第813回『ハタハタ』
1月11日放送
■日本海の冬の使者 ハタハタ
■日本海の冬の使者 ハタハタ
秋田県・男鹿半島。今回の主役は、ハタハタです。郷土料理 貝焼き(かやき)や、ハタハタを塩と共に発酵させた魚醤・塩魚汁(しょっつる)を使った鍋など、様々な形で愛されてきました。都内でも秋田の郷土料理が味わえるのが有楽町に店を構える「ハタハタ屋敷」。この時期しか食べられない珍味・ブリコ(=ハタハタの卵)も人気です。はち切れんばかりのブリコを抱えたメスを串刺しにしてじっくり焼き上げ、仕上げに甘いネギ味噌を塗って焼き目を付け、香ばしさを引き出せば…ハタハタの焼き串。口の中でブリコがプチッと弾けてクセになるおいしさです。さらに、麹3、米5、塩8の割合で漬け込む三五八漬けで作る唐揚げは、味わいが一層増します。
■秋田県民に愛されるハタハタ
■秋田県民に愛されるハタハタ
秋田県八森は白神山地の森の栄養分が流れ込む豊かな海域。産卵期になると、波が穏やかな港の中へ入って卵を産む習性を利用し、漁師の菊地さんも港に刺し網を仕掛けます。翌朝、網を上げると…いました!この時期は家族総出で選別作業を行います。そして、漁の疲れを癒してくれるのもやっぱりハタハタ。昆布出汁にざく切りにしたネギとハタハタを入れて、塩のみで味つけをしたら…ハタハタの旨味をグッと引き出す優しい味わいに。漁で冷えきった身体を芯から温めてくれます。そんな秋田県民のソウルフードでもあるハタハタに危機が訪れます。年々漁獲量が減少し、菊地さんが漁師になってまもなく、秋田県全域で1992年(平成4年)から3年間の禁漁になったのです。解禁直後は豊漁に恵まれましたが、漁獲量には波があり、全く獲れない年もありました。このままではハタハタが食べられなくなってしまう…そこで立ち上がったのは菊地さんをはじめとする地元の漁師たち。ハタハタが卵を生みやすい環境を整えるためにとった地道な取組みとは…?
■シェフ驚きの“20年ものの魚醤”とは?
■シェフ驚きの“20年ものの魚醤”とは?
魚問屋の主人・伊藤善行さんは、飯寿司(いずし)やしょっつるを塗って寒風干しさせた干物など、ハタハタのおいしさを全国に届けています。さらに伊藤さんは、20年に渡り自家製のしょっつるを作り続けてきました。昔は家庭でも作られていましたが、管理の難しいハタハタのしょっつるは今では貴重なもの。ある日、伊藤さんの元を一人のシェフが訪ねてきました。市内に無国籍料理の店を構える木村さんです。木村さんは普段から地元の食材と昔ながらの調理法を活かした料理を追求しています。伊藤さん特製の熟成しょっつるを手に入れて…。
■シェフ新作料理!カギは白子…?
■シェフ新作料理!カギは白子…?
しょっつるや寒風干しにヒントをもらった木村シェフ。さっそく新作料理に取り掛かります。まずは伊藤さんに教えてもらった、白子をホタテと塩と卵黄と共にフードプロセッサーにかけて…そこへ、伊藤さんにもらった特製のしょっつるを加え、よく練り上げます。切り身にもしょっつるをしっかり塗ったら…ほうれん草を敷き、その上に切り身と白子のムースを重ねてパイ皮で包み、30分程じっくり焼き上げます。二つに割れば、部屋全体に広がるしょっつるのいい香り。仕上げにゆずを加えたホワイトソースをあしらえば…白子の旨味と隠し味が効いた渾身の一皿。新作料理の味を見てもらおうと招待したのはしょっつる作りの伊藤さん。新たなハタハタの味わい方、喜んでくれるでしょうか?
取材先
制作担当
【ディレクター】島越 翔平(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)