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2022年11月21日

片岡鶴太郎さん(牛尾正直 役)コメント

――シリーズがファイナルを迎えると聞いたときのお気持ちを教えてください
 始まりがあれば終わりがあるもの、と常々思ってきましたので、“その時が来ましたか”という気持ちでした。このドラマがベースにあったからこそ、今の私もこれからの私もあると思っていますので、作品には感謝しかありません。池広監督は根っからの“映画人”で、撮影では“長回し”が多く、毎回毎回、長ゼリフをきちんと身体に刻んでいくという作業が欠かせませんでした。

――シリーズ第1作から演出を手がけてきた池広一夫監督、そして妻・澄枝を演じた岡江久美子さんにはどのような言葉を贈りたいでしょうか?
 池広監督は93歳にして、現役バリバリ。この2~3年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて撮影できない時期がありましたが、今回の撮影ではそのブランクをまったく感じさせませんでした。生涯現役を貫いてきた偉大な監督であり、その姿には敬服するばかりです。
 仲間たちとファイナルを迎えられず、いちばん残念に思っていらっしゃるのは岡江さんだと思います。でも最後、僕らは岡江さん演じる澄枝の“思い”をきちんと残す形で幕を閉じることができたと信じています。岡江さんには、“あなたと一緒に終えることができました”と報告したい思いです。

――26年間演じてきた牛尾刑事は、ご自身にとってどんな存在ですか?
 “私淑する存在”ですね。彼はどんなことがあっても冷静でクリアな判断ができ、常に喜びも悲しみもグッと抑えて一定の感情の中に置いています。それでいて心の中には愛情と慈しみをあふれんばかりに持っていて、品格があって身綺麗で、美的な感性をも持ち合わせた方だと思います。
 そんな牛尾刑事に自分自身も近づきたいと願い、この26年間は手本である牛尾刑事と自分のギャップを埋める作業の連続でした。私の中には常に尊敬してやまない牛尾刑事の姿があるので、今後も岐路に立ったとき、彼だったらどう考え、どう対処するのか自らに問いかけ、彼に近づくよう己をしつけていく…。それはこれからの人生でも変わらず、やっていく作業だと思っています。

――長年、シリーズを愛して下さったファンのみなさまにメッセージをお願いいたします
 絵の展覧会やサイン会など、どこに行っても必ずみなさんに言われるのが、“牛尾刑事、見てますよ!”“今度いつ放送しますか?”という言葉。それだけ楽しみに待ってくださるファンの方がいるんだなと実感してきました。『十月のチューリップ』は最後にふさわしく、『終着駅シリーズ』ならではの重厚で深いストーリー。ほかでは決して描くことのできない作品ですので楽しみにご覧いただきたいですね。そして、岡江さんをしのび、監督の業績を称えていただきたいと思っています。

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