第120回『もやし』
3月25日放送
★萌え
★萌え
「もやし」という名前は種子が発芽すること。芽を「萌やす」が転じたもので、古く平安時代から栽培されるようになりました。豆類以外にも米、麦、大根、シソなど「もやし」にして利用したそうです。何のためでしょうか?植物にとって発芽というのは大変な仕事です。豆を例にとると、エネルギー源となるたんぱく質や、炭水化物を消費する代わりにビタミンC、食物繊維などが生成されます。つまり、もやしとは豆と野菜の栄養素を備えた貴重な「薬草」だったのです。1800年前から食材としていた中国には、不老長寿の願いをこめた驚くべきもやし料理がありました。
★もやし大変身
★もやし大変身
明治時代に入ると中国料理店が次々に開業し、その求めに応じて都市部でもやし作りが始まりました。痛み易いもやしが一般的になったのは昭和40年代、冷蔵庫の普及がきっかけでした。その後、工場の水耕栽培で大量生産されたもやしが常にスーパーに並び、安価で身近な食材の代名詞となったのです。そんなもやしも和食の達人の手に掛かれば「早春もやしのつらら仕立て」といった旬を感じさせる料理に大変身します。
最近では韓流ブームもあって、韓国でよく食べられる「大豆もやし」もよく目にするようになりました。韓国語で、もやしは「コン(豆)・ナムル(野菜)」。豆と野菜の栄養を持つ家庭料理に欠かせない存在です。
★温泉もやし
★温泉もやし
日本にも珍しいもやしがありました。山形県米沢市の「小野川(おのがわ)温泉」で冬の間だけ作られている「温泉もやし」です。小さな茅葺小屋の「もやし室(むろ)」にお湯を巡らせて作ります。引き抜くと湯気を立て、その長さは25センチ超。香りの良さとサクサクとした歯ざわりが特徴です。家庭ではおひたしや汁物に、食堂ではもやしラーメン、旅館では米沢牛のすき焼きの具に用います。ちなみに牛肉1キログラムを生産するのに5~6キログラムの穀物が必要です。しかしモヤシは1キログラムの豆が6倍になるありがたい食材なのです。
★たかがもやし、されどもやし
★たかがもやし、されどもやし
小野川特産「温泉もやし」を使って新しいもやし料理ができないか?もやしを愛することではひけをとらない韓国、中国、そして日本の料理の達人たちに挑戦していただきました。もやしの素材としての力を引き出すためには、どんな食材と合わせるのがよいのか…知恵を絞り、腕をふるい、新しいもやし料理が誕生します。
取材先
制作担当
【ディレクター】林 英幸(ViViA)
【プロデューサー】加納 満(ViViA)
【プロデューサー】高階秀之(テレビ朝日)