第158回『聖なる魚サケ』1時間スペシャル
12月23日放送
■なぜ、彼らは戻ってくるのか?
■なぜ、彼らは戻ってくるのか?
2005年、世界自然遺産に登録された、地球上に残された最後の秘境・・・知床半島。
陸、海、空の生態系がダイナミックに交差するこの大自然には生きものたちの命の循環に欠かせない大切な存在があります。毎年、秋になると帰ってくる宝の山『サケ』です。日本一の漁獲高を誇るオホーツクの海に、そして知床の川に、なぜサケたちは群れをなして戻ってくるのでしょうか? サケのカラダに宿された不思議な遺伝子…。人類は、紀元前1万年の昔から、この聖なる魚を食してきました。
■北の果ての海で出会った『アトランティックサーモン』
■北の果ての海で出会った『アトランティックサーモン』
国土の1/3が北極圏に属し、1年の半分が雪に閉ざされる苛酷な気候の国ノルウェー。
迫りくる岸壁と、空を切りさく氷河の白い頂。100万年の時と自然がつくりあげた
世界自然遺産フィヨルド。その奇跡の海で、私たちはまたサケに出会いました。銀色に
光り輝き、力強く巨体を躍らせるアトランティックサーモン。ヨーロッパでは「シルバ
ークィーン」と称えられ、サケは祝い事に欠かせません。北欧のクリスマスの食卓をサ
ケが彩ります。食彩の王国スペシャルは、雄大な素晴らしい自然あふれるふたつの極寒
の地と海を舞台に、太古の時代からヒトがサケとどう関わってきたのか…その食の軌跡
をたどります。
■「神の魚」サケを愛した日本人とノルウェー人
■「神の魚」サケを愛した日本人とノルウェー人
ほお紅色のサケ肉は、古くから日本人の舌を魅了してきました。腹を割けば、こぼれ落ちる数千粒の宝石…。ルビー色に輝く卵は、口に含むとプチプチとはじけ、滋養豊かな旨みが広がります。かつてアイヌの人々は『捨てるところがない神の魚=カムイチェプ』と呼び、主食としました。そのみごとな調理法・保存の知恵は、北の果てでカラダをはって生きる知床の漁師たちにも受け継がれていました。豪快な料理もとびだします!
一方、ノルウェーのサケの歴史をさかのぼると、意外な存在が浮かび上がってきます。北欧の海を支配したバイキングたち。番組は、スモークサーモンが生まれた謎を解き明かします。
■広がるサケの食文化
■広がるサケの食文化
生魚を食す習慣のなかったノルウェーの地で今、大ブームとなっているのが「SUSHI(寿司)」。私たちは、ノルウェーサーモンを世界一おいしいと豪語するひとりの日本人シェフに出会いました。知る人ぞ知るフレンチの鬼才!ノルウェー王室の元王宮料理人・稲毛勝さんです。稲毛さんが、なぜサケにこだわるのか?…そこには忘れられない故郷の母の味がありました。北海道出身の稲毛さんがノルウェーの王様に捧げて、絶賛されたサケの調理法とは? サケをまるごと使い、フレンチから和食に至るまで見事に仕上る稲毛さん。果たしてその料理の味わいはノルウェーの人々に届くのでしょうか?
■命をつなぐために!
■命をつなぐために!
たった0.3グラムの卵から生まれ、たった1グラムの体で川を下り、勇敢に海へと旅立つサケ。遥か3万キロに及ぶ危険な旅路。そして4年もの歳月を海で暮らし、3キログラムを超える大型魚に成長…。生まれたふるさとの川の記憶をたどり、みごと彼らは戻ってきます。母なる川を夢中でかけあがるひたむきな姿。産卵期のサケは、もてるチカラをふりしぼり、まっすぐに川を突き進みます!ウロコが剥げ、皮膚が裂け、骨が砕けるほど力強く川底の砂利をたたくサケ!新しい命をつなぐために、その営みはおよそ200万年もの間、ずっと繰り返されてきたと言います。命燃え尽きる最後の瞬間まで、必死で生きるサケの姿を追いました。
■いのちの授業
■いのちの授業
サケの町をうたう北海道標津町の小学生たちの“生命の授業”をのぞきました。
なぜ、私たちはサケを食べることができるのか?サケの命、恵み…、サケの魂とは何なのか?サケの解体、人工授精を通して、子どもたちはサケの存在をあらためて考えます。
ノルウェーと日本…、食彩の王国スペシャルは、奇跡の海で生命をつないできた、この聖なる魚サケと人々の熱き魂の物語をつづってまいります。
取材先
制作担当
【ディレクター】伊藤 浩子(ViViA)
【プロデューサー】加納 満(ViViA)
【プロデューサー】高階 秀之(テレビ朝日)