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毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

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過去の放送

第889回 『小柴のアナゴ』

7月10日放送

「初夏の恵み 江戸前アナゴ」

「初夏の恵み 江戸前アナゴ」

東京湾で、今年もアナゴが旬を迎えました。栄養満点の穏やかな海で育ったアナゴは、上品な脂とふっくらとした食感が魅力。「梅雨時から初夏にかけての江戸前アナゴは、最高に美味しい」と話すのが、江戸前握りの原点を追求する鮨職人の塙直也さん。10貫のお任せコースの中で、この時期だけはアナゴを「塩」と「ツメ」の味付けで、2貫出しています。絶妙な柔らかさに煮上げたら、さっぱりと赤酢のシャリで握って、旬の味わいを引き立てます。
また、天ぷらや燻製、骨酒など…多彩な調理法で、味わいの変化を楽しませるのが、銀座にあるアナゴ料理専門店。アナゴ一筋の店長・石川博樹さんが仕入れるのは、体が小さく、あっさりとした味わいが魅力の「めそっこ」と呼ばれるアナゴだけ。この時期に最もオススメの味わい方が、なんと刺身! 弾力のある食感と、繊細な甘みを堪能します。
さて、石川さんが使っているこのアナゴ、東京湾の「小柴」から来ていると言います。

「小柴のアナゴ 美味しさの秘訣」

「小柴のアナゴ 美味しさの秘訣」

料理人から一目置かれる「小柴のアナゴ」。水揚げされるのは、神奈川県の横浜市金沢区にある柴漁港です。「小柴」とは江戸時代からの旧地名。ここで、その美味しさを広く届けたいとアナゴ専門漁師になったのが齋田芳之さん。以来ずっと守っているのが筒漁という漁法です。針や網を使わずに、アナゴの習性を利用して筒の中に誘い込むことで、ストレスを与えずに獲ることができるそうです。漁の前日、600本の筒の中に餌のイワシを入れ、海に仕掛けておきます。翌日の早朝に引き上げると、筒の中から出てきたのは、黄金色に輝くアナゴ!獲れたてを捌いて…とっておきの漁師飯はどんなものでしょう?

「危機を救ったアナゴ漁師の情熱」

「危機を救ったアナゴ漁師の情熱」

1990年代、東京湾のアナゴの漁獲量が大幅に減少するという危機が訪れます。齋田さんが大学や水産技術センターの研究者とともに練った打開策は、筒の水抜き穴の大きさを広げること。出荷サイズに満たない稚魚だけを逃すことで、継続的に漁獲量を確保するという仕組みです。しかし、保守的な漁師たちに広めるまでには、大きな苦労がありました。さらにその方式を、東京湾全体に普及させて江戸前アナゴを守るための奮闘を描きます。そして今、齋田さんが熱を入れるのは子供や地域の人々に「海の大切さ」を伝えること。稚魚のゆりかごと言われるアマモ場の再生など、未来へ向けての活動にも注目します。

「未来へ繋げる “横浜フレンチ”」

「未来へ繋げる “横浜フレンチ”」

横浜のフレンチレストラン「シェ・フルール横濱」。飯笹光男シェフが作るのは、地元の食材を生かした“横浜フレンチ”。今回、小柴のアナゴ漁師・齋田さんを訪ねて、獲れたてのアナゴの生きのよさと肌艶にびっくり!さらに、即席の漁師メシ「アナゴのたたき」の、味わい深さに衝撃を受けます。また、ふわふわに仕上げるコツも伝授された飯笹シェフは、アナゴを譲ってもらうと、店に戻って新作料理に挑戦。フレンチの技法で引き出される、個性あふれるアナゴの味わい。かつてない「横浜フレンチ」に注目です。

取材先
制作担当

【ディレクター】北條 薫(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)