第59回『こんにゃく』
12月4日放送
プルプルっとした独特な食感が持ち味のこんにゃく。田楽や煮しめ、肉じゃがには装いを変えてしらたきで、味噌や醤油との相性が抜群のこんにゃくは和食には欠かせない食材です。昔から「胃腸のほうき」「おなかの砂おろし」といわれてきました。これはこんにゃくに含まれる食物繊維が老廃物を体外に排出する働きがあるから。昨今、この作用が注目を集め、こんにゃくはゼリーやジュースなどにも利用され、新たな展開をみせています。
上州名物「からっ風とかかあ天下と上州こんにゃく」。群馬県はこんにゃくの原料であるこんにゃく芋の生産量日本一を誇るこんにゃく王国です。
一年中、何気なく食べているこんにゃくですが、昔は冬しか食べられない期間限定食品でした。それは原料であるこんにゃく芋は傷みやすいため、晩秋に収穫されるとすぐにこんにゃくに加工されたからです。こんにゃくの歴史をひもとくと、冬以外にどうにかしてこんにゃくを食そうと工夫する、先人たちの知恵がみえてきます。
名産地・下仁田のこんにゃく芋収穫
こんにゃく芋は収穫までに3年かかります。おまけに寒さに弱いため土の中では冬が越せず、秋に掘り起こして貯蔵し春植え直す、手間のかかる作物です。掘りたての芋で手作りこんにゃく実演。
茨城・水府村の郷土食:凍みこんにゃく
江戸時代からこの村で作られている“凍みこん”はこんにゃくを冷凍乾燥させたもの。こうすると50年は日持ちするという究極の保存食です。真冬の仕込みの過酷さで生産者が次々とやめていき、若者の和食離れで需要も減って郷土の味の危機を感じ、21年前に凍みコン作りを始めた中嶋利さん。
現代に続くこんにゃく作りを確立した立役者:中島藤右衛門
江戸時代、こんにゃくの製法は大きな変革を遂げます。生芋からしか作れなかったこんにゃくでしたが、水戸藩の農民・藤右衛門は芋を粉にする製法を確立。それにより一年中こんにゃくは食べられるようになりました。
取材先
制作担当
【プロデューサー】内田彰人(ViViA)
【ディレクター】原田えり(ViViA)
【プロデューサー】高梨聞吉、高階秀之(テレビ朝日)