第745回『マダコ』
9月8日放送
■宝の海、天草の旬の食材“マダコ”
■宝の海、天草の旬の食材“マダコ”
熊本県・天草。大小120もの美しい島々は温暖な気候に恵まれ、魚介類も豊富でそれを目当てにイルカも棲みついているほど。そんな豊かな海でこの時期に獲れるのが、今回の主役のタコです。「エビやカニを食べてるので、味は最高ですよ」と話すのは漁師の松本大作さん。妻の一美さんと息を合わせてタコ壺漁に励みます。獲れたばかりの新鮮なタコは刺身にしていただくのが漁師の特権。「タコはタウリンが沢山入ってるので夏バテ防止にぴったりなんです」と一美さん。そんな一美さんのタコの得意料理は、豚和えと言う料理だそうですが…。どうしてタコの料理なのに“豚和え”と言う名前なのでしょう?今回はタコを通して、天草の食文化や歴史に迫ります。
■天草の夏の風物詩 干しダコ
■天草の夏の風物詩 干しダコ
浜で潮風になびく“干しダコ”は、天草の夏の風物詩。江口捷喜(えぐちかつき)さんと妻の喜代江(きよえ)さんは、干しダコ作りの名人です。塩水でもんでぬめりをとり成形し、潮風と太陽がよく当たる場所で天日干しにすること3~4日。根気のいるこの作業には夫婦仲が大事。「喧嘩はあんまりせん。喧嘩したら干しダコにならん」と江口さんは話します。干しダコは天草の郷土料理には欠かせない食材。弱火で煮て干しダコを戻し、刻んで人参と炒めてご飯に混ぜれば、天草の母の味、タコ飯に。夫婦の絆が、干しダコの伝統の味を支えています。
■明石を救った!?天草とタコの意外な繋がり
■明石を救った!?天草とタコの意外な繋がり
タコで名高い明石。実はこの明石のタコを天草のタコが救ったと言う話を皆様はご存知でしょうか。遡ること50年以上…。昭和38年は記録的な冷害を記録し、明石のタコは激減しました。その明石のタコを救ったのが、実は天草のタコ!天草のタコを放流することで絶滅の危機を逃れたのです。当時の様子を知る明石のタコ漁師の松本猛さんは「天草のタコのおかげで明石のタコは復活できた」と話します。明石のタコを救ったことは今でも天草の人にとっての誇り。さらに、天草の漁師が心がけていることがあります。それが陶器で作るタコ壺。プラスチック製品の投棄による海洋汚染が世界中で深刻化している中、割れても自然に還る陶器のタコ壺が見直されています。環境への長年の配慮が、天草のタコを守ってきたんですね。
■ポルトガルのタコの家庭料理
■ポルトガルのタコの家庭料理
今年6月。天草の﨑津(さきつ)集落が“潜伏キリシタンの里”として世界文化遺産に登録され、話題になりました。1566年にポルトガル人宣教師が訪れた天草では、キリスト教と同時に南蛮の食文化も伝わってきました。宣教師の母国ポルトガルのタコ料理と天草のタコ料理には共通点があると話すのは、ポルトガル料理研究家の馬田草織さんです。オリーブオイルで炒めた玉ねぎとタコを合わせて、そこに米を加えれば…。天草の郷土料理、タコ飯のルーツになったと言う話も伝わるリゾット風のタコ飯。400年以上続くポルトガルと天草の関係をタコ飯が語りかけます。
老舗料理宿の挑戦
老舗料理宿の挑戦
タコのアイデア料理が味わえると評判の料理宿、あさひ荘。ご主人の松本國雄さんは、タコを丸ごと使ったタコステーキなど様々な料理法を生み出してきたアイデアマン。今回、﨑津(さきつ)集落が世界遺産に登録されたのをきっかけに洋風のタコの新作料理を生み出そうと考えました。そこで知恵を借りたいと応援を頼んだのがポルトガル料理研究家の馬田草織さん。さて、一体、どんな料理ができあがるのでしょうか?
取材先
制作担当
【ディレクター】鴨下 満(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道 (テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)