」
そんな青ナス畑の評判を聞きつけて、村田さんの畑を訪ねてきたのは、100年もの歴史を誇る東京會舘「レストラン プルニエ」で調理長を務める松本浩之シェフ。近隣で生まれ育った松本シェフにとって、ときがわ町は、幼い頃に遊んだ思い出の地。収穫したての青ナスを生で食べると、シャキシャキとした食感と梨の様なフルーティーな味わいにびっくり。さらに、油で炒めてムチムチした食感と濃厚な旨みを引き出す味噌田楽を食べさせてもらいます。店に戻った松本シェフが取り出したのは、故郷の名物・梨など。思い出の風景を料理に盛り込んだ一皿が生まれます。さらに、青ナスにヤマドリタケなどを合わせた料理で、故郷の秋の風を表現します。
取材先
制作担当
【ディレクター】北條 薫(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)