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毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

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過去の放送

第216回『赤貝』

3月8日放送

■日本人に愛されつづけてきた貝

■日本人に愛されつづけてきた貝

春の訪れとともに栄養を蓄えるその身は、色鮮やかに赤く光り、口の中では甘さが広がります。刺身に良し!煮物に良し!古くから日本人に愛され続けてきた赤貝。産卵に向け、身に厚みを増すこの時期は一年で最も美味とされ、食通たちの垂涎の食材です。赤貝は貝類の中で唯一血液にヘモグロビンを含んでいるため、肉が赤い貝という意味でその名前が付きました。

■美味しい3年子の秘密・・・

■美味しい3年子の秘密・・・

国内産赤貝の水揚げ量第一位は宮城県の「閖上」(ゆりあげ)。江戸時代に伊達家直轄の漁港として栄えた閖上港では、朝6時の合図とともに、30隻の小さな舟が一斉に出航します。漁場についた舟が海に下ろすのは「満牙」(マンガ)と呼ばれる桁のついた底曳網。小さな舟が壊れんばかりにエンジンを唸らせ、海底の赤貝を掘り獲っていきます。しかし、漁の時間は12時までの6時間のみ。乱獲を防ぎ、資源を大切にするため、仕分け作業も舟の上で行います。こうしないと、稚貝を住み慣れた海域に戻すことが出来なくなってしまうからです。こうして大切に育てられた赤貝は3年子と呼ばれ、日本一美味しい赤貝として全国に出荷されて行きます。今回、日本一の赤貝漁に密着しました。

■徳川歴代将軍にも食された

■徳川歴代将軍にも食された

古くから江戸前寿司の定番と言われてきた赤貝。歴史を遡っていくと、貝の汁が火傷を治療するという民間療法も古くから伝えられています。また、赤貝は体に良い食べ物として歴代徳川将軍にも愛されていました。昔、江戸前の東京湾でたくさん獲れたこともあり、将軍の膳に毎日のように煮物にして出されていたと言います。今回番組では、江戸料理の伝統を伝える八百善に料理を再現していただきました。

■魔法の数字・・・「65」

■魔法の数字・・・「65」

刺身、寿司のタネとしてのイメージが強い赤貝ですが、世界には火を通した赤貝料理も多数あります。中国ではおめでたい時に食べるという「赤貝とイカの紅白炒め」などがポピュラーです。そして日本でも赤貝を最も美味しく食べるには湯引きをするのが一番だと料理人は口を揃えます。しかもその温度が65℃。そのお湯にくぐらせ、冷水に取った赤貝は表面がうっすらと白くなり、ただの生よりも数段甘くなるといいます。完全な生ではないけれど、限りなく生に近い状態を作り出す絶妙の温度が65℃なのです。産地・閖上で贅沢に頂く赤貝料理にご期待ください。

取材先
制作担当

【ディレクター】山下 朋洋(ViViA)
【プロデューサー】加納 満(ViViA)
【プロデューサー】高階 秀之(テレビ朝日)