第168回『煮干し』
3月17日放送
■庶民に愛された旨味のもと!
■庶民に愛された旨味のもと!
盛られた器に姿はありませんが、料理の味の決め手になくてはならない大切なものがあります。 「隠し味」 旨味をつくる素材・・・ダシです。毎日の食卓にのぼる熱い一杯の味噌汁も、ダシがなければ、コクのある滋味深い味わいにはなりません。日本料理の真髄… それはすぐれたダシの存在によって支えられてきました。「昆布」「鰹節」「干し椎茸」…。今回は、庶民の暮らしに『旨味』という味の革命をもたらし、おふくろの味を育んだ天然の旨味調味料「煮干し」の物語です。
■煮干しはいつ、なぜ生まれたの?
■煮干しはいつ、なぜ生まれたの?
一般に“煮干し”は、カタクチイワシの稚魚を原料としています。縄文時代から食べられていたイワシ。でも、カラカラに乾燥した煮干しが生まれたのは、江戸時代中期のことだと言われています。東日本では「ニボシ」といいますが、京都・滋賀・大阪では「じゃこ(雑魚)」、「だしじゃこ(出汁雑魚)」、瀬戸内から西の方では「イリコ(炒り子)」の呼び名があります。煮干しは、高価だった鰹節や昆布の代わりに生まれました。「ヘ」の字に曲がったものが特に良質品と言われています。
■煮干しがくれるおいしさ!
■煮干しがくれるおいしさ!
西日本では、「だし」の利用が早くから発達してきました。京都のおばんざい、香川の「さぬきうどん」、大阪発祥の「きつねうどん」も煮干しなしでは成り立ちません。ダシのとり方にもひと工夫。単独で使わずに昆布などをいっしょに使うとより旨味が際だちます。うど、竹の子、ほうれん草など独特のえぐみのある食材を煮る時には、コクのある煮干しダシが合います。塩分をひかえ、素材の持ち味を大切に…。工夫次第でおいしい食材にも変身します!カルシウムたっぷりの煮干しを使った料理人のアイデアあふれる調理法は必見です。
■山国で愛された煮干しのこころ・・・
■山国で愛された煮干しのこころ・・・
長野県諏訪地方。この地で「煮干し」は特別な存在でした。なぜか諏訪人は、煮干しのことを『蒸し』と呼びます。天下の奇祭・御柱祭をはじめ、様々な神事で「煮干し」が登場!人々は、神様の祭壇に煮干しをお供えします。いったいなぜ…?
歴史を遡ると、人々の心に刻まれた忘れることのできない記憶がよみがえってきました。
今週のおすすめレシピ
今週のおすすめレシピ
【味噌汁】
毎朝の食卓に…
煮干しが香る風味豊かなお味噌汁はいかがですか
材料 煮干し
味噌
具はお好みで
1.煮干しは頭とはらわたを取り除き、縦に裂いて水に1時間浸します(前の晩から浸しておいても大丈夫です)。
2.火にかけ煮立ったら煮干しを取り除きます。
3.お好みの具を入れ火が通ったら弱火にして味噌を溶き入れます。
4.お好みでねぎ、わけぎを入れ火を止めて出来上がり。
取材先
制作担当
【ディレクター】 伊藤 浩子(ViViA)
【プロデューサー】 加納 満(ViViA)
【プロデューサー】 高階 秀之(テレビ朝日)