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毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

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第804回『里芋』

11月2日放送

■新潟県で人気の里芋「帛乙女(きぬおとめ)」

■新潟県で人気の里芋「帛乙女(きぬおとめ)」

今回の主役は新潟県五泉(ごせん)市で作られている里芋、その名も「帛乙女」です。県内トップブランドの里芋として高級料亭や日本料理店でひっぱりだこ!その特徴はなんといってもきめが細かく白い肉質。火を入れると粘りの強いねっとりした舌ざわりで、濃厚な芋の旨味がたまらないおいしさです。実は五泉市は江戸時代から良質の絹織物の産地として知られていました。特に染付けする前の上質な白生地は日本で3本の指に入るといわれ、皇室への献上品にもなりました。「帛乙女」とはそんな絹織物になぞらえた名前だったのです。

■美食の秋に「帛乙女」はいかが?

■美食の秋に「帛乙女」はいかが?

そんな「帛乙女」のおいしさを存分に味わえるのは新潟の郷土料理「のっぺ汁」。五泉市の里芋農家で作り方を教えていただきます。昆布と干シイタケでとった出汁に、鶏肉、貝柱、タケノコ…十数種類の材料と「帛乙女」をたっぷり入れ、ぐつぐつ煮ます。新潟では正月に鍋いっぱい作り、三が日に家族で食べるのが習慣なのだとか。寒さ厳しい季節になると味噌で炊いた「芋味噌」もおススメ。さらに新潟市内の日本料理店では、「帛乙女」で秋を満喫する一品を教えていただきます。なんと松茸と「帛乙女」のちょっと変わったコラボレーションも…必見ですよ!

■苦難を乗り越え献上品に!

■苦難を乗り越え献上品に!

「帛乙女」の産地、五泉市へ。阿賀野川流域の畑で収穫作業する伊藤隆夫さんに密着しました。冷たい土の中から掘り起こした「帛乙女」の株を丁寧に手作業で収穫していくのは重労働。伊藤さんはこれをもう40年以上も続けてきました。「これからは米だけに頼っていてはダメなんだ」…昭和40年代半ば、コメの生産調整をきっかけに始まった里芋の栽培。何より難しかったのは積雪もある寒冷地で、どうやって里芋を越冬させるか?ということでした。大失敗を乗り越え、ブランドとして認められるまで十数年…ついに平成2年、天皇陛下の皇位継承にともなう祭祀「大嘗祭」への献上品に選ばれたのです!

■老舗割烹でハイカラ「帛乙女」料理

■老舗割烹でハイカラ「帛乙女」料理

地元の誇り「帛乙女」をおいしい料理で提供したい!五泉市にある割烹「文福」には、秋の収穫時期になると「帛乙女」づくしの会席料理を目当てに大勢の人がやってきます。「朴葉味噌」「茶碗蒸し」「釜飯」…三代目伊丹善郎さんが工夫した里芋料理はどれも絶品。ところが、その中にちょっと変わったものが…「一番のおススメは帛乙女のグラタンです」!実は文福の初代は大正時代に洋食を学び、五泉市で初めて洋食店を開いたハイカラな人物だったのです。ゆえに割烹でありながらバターやチーズも当たり前。代々主人に受け継がれている秘伝のホワイトソースの味とは…お楽しみに!

取材先
制作担当

【ディレクター】吉井 みどり
【プロデューサー】高橋 司(テレビ朝日映像)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)